人気のご当地アルプス、「播磨アルプス」で楽しむ稜線歩き

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読者レポーターより登山レポをお届けします。naobonさんは、実家からほど近い兵庫県のご当地アルプス、「播磨アルプス」へ。播磨アルプスは街から近く、ハイカーやファミリーでにぎわいます。

文・写真=naobon


関西の実家への帰省ついでに、地元の「播磨(はりま)アルプス」に登りました。播磨アルプスは、兵庫県の加古川市と高砂市の境付近にあります。JR神戸線からはこんもりとした優しい山容に見えますが、実は岩山という、奥の深い山です。登山口も複数あり、ピストン、周回、縦走など、いろんなルートを楽しめます。

今回は、成井(なるい)登山口から鹿嶋神社登山口まで縦走することにしました。登山口へは、JR神戸線の宝殿駅から、地元のローカルバス「かこバス」に乗り、成井フロッシュ前で降ります。 成井登山口は、播磨富士とも呼ばれる高御位山(たかみくらやま、304m)へ40分ほどで直登できる登山道です。登山口は、地元のハイカーとおぼしき人や家族連れも多く、にぎわっていました。登山口駐車場から少し歩き、高御位神社の鳥居をくぐり、登山道に入ります。

ハイキングコース案内
ハイキングコース案内
成井登山口
成井登山口
    

途中、上級者向けの登山道である「けものみち」の分岐を過ぎ、三丁、四丁と、高度をかせぎます。整備された階段が多めの上り路ですが、途中にお花が飾ってあったり、信楽焼とおぼしき狸の置物が待ち構えていたりと、気持ちを和ませてくれます。

狸の置物
狸の置物が登山にエール

新緑の道を一歩ずつ登っていきます。十丁がゴールかと思っていたら、まだ先に道は続きます。十五丁を過ぎると視界が開け、山頂稜線に出ました。そして播磨アルプス独特の、岩場の道が姿を現わします。ここから山頂のある十八丁まで稜線歩きの道が続きます。

十丁
十丁、ゴールは遠い
あと200メートル
あと200m
十五丁
十五丁
    

ようやく、高御位神宮のある山頂に到着します。山頂道標は大岩の上の小さな祠に立てかけてありました。山頂には、大正時代にグライダーで関西初飛行を成し遂げた、地元加古川市出身の渡辺健二氏をたたえる飛翔の碑が建っていました。今日は朝ごはんが早かったので、眼下に広がる播磨の里山の景色を堪能しつつ、おにぎりでエネルギー補給しました。高御位山頂には、ベンチもたくさんあり、ゆっくり景色を楽しみながらくつろぐこともできます。高御位山をピストンで登る人も多く、地元に愛される人気の山であることがうかがえます。

山頂にある高御位神宮
山頂にある高御位神宮
飛翔の碑
飛翔の碑
山頂道標
山頂道標
山頂からの風景
山頂からの風景

高御位山を過ぎると、天空の縦走路に入ります。この季節、コバノミツバツツジやヤマツツジなどのお花も楽しめます。ところどころ、大岩を歩くところもあり、変化も多い稜線の山歩きでした。アップダウンを繰り返し、途中、桶居山(おけすけやま)分岐、馬の背登山口への分岐を越えて、鷹ノ巣山(たかのすやま)に到着します。

縦走路を彩る花々
縦走路を彩る花々
天空の縦走路
天空の縦走路
馬の背登山口分岐
馬の背登山口分岐
     

鷹ノ巣山からは、ところどころ急な下りや鎖場など変化を楽しみながら、徐々に高度を下げていきます。鷹ノ巣山から15分くらいで今日の最後のピーク、別所奥山(べっしょおくざん)に到着します。さらに進むと、百間岩(ひゃっけんいわ)といわれる圧巻の一枚岩が現われます。まさに大きな岩の滑り台のようで、ここから麓の里につながっているかの様相です。最後の大下り、岩の表面はごつごつしているので、足場を探しながら、慎重に下りていきます。百間岩をクリアすると、その先に展望台がありました。その先は、樹林帯の道を道なりに下り、イノシシの防護扉を越えると鹿嶋神社に到着です。

百間岩
百間岩
イノシシの防護扉
イノシシの防護扉

鹿嶋神社は、地元では「かしまさん」と呼ばれる、「一願成就」の神様として有名な神社です。時節柄、鯉のぼりがたくさん泳いでいました。ここで無事の下山のお礼のお参りしました。さらに、神社の門前町では、名物の柏餅をいただきました。出来立ての柏餅は甘く香ばしく、登山の疲れが癒やされます。門前町を過ぎ、大鳥居をくぐると、バス停があり、曽根駅に続く車道に出ます。ちょうどよいバスがなかったので、そのまま曽根駅までのんびり里山歩きを楽しみました。途中、播磨アルプスの登山口のひとつである、豆崎(まめざき)登山口を通過し、ほどなく曽根駅に到着します。

鹿嶋神社
鹿嶋神社
出来立ての柏餅
出来立ての柏餅
大鳥居
大鳥居
   

ちょうどお昼時だったので、下山メシを探索。今日のスタート地点の宝殿駅(曽根駅から一駅)にある「本の香り」というブックカフェで名物のスパイスカレーを味わいました。さまざまなジャンルの本と、珈琲の香りが漂う、地元のすてきなカフェで、ゆっくり山の景色を思い起こす時間を過ごして、帰路に就きました。ふるさと近くの山を味わいつくした春の一日でした。

下山メシはカレー@本の香り 大好きな本に囲まれて

(山行日程=2025年4月下旬)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 3時間
行程:成井登山口・・・高御位山・・・鷹ノ巣山・・・展望台・・・鹿嶋神社・・・曽根駅
下山後宝殿駅に移動し下山メシ
総歩行距離:約6,000m
累積標高差:上り 約687m 下り 約726m
コース定数:15

関連リンク

naobon(読者レポーター)

naobon(読者レポーター)

東京都在住、神戸市出身。夏山シーズンは日本アルプスの稜線縦走を、冬は低山・里山ハイキングや山城巡りを、気ままに楽しんでいます。山行後の温泉とビールにこの世の極楽を感じる、週末ハイカーです。

この記事に登場する山

兵庫県 / 播磨中部丘陵

高御位山 標高 304m

加古川市から姫路市の間の山陽本線の北には、低いながらも全体が岩で構成された山があちらこちらに見られる。中でも高御位山から鷹ノ巣山にかけては、播磨アルプスと名付けられ、あたかも中世ヨーロッパの城塞を思わせるような険しい岩尾根が続いていて、登山者の人気の的になっている。 304mの主峰を頂点にして、馬蹄形に派生する尾根はすべて岩稜なので、どこを歩いていても眺望に恵まれる。播磨工業地帯のかなたに瀬戸内の島々が浮かび、姫路城や播州高原の山々も手にとるように眺められる。 コースは鹿島神社から登り、成井に下るのが一般的で約3時間。曽根駅から取り付き、馬蹄形の尾根をすべてトレースして宝殿駅へ向かう約5時間のコースも健脚者に好まれている。また、西隣にそそり立つ桶居(おけい)山も眺望に優れ、ピラミダルな姿は秀麗である。

兵庫県 /

桶居山 標高 247m

高御位山を中心とした「播磨アルプス」の一角をなす山。播磨アルプスは、兵庫県高砂市から加古川市・姫路市にかけて点在する低山だが、岩場を擁した「神の坐す山」として周辺の人々の崇敬を集めてきた歴史ある山々である。 桶居山は、その中でも目立つ山の1つとして知られ、尖った山容と周囲の登山道にある岩稜は、登山意欲をかきたててくれる。

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