今だけの絶景! 高尾山からダイヤモンド富士を観賞

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読者レポーターより登山レポをお届けします。寺尾雄二さんは高尾山でダイヤモンド富士観賞。毎年、12月の10日間ほどしか見られない景色です。

文・写真=寺尾雄二


ダイヤモンド富士の景色と下山後の温泉、下山メシを楽しみに、高尾山へ。初冬の奥高尾の雰囲気も味わいたく、高尾駅13時12分発の小仏(こぼとけ)行バスに乗車しました。乗客は10名ほど。昼も過ぎた時刻なので山に向かう姿は私だけでした。出発したバスは、すぐに国道20号から右の脇道に入ります。ほどなくすると旧小仏関所前を通過します。江戸時代に設置された重要な関所のひとつですが、観光名所となっている箱根の関所に比べると、こちらは関所跡を示す石碑と小さな説明板が設置されているのみで、ひっそりとしています。

旧小仏関所跡地。停車したバスの車窓から
旧小仏関所跡地。停車したバスの車窓から

乗客のほとんどは近くの停留所で下車し、終点の小仏バス停で下車したのは私と近所の 方と思われる1名のみでした。バスは折り返し高尾駅に向かいますが、下車した私たちと入れ違いに下山したハイカーの方3名が乗車していきました。

終点の小仏バス停。後方は中央自動車道
終点の小仏バス停。後方は中央自動車道

バス停からはしばらく、緩やかな車道歩きとなります。この付近はすぐ近くに中央自動車道が並行しており、走行する車両の音がにぎやかです。車道は徐々に狭まり、山道へと変わります。緩やかな傾斜の山道を登りきると小仏峠に到着します。さすがにここまで来ると、中央道の騒音も聞こえず、静寂さが感じられます。

小仏峠への山道
小仏峠への山道
ひっそりとした小仏峠
ひっそりとした小仏峠

小仏峠からは整備された縦走路を東へと向かいます。所々に木製のベンチも設置され、気持ちのよい尾根歩きです。

奥高尾縦走路
奥高尾縦走路

小仏峠からは20分足らずで小仏城山(こぼとけしろやま)に到着します。山頂は広く茶店もあり、休憩用のベンチや椅子が多く設置され、休憩場所として最適です。紅葉時も過ぎた平日なので、茶店は閉まっていました。営業中ならば、温かいキノコ汁と味噌田楽を楽しめましたが・・・。

茶店。一見すると開店していそう
茶店。一見すると開店していそう
小仏城山からの展望
小仏城山からの展望

近くでは、ハイカーのグループが3組ほど談笑していました。私も持参したテルモスのお湯でコーヒーをいれて小休止。日差しは傾いていましたが、風もなく、あまり寒さは感じませんでした。

小仏城山を後に、高尾山へと向かいます。昔は冬の時期は日中、溶けた霜柱で泥濘に悩まされた縦走路ですが、木道、木段が整備された現在は、非常に歩きやすく快適です。途中、一丁平手前の展望台からは丹沢の山がすぐ近くに望めます。

展望台から望む丹沢大山
展望台から望む丹沢大山

縦走路はアップダウンが続きますが傾斜は緩やかです。ほどなくもみじ台に到着。周辺の木々は落葉し、初冬の景色です。平日の夕方なので歩行中はすれ違う人もまばらでしたが、もみじ台では10名ほどのハイカーが休憩していました。

もみじ台。ほぼ落葉
もみじ台。ほぼ落葉

もみじ台からいったん下り、石段をわずかに登り返すと高尾山の山頂に到着します。時刻は16時、山頂には観光客も含め、100名を超える人がいて、一気ににぎやかな雰囲気となりました。外国人の方も見かけます。

ちょうどこの日(12月16日)は、高尾山頂から望む、ダイヤモンド富士の初日です。ダイヤモンド富士とは、富士山の頂上に太陽が重なってダイヤモンドのように輝いて見える現象のことです。

山頂に集まる人の中にはカメラの三脚を構えた方も見かけました。この日のダイヤモンド富士は16時10分ごろ。山頂にかかった夕日はわずかな時間で富士山の陰に隠れて日没となりました。高尾山の「ダイヤモンド富士」は26日ごろまで観賞できるとのことです。

ダイヤモンド富士
ダイヤモンド富士

日没後は、富士山のシルエットがよりはっきりと浮かび上がってきます。しばらくは夕暮れの富士を眺める楽しみもありますが、日没後は気温も急激に下がりますので充分な防寒対策が必要です。

山頂に集う人々
山頂に集う人々

ダイヤモンド富士を観賞した後は、1号路を下山します。平日なのに多くの観光客やハイカーを見かけ、やはり高尾山人気の高さに驚きます。途中、薬王院に立ち寄り拝礼、薬王院付近の土産屋はすでに閉店していました。

薬王院付近。まだ紅葉が残った木々も
薬王院付近。まだ紅葉が残った木々も

薬王院からしばらくの下りで、ケーブルカー駅方面の道との分岐点になります。ほとんどの人はケーブルカー方面に向かいますが、私はヘッドランプを準備してそのまま1号路を進みます。道は舗装されていますが、暗闇の下り道なのでつまずきに注意。ケーブルカー分岐点からは30分ほどで山麓駅に到着します。日中はにぎやかなこの場所も、土産物屋や蕎麦屋もすべて閉店後でひっそりとしています。ほどなく高尾山口駅前の日帰り温泉施設「京王高尾山温泉 極楽湯」に到着。時刻は17時過ぎでした。

下山後一号路を振り返る
下山後一号路を振り返る
日帰り温泉「極楽湯」
日帰り温泉「極楽湯」

冬の山歩きで冷えた後の温泉は格別です。のんびり浸かった温泉の後は、併設の食事処に向かい、下山メシで最後の楽しみを満喫しました。ここは駅前に位置しており、電車も21時までは10分間隔で出発しているので、時間を気にせず過ごせます。

下山メシ。お酒も頂きました
下山メシ。お酒もいただきました

(山行日程=2024年12月16日)

ドラマ『下山メシ』放送中!

ドラマ『下山メシ』(テレビ東京)放送中!
https://www.tv-tokyo.co.jp/gezanmeshi/

・各話放送直後より「TVer」にて見逃し配信
https://tver.jp/series/srwqr08jrt

・各話放送終了後より「Netflix」にて見放題独占配信
https://netflix.com/title/81944249

ドラマの原案となった山と溪谷オンラインの連載はこちら。
https://www.yamakei-online.com/yama-ya/group.php?gid=19

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 3時間50分
行程:小仏・・・景信山登山口・・・小仏峠・・・城山(小仏城山)・・・一丁平・・・大垂水峠分岐・・・高尾山・・・高尾山駅・・・金比羅台・・・高尾山口駅
総歩行距離:約9,800m
累積標高差:上り 約795m 下り 約893m
コース定数:18
アドバイス:2024年の高尾山から見られるダイヤモンド富士の見頃は、12月26日まで。時間は16時~16時15分ごろ。期間中は、ケーブルカーの最終が18時まで延長運転される。
寺尾雄二(読者レポーター)

寺尾雄二(読者レポーター)

埼玉県三郷市在住。定年退職後の現在、週1回のペースで筑波山に登っています。その他、春は残雪の北アルプス、秋は日本山岳耐久レース、元日の雲取山が年間のルーティンです。体力を維持しこれからも山を楽しみたいと思います。

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この記事に登場する山

東京都 / 奥多摩

高尾山 標高 599m

 関東の三霊山の1つ、薬王院有喜寺がある。天平16年(744)奈良期の高僧行基が開山したと伝えられている。高尾山頂は有喜寺からさらに登った所にある。山頂の三角点のかたわらに十三州見晴台の標識がある。  山麓には高尾自然科学博物館があり、山中の動植物の標本の展示がある。また山頂に向かうケーブルカーとリフトがあるが、低い山なので歩いて登りたい。1号から6号の自然歩道があり、山の自然を観察することができる。山頂から冬の晴れた日には相模湾に浮かぶ江ノ島まで見渡すことができる。  山頂から西に山稜をたどり、一丁平、城山、小仏峠を経て景信山、陣馬山へと足を延ばす登山者が多い。高尾山一帯は有喜寺の境内だが、開発で一部の自然が破壊されつつある。  高尾山口駅から薬王院有喜寺―高尾山―城山―小仏峠を経由して高尾駅まで約4時間。

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