草もみじが見頃を迎えた神戦の舞台、戦場ヶ原で家族ハイキング【紅葉レポート】
読者レポーターより紅葉登山レポをお届けします。スラ男さんは家族連れで戦場ヶ原(せんじょうがはら)へ。
文・写真=スラ男
奥日光・戦場ヶ原は、小さな子連れでも自然たっぷりのハイキングが楽しめる、奥日光を代表する名所です。周辺の紅葉の見頃は例年10月中旬以降ですが、9月下旬から湿原が紅く染まる草もみじが見られます。
今回はマイカー利用で、いろは坂が渋滞する紅葉最盛期よりひと足早く、日光に訪れた秋を楽しみに行ってみましょう。
マイカー利用の場合、戦場ヶ原の最寄り登山口は赤沼駐車場ですが、ちょうどお昼時間だったため先に腹ごしらえを。近くにある三本松茶屋で日光高原牛を使ったビーフカレーをいただきます。旅先ではやっぱり地のものが食べたくなりますよねえ。
昼食後に車で赤沼(あかぬま)駐車場まで移動し、赤沼自然情報センターで身支度を整えます。子どもたちは、まあ手当たり次第に遊びますよね。このクルミ、なんだか叫んでいる顔みたいでかわいい(笑)。
登山口から5分ほど土の道を歩いて、木道に取り付きます。小さな子どもでも歩きやすく、坂道もほとんどないのでハイキングデビューにも安心です。しいて言うならば、木道の脇に落っこちると危険です。
戦場ヶ原全体の紅葉はまだまだ先ですが、真っ赤な実、少し黄色くなってきた葉っぱなど、少しずつ季節の変化が楽しめます。植物にあまり興味なし!という子どもには、ポケモンの登場人物で教えてあげるといいかもしれませんね。ほとんどが植物由来なんですよ。
木道の脇には清流・湯川が流れています。要所で広場が設けられており、野鳥や川魚の観察に来ている人も見られました。釣り人も多かったなぁ。
一方、湿原の中を流れている川は真っ赤です。「なんで赤いの?」という子どもたち。いい質問です。そもそもこの戦場ヶ原、なかなかに穏やかではないその地名には、こんな言い伝えがあります。その昔、下野の国(栃木)男体山(なんたいさん)の神と上野の国(群馬)赤城山(あかぎさん)の神が領地を争い、男体山は大蛇(おろち)に姿を変え、赤城山は大百足(むかで)となり熾烈な戦いを繰り広げました。
「ここで戦った神様たちが傷ついて、そのときに流れた血で赤いんだよ」と教えてあげました。
その様子は、三本松茶屋の屏風にも描かれていました。戦いはなかなか決着がつかず、男体山の神は弓の名手・猿丸に援護を頼みます。その弓矢は赤城山の神の目に刺さり、撃退に成功しました。
まあ、実際、川が赤いのは土中に酸化した鉄分が多く含まれているからだそう。案内板が多いので、歴史と地質のお勉強も交えながら散策が楽しめますよ。
木道を歩き進めていくと、湿原の見晴らしが利くエリアに入っていきます。夏頃にピンクの花園を形成するホザキシモツケは、今だと赤が強い草もみじとなっていました。
カヤツリグサ科やイネ科の植物が黄葉し、男体山をバックにした金色の草原が目の前に広がります。晴れていれば日光連山の堂々たる山容が見渡せるのですが、あいにくの濃霧。いや、濃霧もこれはこれでいいものです。 この先も戦場ヶ原は続いておりますが、小さな子どもの山デビューでもあり天候の悪化の心配もあるので、今回はここでリターン。帰りも木道の音を楽しみながら赤沼駐車場まで戻りました。
(山行日程=2024年9月29日)
奥日光に来たらぜひお立ち寄り、絶品のすいとん


スラ男(読者レポーター)
関東近郊の低山をメインに活動。低山で出会う、人と山とが深く結びついた歴史や民俗などを調べるおもしろさにのめりこみ、低山ワールドのさらなる深みへ。そのおもしろさを親子で分かち合いたく、子どもたちの原体験を育む意味も込めて親子ハイキングを始める。
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