下山メシに「三大名物」をめざして、栃木県・太平アルプス縦走

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読者レポーターより登山レポをお届けします。naobonさんは栃木県のご当地アルプス・太平アルプスを縦走しました。

文・写真=naobon


快晴の11月最終土曜日に、栃木県の太平アルプスに行きました。JR両毛線の岩船(いわふね)駅を出発点に晃石山(てるいしさん)、太平山(おおひらさん)縦走し、大平駅まで歩く旅です。

岩船駅からは、立派なテーブルマウンテンの形状をした岩船山が、美しくモルゲンロートに染まっているのが見えました。登山口から岩船山高勝寺(こうしょうじ)までは、紅葉の参道の階段を登ります。登りきると、岩船山高勝寺に到着です。ここは奈良時代に開山された由緒ある古刹で、本堂、三重塔、賽の河原、血の池などがあり、厳粛な空気が流れていました。

岩船山高勝寺
岩船山高勝寺

岩船山高勝寺から、いよいよ太平アルプス縦走スタートです。岩船山山頂には寄らず、いったん里山に下山する途上では、紅葉の中、双耳峰の筑波山(つくばさん)がとてもきれいに見えました。畑沿いの道を歩き、次の峰である、馬不入山(うまいらずさん)をめざします。標高は低くても、アップダウンが容赦なくあるのがご当地アルプスらしさを感じます。

筑波山
筑波山

途中、鷲(わし)神社にお参りをして、道なりに進むと、左手に馬不入山の登山口があります。樹林の道を50分ほど登ると、馬不入山頂に到着です。馬不入山は、その名の通り、馬も入れない険しい山とのいわれがあるそうです。あいにく山頂は樹林帯の中で展望はあまりありませんが、ベンチに座って少し休憩をとり、出発しました。

馬不入山山頂
馬不入山山頂

馬不入山からは、紅葉の中を小さなアップダウンを繰り返す稜線歩きを楽しみました。40分ほど歩くと、関東平野の展望が広がる桜峠に到着です。ここはかつて山桜の古木があったことからこの名前がついたそうです。逆コースで歩いている人たちも何組かいて、みなさんここで景色を楽しんでいました。温かい太陽の日差しを浴びて小休憩をとり、次のピークの青入山をめざします。青入山までは、急な登り道が続きます。アルプスの名をもつ山域は、一筋縄ではいきません。青入山の山頂は、さらに見晴らしがよく、遠くにテーブルマウンテンの荒船山が見えました。独特の形なので、県境を越えてもわかります。

荒船山遠景
荒船山遠景
秋晴れの登山道
秋晴れの登山道

景色を味わった後、今回のアルプス山行最高峰の晃石山に向かいます。心地よい紅葉の尾根道を、途中の分岐を右に進み、先に晃石神社にお参りします。師走の晃石神社では、地元の方々が境内を大掃除されていました。晃石山へは、晃石神社の裏手にある登山道を一気に登り、ほどなく山頂に到着です。

晃石神社
晃石神社

晃石山の山頂には、鳥居と奥宮があり、景色も抜群です。山頂にあるお手製の看板には、ここから見える山々の名前が記載されていたので迷わず確認します。近くには採掘所が、遠くにはすっかり雪化粧した富士山が見えました。ここで小休憩しどら焼きをほおばります。

晃石山の山頂
晃石山の山頂
富士山遠景
富士山遠景

晃石山を後にして、本日最後のピークの太平山をめざします。ここも紅葉の緩やかな樹林帯の道が続きます。途中、暖かな日差しに季節を勘違いしたのでしょうか、ツツジが咲いていました。富士浅間神社の裏を少し登って、本日最後のピークハントです。このあたりには、本日のゴール地点の太平山神社から、散歩がてら歩いてきた人もちらほらいて、にぎやかでした。

太平山山頂
太平山山頂

太平山を後にして、山の中にひっそりたたずむ奥宮を経由し、太平山神社に到着。太平山神社は交通安全発祥の神社でもあり、多くの人や、家族連れなどでにぎわっていました。ここは、サクラやアジサイの名所だそうで、季節を変えても楽しめそうです。

太平山神社
太平山神社

太平山神社からは参道の階段をひたすら降りていきます。山門をくぐり、山から下り、謙信平(けんしんだいら)に到着し、いよいよ下山メシです。ここは「太平山三大名物」といわれる、「卵焼き・焼き鳥・団子」が有名です。お茶屋さんもいくつか立ち並んでおり、どのお店にも、名物が並びます。お茶屋さんの前には外テーブルがあり、紅葉の木々の下で、遠く景色を眺めながらお食事を楽しめます。

今回は栃木家さんにて、おすすめの三大名物セットをいただきました。大きな出汁巻の卵焼きは、とてもおいしかったです。この日はお店のサービスで特製のコーヒーゼリーもついていて、ラッキーでした。“アルプス山行”の空腹と疲れを癒してくれました。

太平山三大名物ランチ
太平山三大名物ランチ
栃木家
栃木家

謙信平は、戦国武将の上杉謙信が北条氏康との和議を結んだ帰りに、兵馬の訓練のため太平山に登り、関東平野の景色の広さに感動した、といういわれのあるところです。腹ごしらえ後に謙信平から景色を眺め、しばし上杉謙信気分を味わいます。このあとは、大平下駅まで、のどかな里山を歩きます。平地まで来ると、今日歩いた稜線が一望できました。

謙信平からの風景
謙信平からの風景
歩いた峰々
歩いた峰々

下山後は、栃木駅近くにある銭湯「玉川の湯」(金魚湯)で汗を流しました。明治22年創業の老舗で、地元のみなさんに愛され、すてきな社交場になっています。その名の通り、金魚も見ることができる、レトロで味わいの深い銭湯でした。

玉川の湯
玉川の湯

蔵の街・栃木を観光した後に、早めの晩はん、本日2回目の仕上げの下山メシを喫茶BAKUでいただきます。ここはかわいらしい小さな喫茶店で、ご夫婦が笑顔で迎えてくれました。こちらも地元のみなさんに愛されているお店。名物のBAKUサンドとオムライスをいただきました。どれもとてもおいしくあたたか。身も心もほっこりあたたまり、帰路につきました。思い出いっぱいの“アルプス山行”でした。

喫茶BAKUのBAKUサンド
喫茶BAKUのBAKUサンド

(山行日程=2024年11月30日)

ドラマ『下山メシ』放送中!

ドラマ『下山メシ』(テレビ東京)放送中!
https://www.tv-tokyo.co.jp/gezanmeshi/

・各話放送直後より「TVer」にて見逃し配信
https://tver.jp/series/srwqr08jrt

・各話放送終了後より「Netflix」にて見放題独占配信
https://netflix.com/title/81944249

ドラマの原案となった山と溪谷オンラインの連載はこちら。
https://www.yamakei-online.com/yama-ya/group.php?gid=19

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 5時間25分
行程:岩舟駅・・・高勝寺・・・分岐・・・鷲神社・・・馬不入山・・・桜峠・・・晃石山・・・ぐみの木峠・・・太平山・・・太平山神社・・・謙信平・・・客人神社・・・大平下駅
総歩行距離:約11,700m
累積標高差:上り 約889m 下り 約885m
コース定数:23
naobon(読者レポーター)

naobon(読者レポーター)

東京都在住、神戸市出身。夏山シーズンは日本アルプスの稜線縦走を、冬は低山・里山ハイキングや山城巡りを、気ままに楽しんでいます。山行後の温泉とビールにこの世の極楽を感じる、週末ハイカーです。

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この記事に登場する山

栃木県 / 安蘇山塊

太平山 標高 341m

 栃木市にある太平山県立自然公園の主体をなし、一等三角点のある最高峰、晃石山(てるいしさん)を含めて太平山と呼ぶ。  山頂近くの太平山神社は天長4年(827)、慈覚大師の創建と伝えられる古社で、境内は荘厳な雰囲気を漂わせる。桜の名所として知られているが、謙信平から見る霧に浮かぶ関東平野は「陸の松島」とも呼ばれるほど。  桜峠付近はヤマザクラの淡いピンクが山を染め、大平山神社参道はアジサイに彩られる。  ふもとには『雨月物語』で知られる大中寺や岩舟山高勝寺などの名刹、古刹もある。  太平山から馬不入山(うまいらずやま)に至るコースは関東ふれあいのみちとして整備されている。  JR両毛線大平下駅、東武日光線新大平下駅から太平山頂まで1時間10分、晃石山まで2時間、馬不入山へ縦走しても岩舟駅まで4時間。栃木駅から神社入口までバス便がある。

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