東京近郊でブナの新緑が美しい山、奈良倉山。ブナとミズナラと富士山を楽しめる「穴場の山」へ
低山フォトグラファーの渡邊明博さんに、季節に合わせた低山を紹介してもらう連載。今回は「東京近郊でブナの新緑が美しい山」をテーマに、穴場の山・奈良倉山(ならくらやま)と、都民の森にそびえる三頭山を紹介!
6月に入ると「梅雨晴れ」が恋しくなります。そんな梅雨の晴れ間を狙って歩くなら、山梨県の奈良倉山(標高1348m)をオススメします。奈良倉山はブナとミズナラと富士山を楽しめる「穴場の山」と言ってよいでしょう。
コースは、鶴峠から登る方法と、松姫峠から登る方法があります。また、奈良倉山だけでは物足りないという方には、鶴峠から奈良倉山に登った後、松姫峠、鶴寝山、大マテイ山まで歩いて、小菅の湯に下山し、湯に浸かるのもおすすめです。
登山口へはJR上野原駅からバスで。4月に新装された駅は、ロータリーも広く、隣接するショッピングセンターも間もなく開業するので、一層便利になるでしょう。
ここから富士急山梨バスの鶴峠行きか松姫峠行きに乗り、1時間以上バスに揺られることになります。鶴峠からだと登りで90分、松姫峠からだと、なだらかな尾根を45分で、奈良倉山に到着します。
ブナ林は、松姫峠付近と奈良倉山に多く見られます。そして、晴れていれば、奈良倉山山頂から均整がとれた美しい富士山を望むことができるでしょう。奈良倉山は、大月市が選定する「秀麗富嶽十二景」の山のひとつにも選ばれています。
マイカーでのアプローチの場合は、松姫峠に停められるスペースがわずかにある程度。なので、小菅の湯にある物産館駐車場に車を停めて置き、上野原から来るバスに乗って松姫峠にアプローチし、奈良倉山を往復して、鶴寝山に縦走して小菅の湯に戻る、というルートを考えてみてはいかがでしょう。
ブナの瑞々しさを味わえるこの季節だからこそ、ぜひ登ってみたい山です。
もうひとつのオススメ山 三頭山
ブナの新緑というテーマでは、奈良倉山の東隣りに位置する三頭山(1531m)も素晴らしいです。
三頭山というと、武蔵五日市からバスに乗り、都民の森から入るのがメジャールートですが、上野原からのバスを鶴峠で下りたら、西側が奈良倉山、東側が三頭山になります。
もちろん、マイカーでもアプローチできる都民の森から歩けば、標高差も少なく、家族連れでも楽しめます。山中はブナの巨木が多く、その容姿は美しく、樹の息吹を感じるに違いありません。また新緑の中に流れ落ちる三頭大滝も見逃せないポイントです。
プロフィール
渡邉 明博
1957年、東京都生まれ。中学時代に写真を始め、1976年から商業カメラマンとして写真を仕事とする傍ら、「山上から富士山を撮る」をテーマに山岳写真家としても確立。「低山フォトグラファー」として中央線沿線の低山にくまなく通い四季折々の風景を撮影。のべ150日に渡る実踏取材を元に『高尾山と中央線沿線の山』(山と溪谷社)を2016年に上梓。白籏史朗賞日本山岳写真コンテスト入選ほか受賞歴多数。山岳写真ASA会長。(写真=水谷和政)
低山フォトグラファーの気ままな山歩き
冬場はもちろん、真夏であっても、低山には見どころがたくさんあります。 ガイドブック『高尾山と中央線沿線の山』の著者で、「低山フォトグラファー」の渡邉明博さんに、季節季節のおすすめ低山情報を聞きました。