謎のトンネル群の先にあったものとは?狭山丘陵の知られざる歴史と自然を訪ねるハイキング
都市近郊の里山を歩いていると、道や分岐が結構多く、また小さな尾根を隔てて風景がガラッと変わることもあっておもしろい。まだ見ぬトレイルや風景を求めて、都市近郊の自然探索へ。
写真・文=中島タツヤ
I氏からの情報
「狭山丘陵に軌道跡のトンネルがあるらしいですよ」
そう教えてくれたのは、同僚I氏だった。その時は、「へぇ、そうなんだ・・・」程度に聞き流していたのだが、狭山丘陵周辺をあちこち歩くようになり、まだ足を踏み入れていない場所を探している時に、その話を思い出した。
調べを進めるうちに場所の見当はついた。狭山丘陵の南側、ちょうど武蔵村山市役所の北あたりである。地形図を確認すると、確かにトンネルがいくつかありそうだ。そして周辺を一条線の道路が直線に延びていて、これがその軌道跡なのだろうか。一方、水色破線の地下水路が、その直線道路とほぼ同位置で重なっている。そして脇には「東京水道」の文字。軌道跡と水道?
地形図では、「武蔵村山市」の文字がちょうど重なっており地形がよく見えない。これは実際に足を運んでみないとわからないということで、訪ねてみた。
トンネルを抜けると、そこには・・・
東京多摩地域にある武蔵村山市の中心部から多摩大橋通りを北上していくと、狭山湖方面に通り抜ける途中、かたくりの湯(2024年10月現在は休業中)手前の東側にトンネルの入り口があった。その名は「横田トンネル」。小さな信号機の脇にあり緑に包まれているため、車で走行していたらその存在に気付かないのではないだろうか。
入り口上部には「自転車道」とあり、脇にはシャッター開閉時間が書かれている。夜間はシャッターが閉まり、立ち入れないようだ。後で聞いた話だが、係の人が中に誰もいないことを確かめながら閉めていくそうである。
ひとまずトンネルの中を進むと、ひんやりとした空気。所々濡れているが、一応電灯もついている。まっすぐ延びているトンネルは確かに軌道跡の感じはする。ただし、そこまで広くはない。
人けのなさに恐る恐る進むとすぐに出口となり、すぐ先に次の赤堀(あかほり)トンネルの入り口が登場した。そしてこの先、御岳(みたけ)トンネル、赤坂トンネルと続く。いくつもの小さな尾根を、自転車道のトンネルが貫いているのだ。
御岳トンネルを抜けると、左手に番太(ばんた)池がある開けた車道に出るが、山あいにある住宅地の一角で、最後の赤坂トンネルの場所が少々わかりづらい。赤坂トンネルを抜けると、舗装路は突然終わり、山道となる。自転車で走ってきた人にとっては、突然すぎる現実にとまどうかもしれない。ここから踏み跡をたどってみた。
この日は雨後だったため、強烈なぬかるみと格闘すること約5分強、目を奥にやると、うっそうとした緑の中に、金網で封鎖された隧道があった。「5号隧道」といわれているらしい。地形図を見るとこの道はここまでとなり、まさにデッドエンドである。いったん先ほどの番太池まで戻ることにする。
都市近郊の自然探索ハイキング
都市近郊の里山を歩いていると、道や分岐が結構多く、また小さな尾根を隔てて風景がガラッと変わることもあっておもしろい。この道はどこにつながっているのだろう?また、どんな景色が広がっているのだろう?まだ見ぬトレイルや風景を求めて、都市近郊の自然探索へ
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