全域で色づく景色を見られる。中央アルプスの紅葉【紅葉コースガイド2025】
ロープウェイを使うもよし、静かな山々を歩くもよし。ビギナーから上級者まで楽しめるルートがそろう中央アルプスの紅葉名山を、写真家の津野祐次さんが紹介する。
文、写真=津野祐次
紅葉と静寂な道を辿って中アの独立峰を往復 三ノ沢岳(さんのさわだけ)
中央アルプス/2847m
紅葉の見頃 9月下旬〜10月上旬
宝剣岳(ほうけんだけ)から西へ派生する尾根の高点が三ノ沢岳。主脈から木曽側へ外れているので、訪れる登山者は少ない。その分、自然がまるごと残っていると言っていいだろう。昭和42年あたりを境にライチョウはいったん絶滅したと言われ、最後に確認されたのが三ノ沢岳なので自然の豊かさが証明されるだろう。麓から直登するコースはなく、主脈から往復するしかない。
入下山口は千畳敷(せんじょうじき)。駅を出て、木曽駒ヶ岳方面とは反対に折れ、極楽平(ごくらくだいら)の稜線に出る。北上し、宝剣岳の手前に立つ大きなケルンが目印の三ノ沢分岐から往復する。
分岐からしばらくは、ウラシマツツジの草紅葉が紅色のじゅうたんを敷いたように広がる。花崗岩の白とハイマツの緑によく映えて鮮やかだ。鞍部付近はハイマツの背丈が高い。ダケカンバやナナカマドが所々に立ち、黄色や紅色が目と心を刺す。終始、展望に恵まれることが大きな利点となる。
巨岩帯の山頂からは、東に宝剣岳、中岳、木曽駒ヶ岳等が一幅の絵画のように連なって見える。西に御岳山と遠く白山や乗鞍岳も眺望できる。
プロフィール
津野祐次(つの・ゆうじ)
写真家。92年に写真事務所新設。撮影会や講演会の講師、テレビ出演も多い。写真を常設したギャラリーが伊那市長谷にある。写真集『雲上浪漫』など著書22冊、共著多数。
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