駅からハイクで名古屋市最高峰へ。季節のフルーツとハンバーグに満たされる

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名古屋市で駅からハイキング。名古屋市最高峰の東谷山(とうごくさん)を歩き、下山後は東谷山フルーツパークのレストハウスを訪れた。

写真・文=西野淑子

なじみのない山域で、日帰り山歩きをしてみたい

『山と溪谷』12月号の駅からハイキング特集を見て、あたりをつけたのは名古屋の東谷山。名古屋市内にハイキングができる山があるのかと驚いたし、調べてみたら名古屋駅からそれほど遠くなくアクセスができる。古墳あり展望あり、とても楽しそうだ。

電車を乗り継ぎ、JR中央本線の高蔵寺駅に到着。いちおう晴れ予報だったはずなのだが空は厚い雲に覆われている。歩き始めたら雪が舞ってきた。なんでだよ、聞いてないよ。

東谷山の山頂展望台からの眺め
東谷山の山頂展望台からの眺め。実は雪がうっすら降っていた

古墳が点在する公園を歩くと、目の前にたおやかな山容の東谷山が眺められた。集落を進み、登山口に。いつも歩いている関東地方の低山とは違う植生がなんとも新鮮だ。山頂の尾張戸神社は社殿が改修中だった。木造の展望台に登ると、街並みの向こうに山々が連なっているのが眺められた。あれは伊吹山(いぶきやま)かな、あちらは名古屋の市街地かな。見慣れない景色にワクワクする。

山麓から望む東谷山はたおやかな姿
山麓から望む東谷山はたおやかな姿

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 2時間20分
行程:高蔵寺駅・・・白鳥塚古墳・・・東谷山散策路入口・・・参道入口・・・東参道分岐・・・東谷山・・・中社古墳・・・東谷山散策路入口・・・白鳥塚古墳・・・高蔵寺駅
総歩行距離:約5,800m
累積標高差:上り 約205m 下り 約205m
コース定数:8

肉がみっしり、まろやかソースの煮込みハンバーグ

展望と古墳めぐりの山歩きを終えた。寒い寒い、お腹もすいた。

山に向かう道中、東谷山フルーツパークの敷地内を通過する。果樹園や熱帯果樹温室などがある、フルーツをテーマにした農業公園だ。時季によっては収穫体験などもできるそう。東谷山フルーツパークにはレストハウスがあり、新鮮なフルーツを使ったジュースやデザートが味わえると聞いた。とにかく暖かい部屋の中でなにか食べて帰りたい。

東谷山フルーツパーク内のレストハウス
店は東谷山フルーツパークの園内に立つ
東谷山フルーツパーク内レストハウスの店内
明るいガラス張り、ゆったりした間取りの店内(写真提供=東谷山フルーツパーク)

店頭のメニュー看板を見て、フードメニューもあることを確認。店内に入る。

入口で食券を買うシステム。写真付きの料理説明が貼り出されていて、どれもおいしそうだ。ソースが選べるジャンボチキンカツ定食にそそられるし、寒いから温かいうどんもよさそう。本日のランチはアジフライトマトソースだって。フルーツを使ったデザートの種類も多いけど、ごはんを食べ終わってから考えよう。

少し悩んでオーダーしたのは、煮込みハンバーグ。ご飯またはパン、サラダとミニフルーツ、スープ(ご飯の場合は味噌汁)付き。そしてふと目についた「ホットみかんエード」。温かいみかんジュース、今まさに欲しいドリンクじゃないか。

食券の券売機脇にメニューが張り出されている

店内は明るいガラス張り、屋外が見渡せて、晴れていたら気持ちよさそうだな。

それほど待たずに番号が呼び出されて、料理が出てきた。

まずはホットみかんエード。かわいらしいグラスに、ほかほかと湯気をたてたジュースが注がれている。輪切りのみかんも入っている。グラスを両手で持って、一口。・・・温かさが染みるなぁ。みかんのやさしい甘みが口いっぱいに広がる。市販の100%みかんジュースより格段に風味がよく、ほんものの「果物のみかん」の味わいだ。いいなぁ、これは大成功だ。

ホットみかんエード
ホットみかんエード。果肉のつぶつぶがたっぷり

そして煮込みハンバーグへ。ご飯、フルーツが添えられたサラダ、味噌汁、デザート。添えられた料理が盛りだくさんでうれしくなる。

まずはメインの煮込みハンバーグ。器とほぼ同じ大きさの巨大なハンバーグに驚く。ちょっと大き過ぎじゃないですかね…。箸でハンバーグを切ると、思ったより密度が濃い。みっしりとしている。ソースをからめて一口。おお、肉の旨味がじわりと来るね。そしてソースはまろやかな味わいだ。しめじやマッシュルーム、きのこがたっぷり入っている。ソースの味が濃過ぎないのも、トッピングのチーズがほどよい量なのも好ましい。おいしいじゃないか!

味噌汁は赤出汁。タマネギやニンジン、大根などたっぷりの具がくたくたに煮込まれている。添えられたミツバがふんわりといいにおいだ。

煮込みハンバーグセット
煮込みハンバーグセット。メインに白飯、味噌汁、サラダ、デザートがつく

食べてもなかなかなくならないハンバーグに幸せを感じながら、白飯とともに食べ進め、最後にみかんエードを飲み切って、ごちそうさまでした。これだけ満腹では、デザートは無理だったよ。看板に出ていたいちごのパフェ、おいしそうだったけどな。毎度のことながら、胃袋が無限でないことが残念だ。

チーズがかかった煮込みハンバーグ
煮込みハンバーグ。チーズがかかったハンバーグはボリューム満点だった

「ごちそうさまでした。おいしかったです」お店の方に声をかける。

寒かったから、ホットみかんエードの温かさと甘みが本当に染みた。これはいつでも味わえるのかしら。

「ホットみかんエードは寒い時期限定のメニューなんですよ。果樹園で栽培したみかんを使っているんです」

フルーツのドリンクやデザートは、季節ごとに旬のフルーツで作っているのだそう。フードメニューも、今回食べた煮込みハンバーグは寒い時期限定だった。季節に合わせて旬の食材を取り入れたり、調理法を変えている。いいじゃないか。

「今提供しているいちごのパフェは自家栽培のいちごではないのですが、桃のパフェはフルーツパークの果樹園で栽培したものを提供しているんですよ」

お店の方がにこにこしながら話してくれた。・・・そんなことを聞いてしまったら、もう一度ここに来るしかないじゃないか。

まあいい、次回はもう少し暖かい時期に、晴れの日を狙って来よう。

春はサクラのお花見も
春はサクラのお花見も楽しみ(写真提供=東谷山フルーツパーク)

フルーツパークテラス

東谷山フルーツパークの園内にあるレストハウス。植物や果実をイメージしたナチュラルテイストの店内で、フルーツを使ったメニューが味わえる。
※煮込みハンバーグは2月末まで、ホットみかんエードは3月中旬までの提供

電話 052-736-3344(東谷山フルーツパーク)
住所 愛知県名古屋市守山区大字志段味字東谷2110

この記事に登場する山

愛知県 /

東谷山 標高 198m

東谷山は名古屋市守山区と瀬戸市の境に位置する、名古屋市最高峰の山。ファミリー向きの山で、山頂には1000余年の歴史をもつ尾張戸神社の本殿が建ち、昔から疫病除けの神として知られている。 山頂は尾張戸神社古墳群、南山麓には南社古墳、中社古墳と2つの古墳があるなど、古墳の山でもある。 山頂の展望台からは、遠く伊吹山、鈴鹿山脈、JRセントラルタワー、そして東側に猿投山、三国山、瀬戸市街地を望むことができる。 周辺は戦中戦後にかけて盛んだった亜炭採掘跡の池が点在する。

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きから沢登り、雪山登山まで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

下山メシのよろこび

登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。

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