スズランが群生する入笠山でファミリーハイキング

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読者レポーターより登山レポをお届けします。スラ男さんはスズランが見頃の入笠山(にゅうかさやま、1955m)へ。

文・写真=スラ男


梅雨に入り週末の天気予報に悩まされるこのごろ。雨に合わせてアジサイハイキングもやりたいけれど、キラリと光る晴れマークが出たらそのチャンスを逃すわけにはいきません。この時季、山野草のお花畑が見られるという花の宝庫・入笠山をめざしました。

富士見パノラマリゾート
本日の出発点は富士見パノラマリゾートから

入笠山は南アルプスの北端に位置する標高2000m級の高山で、6月から8月にかけて多種多様の花々が咲き乱れる“花の宝庫”として知られます。乗り物利用で山頂までの所要時間も短いことから、初心者からベテランまで、老若男女問わず人気の山だそうです。

今回は長距離移動のため、子どもたちに加え祖母にも来てもらいました。早めに自宅を出発したはずだったのですが、相次ぐ高速道路の事故渋滞に巻き込まれ、到着したのは13時。無事に着けたのはなによりですが……。

甘酸っぱい香りをはなつ真っ赤な「ルバーブ」
甘酸っぱい香りを漂わせる真っ赤な「ルバーブ」

さっそくぼくたちもゴンドラを利用してハイキングへ。おっと、ゴンドラ前のテントからなにやら香りが……。おじさんが「これはルバーブって野菜だよ」と教えてくれました。シベリア南部原産で、体にいい健康野菜なんだそう。煮詰めてジャムにしたり、ソフトクリームに混ぜて食べたり。これは帰りのデザートが楽しみです。

富士見パノラマリゾート ゴンドラ山頂駅からの眺め
子どもたちは初めての標高2000m級体験

ゴンドラで一気に標高を稼いで、飛び出した先には雄大な八ヶ岳(やつがたけ)の姿が。普段は低山ハイクばかりな子どもたちも、この高山風景はなかなかの刺激だったようです。刺激といえば、途中でたびたび見た斜面を疾走するマウンテンバイクもかっこよかった。

スズランの花畑
釜無ホテイアツモリソウ
スズランの花畑や希少な植物があちらこちらに

ゴンドラを降りてすぐお花畑が広がっています。6月上旬はドイツスズランの大群生のほか、絶滅危惧種の釜無ホテイアツモリソウも見られます。本来ならばゴンドラ利用の際にいただいた花のガイドブックを見ながら、じっくりと観察を楽しみたかったところですが、到着の遅れによりなかなか余裕がもてません。

さまざまな生きものの声がにぎやかな登山道と子どもたち
ハルゼミに負けない声量で挨拶する子どもたち

ところで、花の宝庫といわれる入笠山ですが、ぼくが驚いたのは、山の中に入るやいなや聞こえてきた生きものの大合唱。まるでロック・バンドの演奏のように響き渡るハルゼミの鳴き声を筆頭に、さまざまな生きものの声が道中を明るくにぎやかに彩りました。

子どもたちも負けじと「こんにちはー!!」を連発。すれ違う方々からたくさんエールをいただきました(笑)。

花々が咲き乱れる入笠湿原
これから夏にかけて花々が咲き乱れる入笠湿原
クリンソウ
クリンソウ

入笠湿原に入ると、広大な緑の絨毯に敷かれた木道が非日常的風景を演出しています。辺りには真っ白なズミが満開で、湿原に気品をもたらしています。隙間のあいた木道からはひょっこりとクリンソウが顔を出していました。

ヒュッテ入笠
憧れの山小屋体験もいまは眺めるだけ

湿原を抜けて少し歩くと、ヒュッテ入笠が見えてきました。以前はマナスル山荘という名前で営業されており、行き届いたホスピタリティとおいしい料理が評判の山小屋です。さすがにこの時間では人気メニューはすべて完売でした。いつかこういう山小屋に宿泊して、ゆっくりと山の時間を味わってみたいものです。

入笠山の山頂
親子ハイキングで初めての南アルプス!感動です

これまで登りらしい登り箇所はありませんでしたが、山小屋から先は登山道らしさが出てきます。30分ほどの登りを経て、ついに入笠山の山頂へ出ました! すっきりとは晴れませんが、存在感のある重厚な山岳パノラマが広がっています。山頂からは日本百名山のうち、なんと22座も見ることができるそう。

入笠山 山頂からの眺め
八ヶ岳のスケール感に圧倒される子どもたち。え? 雲を見ていた?? あ、そう……

山の上で食べるおにぎりやお団子をおいしさたるや。景色も含めて、疲れが吹き飛びますねえ!「すごーい!」と子どもたちの素直な感想がなによりです。

ルバーブソフト
ルバーブソフトの甘酸っぱさが登山の疲れにしみわたる

感動の山頂体験でしたが、それなりに時間が迫ってきています。途中の休憩時間を加味しても30分くらいの余裕は残していますが念のため。ピストンコースでゴンドラ駅まで戻り、山麓のレストランで念願のルバーブソフトにありつけました。これ、高尾山で食べたブドウ酢ソフトに似ていてめちゃくちゃおいしい!

ゆーとろん水神の湯
温泉に浸かりながらさっき登った山を眺める最高のぜいたく

富士見パノラマリゾートからすぐのところにあるゆーとろん水神の湯に立ち寄って、本日の汗を流しましょう。源泉打たせ湯や洞窟風呂など、露天風呂のバリエーションが豊かで、ずっといられるお風呂でした。ここで仲よくなった地元ご家族と話が弾み、お父さんに「帰りの八ヶ岳パーキングエリアのカレーがおいしいよ」と教えていただきました。

たっぷり1時間以上お風呂を満喫して、帰りの高速道路はスイスイと渋滞もなく運転することができました。

(山行日程=2025年6月7日)

下山メシ
登山の後にガッツリ食べたい、清里カレー!

清里カレー

入笠山にもレストランが併設されていますが、時間の都合で今回は高速道路メシへ。温泉で出会ったお父さんに教えていただいた八ヶ岳パーキングエリアの「清里カレー」に、地産の厚切りベーコンをトッピングしたらこれがもう最高においしい! 地元のお父さん、本当にありがとうございました。

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 1時間45分
行程:山頂駅・・・入笠湿原・・・入笠山登山口・・・入笠山・・・入笠山登山口・・・入笠湿原・・・山頂駅
総歩行距離:約3,600m
累積標高差:上り 約322m 下り 約322m
コース定数:8
スラ男(読者レポーター)

スラ男(読者レポーター)

関東近郊の低山をメインに活動。低山で出会う、人と山とが深く結びついた歴史や民俗などを調べるおもしろさにのめりこみ、低山ワールドのさらなる深みへ。そのおもしろさを親子で分かち合いたく、子どもたちの原体験を育む意味も込めて親子ハイキングを始める。

この記事に登場する山

長野県 / 赤石山脈北部

入笠山 標高 1,955m

富士見高原は、戦前から軽井沢に次ぐ避暑地として、大学の先生など文化人が集まった所。木ノ間、横吹、松目、原ノ茶屋など、美しい名前の集落が入笠山山麓に散在している。 スキー場のゴンドラを利用したハイキングコースがメジャーとなり、夏山ではゴンドラ山頂駅から約1時間で山頂に到達できる。 また、夏だけでなく、冬にはスノーシュー入門コースとしても注目されている。

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