5月に真夏の暑さの低山巡り。百蔵山から扇山を歩く
読者レポーターより登山レポをお届けします。東武さんは百蔵山(ももくらさん、1003m)から扇山(おうぎやま、1138m)へ。山梨県大月市にある富士展望が人気の低山です。
文・写真=東 武
新緑の楽しめる今のうちに低山に登りたいな、と計画を立てました。山梨県の大月市、猿橋駅から百蔵山に登り、扇山まで縦走して鳥沢駅へ降りるルートです。
猿橋駅から百蔵山の登山口付近までバスもありますが、この日は景色を楽しみながら歩くことにしました。
行く手に目的地の百蔵山と扇山が見えます。こうして眺めてみると百蔵山から扇山に進む前に一度大きく標高を落としているのがわかります。登り返すのはけっこうキツそうです。
登山口に向けて道路を歩きます。この日は朝から晴れで気温も高いので汗が止まりません。坂道を登っていくと前方に岩殿山(いわどのさん)が見えました。
戦国時代、岩殿山は山全体を利用した岩殿城が立っていました。岩殿山に登ると当時の遺構を見ることができます。
岩殿城には武田家滅亡に関わる歴史があります。甲州を支配していた武田家は織田・徳川の同盟軍に侵攻され、次々と領土を失っていきました。当主の武田勝頼は本拠地を放棄して岩殿山をめざしたものの、腹心の家臣だった小山田信茂に裏切られてたどり着けず、結果として武田家は滅亡しました。
こういう歴史を感じる景色を見つけるとつい立ち止まって「当時の武将たちもこの山を眺めて……」とか「勝頼公があの場所にたどり着いていたら……」とか想像して時間を浪費してしまいます。
猿橋駅から約1時間、登山口に到着です。暑さのせいか、登山口に到着した時点でバテ気味でした。ベンチで一息整えてからいよいよ登山開始です。
山道に入ると木々で日光がさえぎられるので、一気に涼しくなりました。しかも山道に入ってすぐに水場があります。汗だくの顔をばしゃばしゃ洗ってリフレッシュしました。
山道は部分的に崩れかけて狭くなっている箇所もありますが、広々として登りやすい道が続きます。
尾根に上がるまで延々とつづら折りの登りですが、傾斜もゆるやかで、なにより街の中と違って涼しいのでそれほど苦労せずに登れました。
山頂付近までずっと歩きやすい道が続き、百蔵山の山頂に到着します。
百蔵山は大月市の制定する「秀麗富嶽十二景」のひとつ。きれいな富士山が眺められる山として有名です。期待して富士山を探しましたが、この日は気温が高いせいか、空が霞んで富士山も薄っすらとしか見えません。
山頂のベンチでちょっと休憩してから縦走開始です。ここから大きく標高を下げるのですが、山頂直下はかなりの急斜面です。枯れ葉も積み重なり、油断していると足を滑らせそうな危なさがあります。
「もしかして道を間違えて下山するルートに入った?」と不安を感じるほどずっと急斜面ですが、下りきると平坦な道が続きます。
大きく下ったぶん、扇山の直前ではまた登り返さなきゃいけません。百蔵山までの登りはそれほど苦労をしませんでしたが、扇山までの登り返しはなかなか疲れます。
いくつかの小さなピークを越えて、扇山に到着です。扇山の山頂は広々とした芝生で、丸太のベンチがいくつか置かれていました。
この扇山も大月市の制定する「秀麗富嶽十二景」のひとつです。ですが、昼に向けてぐんぐん気温が上がったせいか、扇山の山頂から富士山はほとんど見えませんでした。
山頂は日光をさえぎる木がないので、直射日光がじりじりと突き刺さります。5月とは思えない信じられない暑さで、ゆっくり休んでもいられません。ちょっと休憩してすぐに下山を開始しました。
空も霞んでいて景色はイマイチでしたが、今日の目当ては新緑を見ること。山中の木々は新緑らしい鮮やかな緑色で、初夏の登山を楽しめました。
後は扇山の山頂から、ひたすら下っていきます。1時間ほどで山道を抜けました。山道を抜けてさらに鳥沢駅まで、舗装された街路歩きが続きます。それにしても暑い。暑すぎる。途中、耐えきれず残った水を頭からかぶりました。
帰宅してから知ったのですが、この日の大月市の気温は全国で最も高い34.2度。どうりで暑いわけです。初夏どころか猛暑日に近い陽気での山歩きになりました。
(山行日程=2025年5月20日)
MAP&DATA

東 武(読者レポーター)
晴れた日は山に出没し雨の日には本を読む、そんな暮らしにあこがれる文系山男。文学サークル・ペンシルビバップを主宰している。山と文学と相模原市を愛してやまない。
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全国の山と溪谷オンライン読者から選ばれた山好きのレポーター。各地の登山レポやギアレビューを紹介中。
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