全域で色づく景色を見られる。中央アルプスの紅葉【紅葉コースガイド2025】

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ロープウェイを使うもよし、静かな山々を歩くもよし。ビギナーから上級者まで楽しめるルートがそろう中央アルプスの紅葉名山を、写真家の津野祐次さんが紹介する。

文、写真=津野祐次

目次

鮮やかな紅葉と白い花崗岩が生み出す美しい山岳風景を眺める 越百山(こすもやま)・仙涯嶺(せんがいれい)・南駒ヶ岳(みなみこまがたけ)

中央アルプス/2841m(南駒ヶ岳)
 10月上旬〜10月中旬

北沢尾根上部から望む紅葉彩る南駒ヶ岳(中央)と仙涯嶺(右端)
北沢尾根上部から望む紅葉彩る南駒ヶ岳(中央)と仙涯嶺(右端)

中央アルプス高山帯最南部の峰々は南駒ヶ岳、仙涯嶺、越百山であり、通過するのに手強い山域だ。しかし一度は挑戦したい魅力ある山域と言っていい。

越百山から南駒ヶ岳までの稜線上は、花崗岩が風化した白い砂礫の道とハイマツの緑、その中に草もみじが点在し、展望のよさと相まって、見応え充分な秋の山旅が味わえるだろう。南アルプス、八ヶ岳(やつがたけ)、富士山、御嶽山、さらに中央アルプスの峰々を終始望むことができる。

下山に利用する南駒ヶ岳から北沢尾根上部にかけては、筆者一押しの紅葉地帯が連続する。ダケカンバやナナカマドの広葉樹林が広がっているからだ。その区間から振り返り見る南駒ヶ岳と仙涯嶺が、花崗岩山塊らしく荒々しい風貌で展開。山肌を覆う紅葉と山姿とが、優美な秋の山岳景観を醸し出してくれる。好天に恵まれれば青空に造形的な高層雲も期待できる。

越百山直下から御嶽山と乗鞍岳、宝剣岳遠望する
越百山直下から御嶽山と乗鞍岳、宝剣岳遠望する
北沢尾根のダケカンバ越しに南駒ヶ岳を望む
北沢尾根のダケカンバ越しに南駒ヶ岳を望む

MAP&DATA

高低図
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最適日数:1泊2日
コースタイム: 【1日目】6時間10分
【2日目】9時間40分
行程:【1日目】
伊奈川ダム上登山口・・・福栃橋・・・五合目・・・水場分岐・・・越百小屋
【2日目】
越百小屋・・・越百山・・・仙涯嶺・・・南駒ヶ岳・・・北沢展望三角点・・・登山口・・・福栃橋・・・伊奈川ダム上登山口
総歩行距離:約18,200m
累積標高差:上り 約2,271m 下り 約2,271m
コース定数:58
アドバイス:林道歩きが長く、稜線上はザレザレの砂礫路が続く。ストックがあると便利だ。登路に水場はあるが、稜線上と下山路に水場はない。仙涯嶺には巨大岩壁のトラバースと急下降があるので、通過の際は滑落に要注意だ。仙涯嶺は山頂よりもすぐ先に平坦な広場があるので、休憩地に最適。眺望も優れている。
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プロフィール

津野祐次(つの・ゆうじ)

写真家。92年に写真事務所新設。撮影会や講演会の講師、テレビ出演も多い。写真を常設したギャラリーが伊那市長谷にある。写真集『雲上浪漫』など著書22冊、共著多数。

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