奥多摩・御岳山の紅葉を楽しみ、ゴールはつるつる温泉へ【紅葉レポート】

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読者レポーターより登山レポをお届けします。寺尾雄二さんは紅葉真っ盛りの奥多摩・御岳山(みたけさん)へ。

文・写真=寺尾雄二


紅葉最盛期の御岳山へ。平日(金曜日)ですが、青梅駅で乗り換えた奥多摩行の電車は通勤ラッシュを思わせるほどの混雑でした。晴天のもと、多摩川沿いに走行する車窓からは、川沿いに色付いた木々が望めます。紅葉の時期なので多摩川の渓谷に沿った紅葉散策も楽しめそうです。

途中の御嶽駅では乗客のほとんどが下車しました。ここからはバスとケーブルカーを乗り継ぎ、手軽に御岳山山頂に行けるので、下車する人は観光客が大半でした。

ガラガラになった電車に揺られ、御嶽駅から二つ先の古里(こり)駅で下車します。駅前にはコンビニがあり、ここを起点としたハイキングの際は、飲料や食料も調達できて便利です。

駅から多摩川に沿った車道を15分ほど歩くと、登山口になります。登り始めは、奥多摩特有の杉林の単調な道を進みます。登山道は山の北面に位置しており、杉林で日差しがさえぎられるので、薄暗い雰囲気です。

奥多摩御岳山 杉林の登山道
登り始めの杉林の登山道

登山口から1時間ほどで尾根上の道になります。ここからは南側に広葉樹の斜面が広がり、日差しと相まって明るい景色に一変します。

奥多摩御岳山 尾根上部の風景
尾根上部の風景

尾根上の道を進むと、傾斜も徐々に緩やかになり、左側に御岳山ケーブルカー方面へ向かう分岐になります。大塚山へは直進、短い急登を過ぎれば明るい大塚山山頂に到着します。周辺の木々も色づきが目立ちます。

奥多摩 大塚山山頂付近
大塚山山頂付近

大塚山からは南側に面した道を進むので、日差しを受け、心地よい陽だまりハイクとなります。途中、真っ赤に染まった木々の脇のベンチで昼食休憩をとりました。

奥多摩 大塚山と御岳山の鞍部付近
大塚山と御岳山の鞍部付近

御岳山へのメインルートは、先ほどの御嶽駅を下車して向かう表参道ですが、古里駅から大塚山を経由して向かう今回のルートはハイカーも少なく、静かな山歩きが満喫できます。昼食休憩までは会う人もまばらでしたが、ここから5分ほどのケーブルカー山頂駅のある広場に出ると、観光客が一気に増えました。臨時便で運行しているケーブルカー乗り場には行列もできていました。

奥多摩御岳山 ケーブルカー山頂駅付近
ケーブルカー山頂駅付近
奥多摩御岳山 ケーブルカー山頂駅からの展望
山頂駅からの展望

ここからは観光客が往来する参道を御嶽神社へと向かいます。ケーブルカー山頂駅から参道にかけては、都心方面の展望もよく、色付いた木々も多くあり、この時期らしい景色が広がります。

奥多摩 御嶽神社への参道付近
神社への参道付近
奥多摩 御嶽神社社殿
御嶽神社社殿

御嶽神社に参拝した後は、長尾平方面に寄り道します。長尾平一帯も色づいた木々がみごとでした。この時期の観光スポットでもあり、やはり観光客の姿が目立ちました。

奥多摩御岳山 長尾平付近
長尾平付近

長尾平を後にして日の出山に向かいます。御岳山を過ぎると、さすがに人の姿も一気に少なくなります。御岳山から日の出山へは30分ほど、ほぼ1カ月前のハセツネ(日本山岳耐久レース)の時期と比べると、木々の色づきの変化が実感できます。

奥多摩御岳山 日の出山山頂
日の出山山頂
奥多摩御岳山 下山途中
下山途中

最後の展望ポイントである日の出山山頂で小休止した後は、目的地の「つるつる温泉」へと下ります。時刻は14時、山頂部や尾根付近は明るいのですが、尾根を外れ、東側斜面の道に入ると、日差しも届かなくなり、急に薄暗くなります。杉林の上部わずかにのぞく空は明るいのですが、その分、足元の道は一層薄暗さを感じます。まだ日の入りまでは充分時間はありますが、この時期の山行にはたとえ短いコースでもヘッドランプは必携です。

登山道を下りきると、つるつる温泉までは車道をしばらく歩きますが、沢沿いの道は気温も下がり、ひんやりとします。

目的地のつるつる温泉ではJR武蔵五日市行のバスが出ています。バスの出発時間までは2時間近くあったので、山の汗を流し、ゆっくりとくつろいで帰路に着きました。

(山行日程=2024年11月22日)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 5時間38分
行程:古里駅・・・登山口・・・大塚山・・・富士峰園地・・・裏参道分岐・・・神代ケヤキ・・・随身門・・・御岳山・・・長尾平・・・長尾平展望台・・・長尾平・・・随身門・・・神代ケヤキ・・・日ノ出山・・・クロモ岩・・・新旧道分岐・・・つるつる温泉
総歩行距離:約11,700m
累積標高差:上り 約1,156m 下り 約1,100m
コース定数:26
アドバイス:つるつる温泉発着バスは、JR武蔵五日市路線に加え、土曜・休日発着の「JR青梅線~宮野平駅~つるつる温泉」の新路線が2024年10月に開通。
寺尾雄二(読者レポーター)

寺尾雄二(読者レポーター)

埼玉県三郷市在住。定年退職後の現在、週1回のペースで筑波山に登っています。その他、春は残雪の北アルプス、秋は日本山岳耐久レース、元日の雲取山が年間のルーティンです。体力を維持しこれからも山を楽しみたいと思います。

この記事に登場する山

愛媛県 / 四国山地西部(石鎚山地)

石鎚山 標高 1,982m

 愛媛・高知県境を東西に連なる石鎚山脈の主峰で、徳島県の剣山とともに四国を代表する山である。愛媛県西条市と久万高原町の境界に位置する。  山頂は細長い岩稜で中央部に石鎚神社頂上社のある弥山(みせん、1974m)、南寄りに西日本最高峰天狗岳が天にそびえる。周囲は目もくらむような断崖絶壁で、安山岩の柱状節理がほぼ垂直に立つ。三角点は弥山北西の標高1921mの地点にある。  石鎚山は見る方向によって山容がさまざまに変化する。南の石鎚スカイラインからは、先端のとがったピラミッド型、西の面河方面からは、ギザギザの岩峰がそそり立ち、東の瓶ガ森付近からは、どっしりとした重厚な姿を見せる。  山頂の岩峰の形が山名の由来とされるが、石之霊(いしづち)(ツは「之」の意、チは霊力をもつ神や物を意味する古代語)という説もある。また、『古事記』には石土毘古命(いわづちひこのみこと)、『日本霊異記』には「石槌」などの名が記され、万葉の歌人山部赤人が「伊豫の高嶺」と詠んでいる。日本七霊山の1つに数えられる石鎚山は、石土毘古命を神とし、古くから御神体山として崇拝されてきた。奈良時代、役小角が開山して蔵王権現を祭ったと伝えられ、以後修験道場として栄え、青年期の空海も修行している。平安期には熊野修験の影響を受け、近世に入って一般庶民の登拝が盛んになり、このころに岩場に鎖がかけられた。明治維新の神仏分離令により石鎚山は権現号を廃止し、神社となった。頂上社、成就社、土小屋遥拝殿、山麓の本社の4社を総称して石鎚神社と呼ぶ。  毎年7月1日~10日までがお山開き大祭で、智仁勇を象徴する3体の御神像が頂上に安置され、各地の信者をはじめ、一般の登山者数万人で賑わう。頂上では、白装束の信者が御神像を体にこすりつけて無病息災を祈願する。  石鎚山の植物は暖帯から亜高山帯まで分布し、土小屋付近のウラジロモミ、山頂付近のシコクシラベなどの純林は見事である。また、ハクサンシャクナゲ、ミヤマダイコンソウなどの貴重な高山植物も見られる。  西条側の登山道を表参道、面河側を裏参道という。西条側にロープウェイ、面河側にスカイラインが開通してからは、西之川下谷と土小屋が新登山口となった。ルート上の岩場には一ノ鎖、二ノ鎖、三ノ鎖などの鎖がかかっており、巻き道もある。表参道はロープウェイ終点から成就社を経て山頂まで3時間30分。土小屋から山頂は2時間。  山頂からは360度のパノラマが展開し、瀬戸内海や太平洋から、はるか九州の阿蘇山、中国山地の大山までも望める。

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