全域で色づく景色を見られる。中央アルプスの紅葉【紅葉コースガイド2025】

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ロープウェイを使うもよし、静かな山々を歩くもよし。ビギナーから上級者まで楽しめるルートがそろう中央アルプスの紅葉名山を、写真家の津野祐次さんが紹介する。

文、写真=津野祐次

目次

圏谷地形に紅葉の錦が映える屈指の名山 木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)・宝剣岳(ほうけんだけ)

中央アルプス/2956m(木曽駒ヶ岳)
 9月下旬~10月上旬

入下山口の千畳敷。鮮やかな紅葉と宝剣岳
入下山口の千畳敷。鮮やかな紅葉と宝剣岳

入山口の千畳敷(せんじょうしき)は標高2612m。ロープウェイを降り立つと目の前は紅葉のメッカだ。ナナカマドの紅色や、ダケカンバの黄色など華麗な錦絵巻が展開する。その背後には鋭い山容の宝剣岳が収まるので、日本アルプスの中では、屈指の紅葉景勝地として知られる。稜線上に座る伊那前岳(いなまえだけ)と中岳(なかだけ)と木曽駒ヶ岳は、ウラシマツツジの草もみじが実にみごとだ。伊那前岳からは宝剣岳が、中岳からは木曽駒ヶ岳と御嶽山(おんたけさん)が、木曽駒ヶ岳からは北アルプスや御嶽山や白山(はくさん)、さらに中アの南部主脈の山々、加えて八ヶ岳(やつがたけ)と南アルプスが眺望できる。草もみじのとこれらの山々の共演が楽しめるのは、秋の中央アルプスの独特の楽しみといえよう。

ウラシマツツジの紅葉と宝剣岳。伊那前岳にて
ウラシマツツジの紅葉と宝剣岳。伊那前岳にて

典型的な氷河地形の千畳敷カールはもちろん、濃ヶ池(のうがいけ)も必見の地。水面に映える紅葉風景はここだけの景観だ。濃ヶ池から駒飼ノ池(こまかいのいけ)へのトラパース道は、ダケカンバやナナカマドが林を形成するので、この区間も見逃せない紅葉地帯となっている。

伊那前岳から望む木曽駒ヶ岳と駒飼ノ池を望む
伊那前岳から望む木曽駒ヶ岳と駒飼ノ池を望む

MAP&DATA

高低図
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最適日数:日帰り
コースタイム: 4時間25分
行程:千畳敷・・・乗越浄土・・・宝剣山荘・・・宝剣岳・・・宝剣山荘・・・中岳・・・木曽駒ヶ岳・・・宝剣山荘・・・乗越浄土・・・伊那前岳・・・乗越浄土・・・千畳敷
総歩行距離:約5,700m
累積標高差:上り 約586m 下り 約586m
コース定数:16
アドバイス:秋の最盛期はロープウエイ乗車に待ち時間が生じる可能性がある。早めのダイヤを利用しよう。稜線の山小屋に宿泊すれば、行程時間に余裕が生まれるばかりか、朝夕の劇的瞬間の山岳景観が楽しめる。水場は稜線上にない。駒飼ノ池直下は急峻な斜面にハシゴと岩場がある。三点支持で確実に越えたい。
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プロフィール

津野祐次(つの・ゆうじ)

写真家。92年に写真事務所新設。撮影会や講演会の講師、テレビ出演も多い。写真を常設したギャラリーが伊那市長谷にある。写真集『雲上浪漫』など著書22冊、共著多数。

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