春の両神山へ。信仰の山の歴史と岩場のスリルを感じる日帰り登山

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

読者レポーターより登山レポをお届けします。なおさんは秩父の両神山(りょうかみさん、1723m)へ。

文・写真=なお


4月中旬、雪があまりなく、日帰りで行ける山を探したところ、秩父の日本百名山・両神山に行ってみることにしました。

朝5時30分ごろに家を出発し、車で登山口である日向大谷口(ひなたおおやぐち)へ。

登山口近くには、有料駐車場、無料駐車場が2カ所ずつありました。有料駐車場は空いていましたが、無料の方は土曜9時時点でほぼ満車でした。バスでのアクセスも可能です。

登山口の手前にはサクラ、ミツマタ、スイセンが咲いており、春を感じます。

ミツマタ
ミツマタ

鳥居をくぐり、登山スタートです。まずは途中にある清滝小屋を目ざして進みます。

登山道入口の鳥居
登山道入口の鳥居

登山道に入ると、アカヤシオが。

アカヤシオ
アカヤシオ

最初は林道で、登ったり下ったりが続きます。トラバース状になっており、ところどころ道幅が狭くて注意が必要です。

林道
林道

沢まで下りてきました。ここからは沢に沿った道を登っていきます。

沢を渡る
沢を渡る

道端には、花が咲き始めていました。

春咲きのリンドウ
春咲きのリンドウ
ハシリドコロ
ハシリドコロ
ヒトリシズカ
ヒトリシズカ

両神山は古くから山岳信仰の山とされており、山中には石碑や仏様が所々に置かれています。

石像
石像

何度か、沢を渡る箇所があります。きれいな川で、この日はとても暑かったのでひんやりした水が心地よかったです。

沢

弘法之井戸が現われました。水が流れ出ており、岩の上には弘法大師像が置かれています。

弘法之井戸
弘法之井戸

スタートから2時間ほどで、清滝小屋に到着しました。休業していますが、避難小屋として利用できるようです。お手洗いもありました。

清滝小屋
清滝小屋

休憩をとった後、山頂へ向かいます。少し登ったところに、いくつか石碑があります。

石碑
石碑

急登をつづら折りで登っていきます。つづら折りでもかなり急です。

鈴が坂
鈴が坂

登り切ると、尾根に出ました。ここからは、岩の道や鎖場があります。

ロープをつたって登る
ロープをつたって登る

1カ所、階段も設置されていました。

階段
階段

小屋から35分ほど登ったあたりから、雪が残っていました。雪が土にまみれて判別しづらい箇所もあり、気を付けて登っていきます。

雪が残る道
雪が残る道

「横岩」という巨岩が現われました。

横岩
横岩

小屋から45分ほどで、両神神社へ到着しました。

両神神社
両神神社

狛犬が、オオカミの形をしています。

オオカミの狛犬
オオカミの狛犬

ここまで来ると、山頂まであと少しです。山頂直前には、本格的な岩場がありました。

急な岩場
急な岩場

慎重に登っていきます。

岩場の渋滞
岩場の渋滞

眺望が開け、雲取山(くもとりやま)が見えました。

雲取山側の眺め
雲取山側の眺め

最後の岩を登ります。

山頂に向かう最後の岩場
山頂に向かう最後の岩場

登山開始から3時間20分ほどで、山頂に到着しました。

両神山頂
両神山頂

両神神社奥宮の祠があります。

両神神社奥宮の祠
両神神社奥宮の祠

山頂はさほど広くなく混雑していたため、お昼ごはんは、少し下った眺めのいい場所でとりました。北アルプスや八ヶ岳も見られました。

北アルプス側の眺め
北アルプス方面の眺め

下り道は、登り以上に岩場や雪が滑りやすく、注意して歩きました。山頂から2時間30分ほどで、登山口に到着。神社や数々の石像、石碑から、信仰登山の歴史を感じられる、楽しい山行でした。

(山行日程=2025年4月12日)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 6時間40分
行程:日向大谷口バス停・・・表参道登山口・・・会所(七滝沢道分岐)・・・八海山・・・滝分岐・・・清滝避難小屋・・・鈴ヶ坂(七滝沢道分岐)・・・両神神社・・・両神山(往復)
総歩行距離:約9,500m
累積標高差:上り 約1,594m 下り 約1,594m
コース定数:32
なお(読者レポーター)

なお(読者レポーター)

神奈川県藤沢市を拠点に、夏はアルプス、秋〜春は関東近郊や九州の山に夫婦で登っています。特に北アルプスと伊豆が好きです。

この記事に登場する山

埼玉県 / 関東山地

両神山 標高 1,723m

 際立つ高山ではないが、長い岩稜は鋸歯のようで、四方をめぐる山からもすぐ分かる。  ヤシオツツジの咲く5月は、山中は登山者でいっぱいになり、山頂より八丁峠へたどるコースは大渋滞となる。日帰りも可能だができれば1泊2日の行程にしたい。  両神山は八日見山ともいう。これは日本武尊(やまとたけるのみこと)がこの地に来て、8日間この山を見ながら歩いたという伝説によるが、河田羆は「山嶺伊弉諾尊(いざなぎのみこと)伊弉冊尊(いざなみのみこと)を祭る故に両神の称あり」とその由来を記している。木暮理太郎も『山の憶ひ出』の中でイザナミ・イザナギ二神説を採っている。  森林帯を流れる薄(すすき)川の登山道には、修験道のなごりの霊神碑や石像が多くある。  春は新緑、秋は紅葉が美しい。春、山中に1泊すると夜半にコノハズクの鳴き声を聞くことができる。360度の大展望が広がる山頂は狭いので長居ができないのが残念。山中で展望のよいのは中腹にある両神神社の少し下のノゾキで、ここからは奥秩父連峰がよく見える。またミヨシ岩から大峠に下る山稜からの展望もよい。大峠から中津川に出るルートは山慣れた人にお勧めしたい。出原上から日向大谷を経て両神山へは、4時間10分。

プロフィール

山と溪谷オンライン読者レポーター

全国の山と溪谷オンライン読者から選ばれた山好きのレポーター。各地の登山レポやギアレビューを紹介中。

山と溪谷オンライン読者レポート

山と溪谷オンライン読者による、全国各地の登山レポートや、登山道具レビュー。

編集部おすすめ記事