【10月7日更新】白馬・後立山連峰、紅葉は柏原新道を下降中。秋山紅葉情報2024

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

北アルプスでも遅れがちな2024年の紅葉。白馬・後立山連峰の最新情報をお届けする。

構成=山と溪谷オンライン

紅葉の名山がひしめく白馬・後立山連峰

北アルプス北部の雄・白馬岳から唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳へと続く稜線は、紅葉の見どころが多いエリアだ。スキー場のロープウェイなどが利用できるコースも多く、稜線の快適な山小屋に宿泊すれば、気温の下がる秋でも安心して登山が楽しめる。

紅葉写真コンテスト2023/zuyanさんの作品
朝陽に照らされた杓子岳と白馬鑓ヶ岳(紅葉写真コンテスト2023より/写真=zuyan

10月6日 紅葉前線は柏原新道を下降中(冷池山荘)

稜線はピークを過ぎました。種池山荘周辺は晩秋へ向かいます。紅葉前線は柏原新道を大下降を開始しています。来週末スポーツの日の三連休は中間帯が見頃になりそうです。ちょっと渋めの今年の紅葉シーンですが、それはそれで味わい深いものです。

秋空と鹿島槍ヶ岳
秋空と鹿島槍ヶ岳(10月5日/写真提供=冷池山荘)

10月3日 冷え込みで一気に山肌が色づき始めました(五竜山荘)

少し遅れぎみだった紅葉が、今朝の冷え込みで一気に山肌が色づき始めました。ピークは週明けといったところでしょうか。

一気に色づき始めた稜線
一気に色づき始めた稜線(10月2日/写真提供=五竜山荘)

10月3日 主稜線の紅葉はピークを迎え、次第に山腹~山麓へ(冷池山荘)

小屋の立つ2400m台の主稜線の紅葉はほぼピークを迎えました。今年は紅葉に必要な冷え込みが少なく、稜線では落葉していまう葉もあるなか、運よく黄葉にまでこぎつけた木々はそれぞれが精一杯の紅葉シーンを披露してくれました。 ちょっと渋めの今年の稜線の紅葉紅葉でしたが、このあとは次第に前線を山腹~山麓へと下げて行きます。

鹿島槍の右には信越県境の焼山、火打、妙高山も
鹿島槍の右には信越県境の焼山、火打、妙高山もくっきり。赤いナナカマドの実は珊瑚のようですが、ちょっと渋めの今年の稜線の紅葉(10月1日/写真提供=冷池山荘)

9月26日 稜線はすっかり秋(唐松岳頂上山荘)

台風通過後から一気に気温が低下してきました。日中でも風があれば寒く感じます。稜線はすっかり秋となりました。登山者もほとんどの方が長袖姿です。来週は雪予報もあり装備の油断は禁物です。

9月25日 ようやく紅葉スイッチON(冷池山荘)

秋が少し前進。山荘でもようやく最低気温3℃程度になり、朝方は寒さを覚えるようになりました。日差しが強くても稜線を渡る風は冷たいものに変わってきています。ようやく秋の世界が到来。遅れていた稜線の紅葉もようやくスイッチが入った感じです。

今秋は高温が続き稜線の木の葉は、今ひとつ元気がありませんでしたが、今後冷え込みが続けば、頑張って今一段のステージを披露してくれることと期待しています。服装選びも抜かりなきようお願いいたします。

秋到来の鹿島槍ヶ岳
秋到来の鹿島槍ヶ岳(9月25日/写真提供=冷池山荘)

関連リンク

この記事に登場する山

富山県 長野県 / 飛騨山脈北部 後立山連峰

白馬岳 標高 2,932m

 白馬岳は、槍ヶ岳とともに北アルプスで登山者の人気を二分している山である。南北に連なる後立山連峰の北部にあって、長野・富山両県、実質的には新潟を加えた3県にまたがっている。  後立山連峰概説に記したように、この山の東面・信州側は急峻で、それに比して比較的緩い西面・越中側とで非対称山稜を形造っている。しかし信州側は山が浅く、四カ庄平をひかえて入山の便がよいため登山道も多く、白馬大雪渓を登高するもの(猿倉より所要6時間弱)と、栂池自然園から白馬大池を経るもの(所要5時間40分)がその代表的なものである。  越中側のものは、祖母谷温泉より清水(しようず)尾根をたどるもの(祖母谷温泉より所要10時間)が唯一で、長大である。  白馬三山と呼ばれる、本峰、杓子岳、鑓ヶ岳、そして北西に位置する小蓮華山の東・北面は、バリエーション・ルートを数多く有し、積雪期を対象に登攀されている。  近代登山史上では、明治16年(1883)の北安曇郡長以下9名による登山が最初であるとされている。積雪期では慶大山岳部の大島亮吉らによる1920年3月のスキー登山が初めての試みである。  白馬岳の山名は、三国境の南東面に黒く現れる馬の雪形から由来したといわれる。これをシロウマというのは、かつて農家が、このウマが現れるのを苗代(なわしろ)を作る時期の目標としたからであって、苗代馬→代馬(しろうま)と呼んだためである。白は陸地測量部が地図製作の際に当て字したものらしい。代馬はこのほかにも、小蓮華山と乗鞍岳の鞍部の小蓮華側の山肌にも現れる。白馬岳は昔、山名がなく、山麓の人々は単に西山(西方にそびえる山)と呼んでいたのである。また富山・新潟側では、この一連の諸峰をハスの花弁に見立てて、大蓮華山と総称していたようである。  この山からの眺望はすばらしく、北アルプスのほぼ全域はもとより、南・中央アルプス、八ヶ岳、頸城(くびき)や上信越の山々、そして日本海まで見渡すことができる。頂の展望盤は、新田次郎の小説『強力伝』に登場することで知られる。  日本三大雪渓の1つ、白馬大雪渓は登高距離が2kmもあり、全山にわたる高山植物群落の豊かさ、日本最高所の温泉の1つ白馬鑓温泉、高山湖の白馬大池や栂池自然園などの湿原・池塘群、こうした魅力を散りばめているのも人気を高めている理由である。また、白馬岳西面や杓子岳の最低鞍部付近などに見られる氷河地形、主稜線などで観察できる構造土、舟窪地形など、学術的な興味も深い。山頂部の2つの山荘(収容2500人)をはじめ山域内の宿泊施設も多い。

富山県 長野県 / 飛騨山脈北部

唐松岳 標高 2,696m

 後立山連峰のほぼ中央に位置するが、地味な存在である。ピラミッド型をしたこの山が大きく美しく見えるのは、主稜線の大黒岳付近からである。  主稜線を振り分けに、長野・富山両県からそれぞれ1本ずつの登山道が通じている。東からの八方尾根は、山岳スキー場として知られるが、途中の八方池は不帰ノ嶮を間近に仰ぐ憩いの場である(八方集落よりリフトなど利用して所要4時間)。西からの南越(なんこし)の道は、黒部渓谷からのもので、難路であったが、昭和61年、大黒鉱山跡まで尾根上をたどる新道に切り替えられた(祖母谷温泉より所要9時間)。  唐松岳北方の主稜線は、両側面からの浸食によって険しいやせ尾根となって、不帰ノ嶮と呼ばれている。ここは白馬岳からの縦走では、電気回路における抵抗のような存在となっているのである。南方への稜線はすぐに牛首岳を起こすが、ここも険路である。  八方尾根と主稜線とのジャンクションをなす小突起の西側に、抱かれるようにして唐松岳頂上山荘が建っている。間に深い黒部の谷を挟んで望む、ここからの剱岳の眺めは、後立山八景の1つに数えられよう。

富山県 長野県 / 飛騨山脈北部

鹿島槍ヶ岳 標高 2,889m

 この山は、後立山連峰の中央部に位置し、名実ともに後立山の盟主という存在である。  端麗と表現される南北2つの峰と、それを結ぶ吊尾根がつくるこの山の姿は、どこから眺めても美しい。この山に魅せられた岳人たちは、同時にこの山が内懐に秘める荒々しさのとりこにもなったのである。それは山麓からではうかがい知れない、北壁や荒沢奥壁などのバリエーション・ルートである。これらのルートの開拓は大正末期から昭和の初期に、学校山岳部を中心に華々しく行われ、それは日本におけるアルピニズムの歴史に、貴重な一頁を記しているのである。  鹿島槍ヶ岳への登路は、縦走路のほかには、東面・信州側から短くて急峻な赤岩尾根1本のみである(鹿島から所要9時間)。この尾根の途中の高千穂平は、鹿島槍ヶ岳のよき展望台ともなっているが、そこから眺める大冷(おおつべた)沢の源頭には、残雪期に獅子やツルの雪形が現れる。そこから昔は、山名をシシ岳とかツル岳、あるいは双耳峰からの連想で背比べ岳などとも呼ばれていた。現在の鹿島槍ヶ岳の山名は鹿島集落の背後にある槍ヶ岳といった意味である。山体は信州側は急崖、西面・越中側はなだらかな非対称山稜の典型である。  西面には、支稜の牛首尾根を挟んで東谷と棒小屋(ぼうごや)沢が、西面の水を集めて黒部川に注いでいる。この棒小屋沢と、剱岳東面を流下する剱沢とが、黒部峡谷に対して対向から合流する、有名な黒部の十字峡を形成している。  東面を落ちる白岳、大冷の各沢は、源頭部にバリエーション・ルートを提供している。その1つ、カクネ里はU字谷をなし、平家の落武者が隠れ住んだという(隠(かく)れ里(さと))伝説をもつ、ロマンを秘めた圏谷である。もちろんここに人が隠れ住むというのは不可能だが……。  南峰から主稜を南へ下ると、肩といった存在の布引岳(残雪が布を敷いたように見えるのでこの名がある)で、付近には船窪地形が散見される。その南の小平地には冷(つべた)池があり、冷池山荘が建っている。また吊尾根の雪田付近から北峰を巻いて北へ下ると、両側の谷からの浸食によって、主稜線に深いⅤ字形の切れ込みの入った八峰(はちみね)のキレットに出る。その北側にキレット小屋がある。  登山口の鹿島集落は昔から戸数11戸しかなく、集落の人々は平家の落武者の子孫といわれている。ここで民宿を営んでいる狩野氏宅には、近代登山以降の鹿島槍ヶ岳の登高記念帳が保存され、それがそのまま鹿島槍ヶ岳の登山史ともなっている。

紅葉情報

秋が深まるにつれて、山の表情は刻々と移ろっていきます。北は北海道、標高の高い日本アルプスから九州の山まで紅葉前線を追いかけて、全国の登山エリアの最新情報をお届けします。

編集部おすすめ記事