一面にミツマタが咲き乱れる妖精の森、焼森山
読者レポーターより登山レポをお届けします。真鍋 晋さんは満開のミツマタが咲く焼森山(やけもりやま、やけもりさん、423m)へ。
文・写真=真鍋 晋
ミツマタは和紙の原料で、紙幣はこれから作られる。小学校の社会科の授業で習った時には、さぞかしお堅い植物だろうと連想していた。ところが、実際の花を見ると意外にもとてもかわいい。枝がカメラの三脚のように3つに枝分かれしていくことから、“ミツマタ”と呼ばれる。花は筒状で小さく、淡い黄色と白である。これが30~50個集まって、4~5cmほどの玉を作る。3~4月になると、桜のように葉より先に花が咲き、群生地では一面に広がる。栃木と茨城の県境にある焼森山は、このミツマタの群生地として有名である。
群生地への最寄りの駐車場は、鶏足山(けいそくさん)駐車場である。今回は、もう一つの駐車場である「いい郷さかがわ館」から群生地と焼森山を周回した。
朝8時、駐車場を出発。焼森山登山口まで2kmほど車道を歩く。登山口からはいよいよ山道が始まるが、傾斜はゆるく、足場もよい。30分ほどで一の越分岐に着き、ここからは周回コースとなる。混雑する前にミツマタ群生地を訪れたかったので、今回は時計回りのルートにした。
分岐からは、道幅が狭くなり、勾配はやや急となる。前日の雨で、足元が緩く、とても滑りやすかった。充分に注意をして10分ほど下ると、鶏足山駐車場からのもう一つのルートと合流する。ほどなくミツマタ群生地に到着する。まだ朝9時だったが、この日は日曜日であり、すでに300人が訪れたという。やはりシーズンには大変なにぎわいとなる。受付では、保全管理費として500円を支払う。
群生地は高い杉が林立するV字の谷で、背の高さほどのミツマタが一面を埋め尽くしている。視界の届く範囲は、無数の淡い黄色の玉が、ゆらゆらと揺れ動いていて、とてもみごとな景観である。
受付のあるミツマタ広場から先に進むと、ほどなく雷神神社の鳥居が見える。そこから登りが続き、20分ほどで焼森山山頂に到着する。標高は423m。山頂からは栃木の山々が一望できる。この後下りが続き、一の越分岐からはもと来た道を戻る。
ミツマタの時期は4月中旬までとなる。ただそれ以降もさまざまな花が、道脇をにぎわせてくれる。焼森山は手頃に低山トレッキングを楽しむことができる、とっておきの山である。
(山行日程=2025年3月30日)
MAP&DATA

真鍋 晋(読者レポーター)
普段は現役外科医、週末は登山・トレラン・ジョギング。じっと座っていることが、苦手な性分です。
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