全域で色づく景色を見られる。中央アルプスの紅葉【紅葉コースガイド2025】

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ロープウェイを使うもよし、静かな山々を歩くもよし。ビギナーから上級者まで楽しめるルートがそろう中央アルプスの紅葉名山を、写真家の津野祐次さんが紹介する。

文、写真=津野祐次

目次

空木平に輝く圧巻の紅葉と展望を楽しむ 空木岳(うつぎだけ)

中央アルプス/2864m
 10月上旬〜10月下旬

朝霧に霞む空木岳・南駒ヶ岳
朝霧に霞む空木岳・南駒ヶ岳

空木岳は中央アルプス高山帯のほぼ中間に位置する。木曽駒ヶ岳と共に日本百名山の一峰として知られる。登山コースは木曽、伊那のどちら側からも延び、千畳敷から極楽平(ごくらくだいら)に出て、主脈を南下するコースもある。ここでは池山(いけやま)尾根の往復を紹介しよう。駒ヶ根高原(こまがねこうげん)から登り、針葉樹林帯を越えると高山の落葉樹林帯となる。

紅葉はそこからが本番で、空木平の森林限界にかけて見どころとなる。池山尾根上の分岐から空木平への区間は、幹が変形して造形的なダケカンバの巨木が横たわり、黄葉のトンネルを通過するような登山道だ。

空木平では紅葉必見の地で、ダケカンバの黄色とナナカマドの真紅の紅葉が鮮やかだ。背後に空木岳の頭が少し見える。東へ目を転じると、南アルプスと八ヶ岳が視界に入る。紅葉と峰々との山岳展望は実に絵になる見どころといえよう。

空木岳を彩る空木平の紅葉と翼雲
空木岳を彩る空木平の紅葉と翼雲

東川岳(ひがしかわだけ)から望む空木岳は壮観なので、木曽殿(きそどの)山荘に泊まり、夕方か早朝、東川岳へ登るとよいだろう。

東川岳から望む紅葉の空木岳
東川岳から望む紅葉の空木岳

MAP&DATA

高低図
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最適日数:1泊2日
コースタイム:【1日目】8時間30分
【2日目】6時間35分
行程:【1日目】
駒ヶ根高原・・・池山林道終点・・・池山小屋分岐・・・大地獄・・・分岐点・・・空木岳・・・木曽殿山荘
【2日目】
木曽殿山荘・・・東川岳・・・木曽殿山荘・・・空木岳・・・分岐点・・・大地獄・・・池山小屋分岐・・・池山林道終点
総歩行距離:約19,900m
累積標高差:上り 約2,777m 下り 約2,266m
コース定数:62
アドバイス:池山尾根を経て木曽殿山荘へは行程が長い。駒ヶ根高原を早朝発ちたい。登路の池山尾根には大地獄と小地獄の難所がある。鎖場、岩場、急なハシゴが要所にかかる。通過の際は三点支持で確実に越えたい。健脚者は、2日目に空木岳にザックを置いて、南駒ヶ岳を往復する手もある。
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プロフィール

津野祐次(つの・ゆうじ)

写真家。92年に写真事務所新設。撮影会や講演会の講師、テレビ出演も多い。写真を常設したギャラリーが伊那市長谷にある。写真集『雲上浪漫』など著書22冊、共著多数。

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