キツイ登りでも振り返れば絶景! 大倉尾根から塔ノ岳日帰り

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読者レポーターより登山レポをお届けします。なおさんは塔ノ岳(とうのだけ)を大倉(おおくら)尾根・通称「バカ尾根」から日帰り。

文・写真=なお


年内最後の登山に、塔ノ岳に行きました。過去に一度行ったときは鍋割山(なべわりやま)経由だったので、大倉尾根・通称「バカ尾根」に初挑戦です。

朝4時起きで7時30分には登り始める予定が、まさかの2時間の大寝坊。9時過ぎに大倉バス停に到着し、9時10分ごろに登山を開始しました。

20分ほど登ると観音茶屋に到着。コーヒーやおしるこ、かき氷が売られていました。

観音茶屋
観音茶屋

雲一つない快晴で、12月半ばにしてはかなり温かく、服装はベースレイヤーとロングTシャツ1枚で充分でした。ペースを上げすぎないことを心がけながら登っていきます。

心地よい陽気のなか歩きます
心地よい陽気のなか歩きます

観音茶屋から15分ほど歩くと、見晴茶屋に到着。

この時はまだ開店前。下る時には開いていました
この時はまだ開店前。下る時には開いていました

茶屋の前からは湘南の海が見えます。まだ40分ほどしか経っていないのにこの眺めは、丹沢ならではです。

見晴茶屋からの眺め
見晴茶屋からの眺め
登りが続きます
登りが続きます

キツイとうわさのバカ尾根にドキドキしていましたが、暑すぎず寒すぎない気候と、なるべく荷物を軽くしてきたおかげか、思っていたよりスムーズに歩みを進めることができました。

見晴茶屋から40分ほどで、堀山の家に到着。

堀山の家
堀山の家

とてもかわいらしい木の実のリースが売られていました。堀山の家の方の手作りだそうです。下る際に購入しました!

手作りの木の実リース
手作りの木の実リース

さらに登っていくと眺望が開けてきて、富士山の登場です。想像より早く富士山が見られテンションが上がった一方で、残念ながら上の方は雲が被っていたので「2時間早く起きられていたら・・・」と少し後悔の念にかられました。

登山道から眺める富士山
登山道から眺める富士山

登山道にはところどころに少しだけ雪が残っていました。

登山道に残る雪
登山道に残る雪

階段の途中で後ろを振り返ると、すばらしい景色が広がっていました。

海と伊豆半島
海と伊豆半島

最高すぎて、登りのキツさも気になりません。塔ノ岳は山頂からの眺めが抜群というイメージを持っていましたが、登山道からの景色もこんなにいいのですね。

堀山の家から40分ほどで、最後の小屋・花立山荘に到着しました。うどん、とん汁、おしるこなどがありました。

花立山荘
花立山荘

今回のコースは、山小屋の豊富さも驚きポイントでした。寝坊をしたうえに15時から雨の予報だったので、あまりゆっくりできず、いずれの小屋でも食事やお茶をしなかったのですが、惜しいことをしたなと思いました。次に来るときには、ぜひ寄ってみたいです。

花立山荘から金冷しの間の眺めもすばらしかったです。

花立山荘と金冷しの中間あたりからの景色
花立山荘と金冷しの中間あたりからの景色

15分ほどで金冷しに到着しました。鍋割山と塔ノ岳の分岐です。ここまで来たら、山頂まであと少し。

金冷し
金冷し

最後、急な階段を登ると、塔ノ岳の山頂に到着です!

塔ノ岳山頂
塔ノ岳山頂

大変に気持ちのいい眺めです! 東京方面はかなり遠くまで見渡せました。

東京方面の眺め
東京方面の眺め

山頂は風が強く、さすがに寒い。フリース、ダウン、ネックウォーマー、手袋を装着し、お昼ごはんをとりました。

40分ほど休憩をし、帰路につきました。バカ尾根はつらそう、となんとなく敬遠していましたが、眺めが非常によく、山小屋も多く、大好きなコースになりました。

帰宅後は早速、堀山の家で購入したリースを飾りました。壊れないよう丁寧に包んでくださったおかげで、きれいなまま持ち帰ることができました。とてもかわいくてお気に入りです。

堀山の家で購入した木の実リース
堀山の家で購入した木の実リース

(山行日程=2024年12月21日)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 6時間55分
行程:大倉・・・観音茶屋・・・雑事場ノ平・・・駒止茶屋・・・小草平・・・茅場平・・・花立山荘・・・金冷シ・・・塔ノ岳・・・金冷シ・・・花立山荘・・・茅場平・・・小草平・・・駒止茶屋・・・雑事場ノ平・・・観音茶屋・・・大倉
総歩行距離:約13,100m
累積標高差:上り 約1,495m 下り 約1,495m
コース定数:32
なお(読者レポーター)

なお(読者レポーター)

神奈川県藤沢市を拠点に、夏はアルプス、秋〜春は関東近郊や九州の山に夫婦で登っています。特に北アルプスと伊豆が好きです。

この記事に登場する山

神奈川県 / 丹沢山塊

塔ノ岳 標高 1,491m

 表丹沢の中心に位置し、丹沢で最も人気のある山。秦野(はだの)市、山北町、清川村の境にある。昔は山頂一帯がうっそうとしたブナ林であったというが、今は全くその面影もない明るい山頂になっている。天気のよい休日ともなれば、多くの登山者が赤土と石ころの山頂で、車座になって休んだり昼食をとっているが、これなど塔ノ岳山頂の見慣れた風景である。  昔は山頂の北側に尊仏岩という高さ3丈、約9mほどの大岩があったと記録されている。そのためこの山は尊仏山とか孫仏山とも呼ばれた。山麓の人々は尊仏の大岩を「お塔」と呼んで信仰の対象とし、特に雨乞いの神としてあがめていた。そのためこの山を「お塔の山」と呼び、それが「塔ノ岳」になったという。その意味からすると、一般に使われている塔ヶ岳より、塔ノ岳が正しいことになる。  塔ノ岳のお祭りは毎年5月15日に行われ、近在の農民が登ってきては大いに賑わい、お塔の大岩の下の土を掘っては田畑にまいて豊作を祈願したという。このお塔の大岩は大正12年(1923)の関東大震災のときに、北西の大金沢に崩れ落ちてしまったという。  また祭りの日の山頂は賭場が開帳され、関東一円から親分、子分が登ってきたという。そしてこの賭場は、なんと第2次大戦後の昭和25年ごろまで続いていたというから驚きである。  山頂には尊仏岩にちなんだ尊仏山荘があり、通年営業している。山頂からの展望はすばらしく、丹沢山塊の全貌が眺められ、さらに富士山から南アルプスにかけての大展望、また相模湾と伊豆の島々など欲しいままの展望が得られる。  登山コースは各方面から整備されているが、その代表に大倉尾根経由のコースがある。小田急線渋沢駅からバス大倉下車で3時間で塔ノ岳に達するが、このコースはあまりにも多くの人に歩かれているため、赤土の登山道が崩れたり、深い堀割状になってしまい、そのため登山道全体が階段状に補修されている。なるべくなら塔ノ岳へは、大倉尾根以外のコースを利用することをお勧めしたい。  まず、表尾根は秦野駅からバスでヤビツ峠下車、三ノ塔を経て4時間で塔ノ岳。政治郎尾根は大倉から戸沢出合を経て表尾根の行者岳へ出る。大倉から行者岳まで3時間30分、行者岳から表尾根を経て塔ノ岳まで1時間20分、合計約5時間。訓練所尾根コースは大倉から四十八瀬川沿いの林道を歩き、二股の少し先の尾根を経てブナの美しい小丸へ約3時間30分、小丸から塔ノ岳へは40分で合計4時間強。このほかに玄倉からユーシンを経る静かなコースもある。

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