カタクリ観賞と諏訪湖を見下ろす静かな展望台へ
読者レポーターより登山レポをお届けします。今井良子さんは長野県岡谷市の出早雄小萩(いずはやおこはぎ)神社へ。
文・写真=今井良子
私が住んでいる地域では4月に入ってから2回も雪が降り、なかなか山へ行くことができませんでした。春が待ち遠しいと思っていましたが、やっと里山の雪が解け春の花が咲き始めました。今回はカタクリ祭りと、近くの展望台に行ってきたので紹介します。
長野県岡谷市にある出早雄小萩神社では、毎年この時期にカタクリ祭りが開かれています。知ってはいたのですが、今回初めてタイミングが合い訪れることができました。
駐車場に着くと何台か地元ナンバーの車が止まっていたので、期待して境内に入りました。境内は出早公園という公園になっていて、カタクリ独特の模様の葉っぱがたくさん出ていました。花は残念ながらまだ少し早かったようで、日なたに数本咲いている程度でした。
神社の脇を流れる川の音を聞きながら歩いていると、白い花が咲いていました。立札には「アズマイチゲ」と書かれていました。真ん中がほんのりと紫がかっているところがいいですね。
日が当たる車道の脇にはヤマエンゴサクが一株、お隣にキバナノアマナが咲いています。出早公園は県立公園に指定されていて200種以上の植物があるそうです。
花を満喫した後、「権現様」が祭られている展望台へ行きたいと思っていました。カタクリ祭りの間は社務所が開いているので登り口を聞いてみたところ、あまり聞かれないようで非常に驚かれました。でも、「ぜひ行ってみて下さい」とのことで登り口まで案内していただきました。地元の人にもあまり知られていないようで、そのような問い合わせは私が初めてだったようです。
今日はソロなので熊鈴を鳴らしながら、車一台通れるくらいの道幅の急登を登っていきます。一合目ずつケルンがあり道は明瞭です。
五合目を過ぎ、「森の教室」と書かれたところまで来るといすがあり、木々の隙間からちょっと南アルプスが見えました。
体が熱くなってきてここで一枚脱ぎました。ここから勾配が少し緩くなり、松の林の中を進んで行くと階段が見えました。八合目です。
階段の脇にはスイセンがたくさん植えられていました。こちらもまだこれからといったところでしょうか。
鳥居をくぐるとすぐ展望台がありました。振り返ってみると……すばらしい景色が広がっていました。眼下には諏訪湖と周辺の街並みが見え、八ヶ岳と南アルプス。その向こうに富士山。最高です。
ひとまず写真だけ撮って本日の目的地である権現様へ。標高1098mの里山の頂上に祭られており、登り口から約40分で到着。大きな木はサワラで樹齢300年ほど経つそうです。祠の周りには4本の御柱が立っていて諏訪信仰をうかがい知ることができます。
サワラの木からエネルギーをもらい、展望台でしばしいい景色を独り占め。心地よい風が吹いて気持ちいい。満足したので帰りましょう。
下りは落ち葉で少し滑りやすかったので慎重に。花は咲いてないかなとキョロキョロしながら下りていくと熊鈴の音が聞こえてきました。ここまで誰にも合わなかったので本日の初登山者さん。
挨拶をすると、どうやらその方はこの登山道を整備している会の方で、私を案内しようと思って登ってきてくれたとのことでした。地図を頂いたりして、この地域を知ってほしいという思いを感じました。聞けば86歳で3日に1回くらいのペースで登っているとのこと。すごいですね! おかげでいろいろお話をうかがうことができました。
権現様には鉢伏山大権現という雨乞いの神様が祀られているそうです。鉢伏山と繋がりがあったということを初めて知りました。そして何よりも、地域にはいろんな有志の会がありボランティアで活動されてるたくさんの方がいることに驚きました。頭が下がる思いです。山では時々いろんな出会いがあり楽しいですね。
(山行日程=2025年4月12日)
MAP&DATA

今井良子(読者レポーター)
長野県在住。山の中で育ったせいか森が好き。そして歩くことが好き。ケモノは怖いのでいつもドキドキしながら里山や街道歩きを楽しんでいる。
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