北アルプス上空にオーロラ出現。燕岳で撮影に成功

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北海道など、日本でもオーロラが観測された8月12日、北アルプス・燕岳で星空を撮影していた写真家の渡辺幸雄さんが、北アルプスの上空に出現したオーロラの撮影に成功した。

写真・文=渡辺幸雄

燕岳とペルセウス流星群と低緯度オーロラ
8月13日1時3分撮影。燕岳とペルセウス流星群と低緯度オーロラ(燕山荘前にて)

ペルセウス流星群が極大を迎えた8月12日夜、おりしも太陽フレアが活発化し、北海道をはじめ、各地で低緯度オーロラが観測されました。ニュースにはなっていたようで興味がある方には知られていたのですが、僕は長期で山中にいたため残念ながら知らず。たまたま夜半に起きたので、満天の星空で流星群も見られるとあってレンズを向けたのでした。

翌日になって、前夜各地で低緯度オーロラが観測されたことを知り、撮影したデータを確認したところ、北の方向に向けていたカットに映り込んでいたのです。肉眼で見ていたときはボワっとしていて、街の明かりによる光害かと思っていたのですが、なんとオーロラだったとは。驚きとともに見ているときに感じられなかった歯がゆさもありました。

おそらく国内では一生に一度見られるかどうかのチャンス。専門家の話ではこれほどの規模は60年ぶりとのこと。興奮気味に話されていたことからも、いかに貴重な現象化が解ります。偶然とはいえ撮影でき、なにかの縁を感じる夏山の夜の撮影でした。

この記事に登場する山

長野県 / 飛騨山脈北部

燕岳 標高 2,763m

 常念山脈の北部にある花崗岩と花崗岩砂礫とで構成された山。東側に中房川が流れ、西側は高瀬川の谷が区切っている。  登山口には文政年間(1818~1829年)の開湯と伝えられる中房温泉があり、国民宿舎有明荘とともにいで湯の楽しめる、格好のベースになっている。  遠くから見ると平坦で特徴のない稜線が続いているので、かつては大天井岳近くまでの山稜を、ただ「屏風岳」とひとまとめに呼んでいたらしく、明治39年刊行の『日本山嶽志』にも載っていない。大正4年の長谷川如是閑の『日本アルプス縦走記』には「燕岳」とあるので、その間の10年間に命名されたらしい。  表銀座コースの始発点として有名で、大天井岳で分岐して槍ヶ岳へ常念岳へと志す登山者でいつも賑わっている。  遠目には目立たないが、稜線を山頂に向かってみると、風化した花崗岩群がまるで環境芸術のオブジェのようで面白い。頂上の北には北燕岳の岩峰がそびえ、鞍部はコマクサの群落、東斜面はお花畑と楽しい。  登山道は中房温泉からアルプスでも指折りの急登、合戦(かつせん)尾根を登って所要4時間30分。

プロフィール

渡辺幸雄(わたなべ・ゆきお)

1965年埼玉県越谷市生まれ。1987年東京綜合写真専門学校卒。北穂高小屋勤務を経て、フリーカメラマンに。近年はネパールのフォト・トレッキング・ツアー(アルパインツアーサービス主催)などの写真セミナーも開催。山岳雑誌やカメラ雑誌、カレンダー制作等で活躍中。日本山岳写真集団最終代表、(公社)日本写真家協会会員。

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