テント泊登山の安眠は寝具の最適化がカギ!最新寝袋&マットカタログ

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最新ギアの情報を紹介している雑誌『山と溪谷』2025年6月号の企画「2025テント泊装備」から、寝袋(シュラフ、スリーピングバッグ)とマットのカタログを抜粋。快適化・軽量化を追求したアイテムのなかから、幅広い登山者におすすめできる12モデルを紹介しよう。

文=吉澤英晃 写真=小山幸彦(CLOCK)

寝袋(シュラフ、スリーピングバッグ)

0度前後は夏山向け。秋山にはワンランク保温性が高いものを

シュラフは保温素材の違いで、ダウンと化繊綿(シンセティック)のふたつに大別できる。テクノロジーの進歩でダウンに似せた軽量な化繊綿が発明され、それらを使ったシュラフも出てきているが、保温性と重量のバランスを考えると、もう一歩と言いたいところ。ダウンシュラフが優位な状況はまだしばらくは続きそうだ。

そんな事情を踏まえて、ここではダウンシュラフのみ紹介する。選ぶときに注目したいのは保温性だ。下限使用温度が0℃前後のものは夏山向け。秋の紅葉シーズンまで使いたい場合は、ひとつ上の保温性をもつモデルを選んだほうがいい。軽さを意識するあまり保温性の低いものを選ぼうとすると、寒くて眠れなかったり、防寒着が増えて結局荷物が重くなってしまったり、扱いが難しく感じる可能性が高いのでおすすめしない。

保温性さえ間違えなければ、そのほかの性能は好みで判断して差し支えない。撥水ダウンがいいとか伸縮性があると快適など、魅力的に感じるものは人それぞれだ。

保温効率を計算し尽くした撥水ダウン使用モデルイスカ/エアドライト290【下限使用温度−1℃】

イスカ「エアドライト290」

胸側は、コールドスポットが発生しづらいボックス構造に羽毛を封入。両サイドに縦方向のチューブを設けてダウンの片寄りを防ぎ、背中側より胸側に膨らみをもたせることで保温性の効率化を図っている。台形のフットボックスのおかげで足元が窮屈にならず、ストレスフリーで就寝できる。

価格 39,600円(税込)
重量 560g
保温素材 撥水ダウン(770フィルパワー)
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羽毛を絡め取る特殊繊維で軽さと高い保温性を実現モンベル/シームレス ダウンハガー800 #3【下限使用温度−1℃】

モンベル「シームレス ダウンハガー800 #3」

従来のストレッチシステムを搭載しながら、クモの糸のような繊維に羽毛を絡ませる独自技術によってダウンの片寄りを防ぐ隔壁が必要なくなり、結果、熱損失を生むコールドスポットを減らすことに成功。1枚の生地で表面を覆うことで気密性を向上させ、軽量ながら高い保温性を備えている。

価格 36,300円(税込)
重量 531g
保温素材 EXダウン(800フィルパワー)
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防水透湿素材で水気の影響をシャットアウトナンガ/オーロラテックスライト 350DX【下限使用温度0℃】

ナンガ「オーロラテックスライト 350DX」

水分を含むと保温性が低下しやすいダウンの弱点を、表地に独自に開発した防水透湿素材を使うことで克服。結露の発生しやすい湿潤な環境や悪天候が見込まれる山行などでも、濡れを気にする心配のない安心感の高さが特徴だ。肌面には柔らかい素材が使われていて、心地いい眠りを約束する。

価格 45,100円(税込)
重量 730g
保温素材 スパニッシュダックダウン(760フィルパワー)
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高品質撥水ダウンに防水透湿性素材をドッキングシートゥサミット/スパーク−1C【下限使用温度−1℃】

シートゥサミット「スパーク−1C」

メイン素材に10デニールの極薄素材を使うことで、500gを下回る軽さを実現。テントに触れやすい頭と足元を独自の防水透湿素材でカバーする作りで、羽毛が濡れることで生じる保温性の低下を防いでいる。羽毛の片寄りを防ぐ縦方向のチューブを胸元に使う設計もほかと異なる特徴だ。

価格 64,790円(税込)
重量 493g(レギュラー)
保温素材 850+プレミアムグースウルトラドライダウン
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ファスナーを閉じると3シーズン対応シュラフに変身サーマレスト/ブースト650【下限使用温度0℃】

サーマレスト「ブースト650」

胸元から足元に向けて確認できる縦方向のファスナーを開くと本体の横幅が広がり、下限使用温度は0℃になる。一方、ファスナーを閉じると保温性が6℃高まり、幅広い温度帯で使用できる。左右の肩付近に見えるファスナーは腕を出すためのアームホールだ。

価格 55,000円(税込)
重量 952g
保温素材 撥水ダウン(650フィルパワー)
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こだわりの設計が興味を引く3シーズン対応の新定番ゼインアーツ/クモ450【下限使用温度−4℃】

ゼインアーツ「クモ450」

初春〜晩秋に対応する3シーズンモデル。縫い目からの熱放出が少ないボックス構造を採用し、冷気の侵入を軽減するためにサイドファスナーの位置をやや胸元側にずらして作られている。収納袋にもこだわりが見られ、シュラフを濡らさない目的で防水性を備えるドライバッグが付属する。

価格 29,980円(税込)
重量 700g
保温素材 グースダウン(850フィルパワー)
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プロフィール

吉澤 英晃

1986年生まれ。群馬県出身。大学の探検サークルで登山と出合い、卒業後、山道具を扱う企業の営業マンとして約7年勤めた後、ライターとして独立。道具にまつわる記事を中心に登山系メディアで活動する。

雑誌『山と溪谷』特集より

1930年創刊の登山雑誌『山と溪谷』の最新号から、秀逸な特集記事を抜粋してお届けします。

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