残雪きらめく乗鞍岳でライチョウ&ドラゴンアイに感動の日帰り登山

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読者レポーターより登山レポをお届けします。なおさんは日帰りで、まだ雪が残る乗鞍岳(のりくらだけ、3026m)へ。

文・写真=なお


残雪期の乗鞍岳に行ってきました。乗鞍岳は岐阜県側と長野県側からアクセスが可能で、今回は岐阜県側からバスを乗り継いで行きました。

岐阜県側から畳平(たたみだいら)へ行くには、乗鞍スカイラインを通るのですが、11月1日〜5月14日は積雪のため通行止めとなります。また、マイカー規制が行なわれているため、車で行く方はほおのき平の駐車場に停めて、バスに乗ることになります。

朝7時、バスで高山濃飛バスセンターを出発しました。ほおのき平でバスを乗り換え、8時40分ごろ、乗鞍岳畳平に到着。

乗鞍バスターミナル
乗鞍バスターミナル

この地点ですでに標高は2702mです。

乗鞍岳畳平
乗鞍岳畳平

バスターミナル内に有料トイレ、駐車場に無料トイレがありました。8時50分ごろ、畳平を出発。畳平のすぐ隣にある鶴ヶ池を見ながら、遊歩道を進んでいきます。この辺りの道は整備されており、スニーカーでも問題なく歩けます。

乗鞍岳 鶴ヶ池
鶴ヶ池

20分ほど歩くと、雪の壁が現われました。路上にも所々雪が残っています。

乗鞍岳 雪の壁
雪の壁

雪の壁を過ぎると、肩ノ小屋が現われます。営業開始は7月上旬のようで、まだ開いていませんでした。

乗鞍岳 肩ノ小屋
肩ノ小屋

小屋の先に、剣ヶ峰への入口がありました。頂上小屋OPENという看板も出ています。ここからは、登山道になります。

乗鞍岳 剣ヶ峰への入口
剣ヶ峰への入口

10分ほど歩くと、雪道が現われました。アイゼンを装着して進みます。

乗鞍岳
雪道

雪道を終えて後ろを振り返ると、この景色が広がっていました。雲はありますが、笠ヶ岳(かさがたけ)や槍ヶ岳(やりがたけ)、穂高(ほたか)連峰がばっちり見えます。

乗鞍岳からの景色
北アルプスが見える

そして、ライチョウも登場! つがいがおり、メスは砂浴びをしていました。

乗鞍岳 砂浴び中のライチョウ
砂浴び中のライチョウ

さらに進むと、権現池がドラゴンアイになっていました!

乗鞍岳 権現池
権現池

権現池から先は、山頂に直行する道と、頂上小屋に寄る道の二股に分かれています。

乗鞍岳 右側に山頂の鳥居が見える
右側に山頂の鳥居が見える

私は頂上小屋を経由することにしました。頂上小屋には、Tシャツや手ぬぐいが何種類も売られていました。手ぬぐいを購入したら、登頂証明カードをいただきました。

頂上小屋から山頂に向けては、少し雪が残っていました。

乗鞍岳 頂上小屋から山頂への道
頂上小屋から山頂への道

出発から約1時間10分、10時過ぎに乗鞍岳の主峰・剣ヶ峰の山頂に到着しました! 山頂には乗鞍本宮の頂上本殿がありました。

乗鞍岳山頂
乗鞍岳山頂

出発時は曇りでしたが、このころには青空が出てきており、山頂からの眺めも大変よかったです。快晴のときは、富士山や北岳も見られるようなのですが、この日は残念ながら雲で隠れていました。

乗鞍岳 登頂証明カードと山頂からの景色
登頂証明カードと山頂からの景色

すぐに下るのがもったいない景色で、しばらく休憩しながらぼーっと眺めていました。

乗鞍岳山頂から見る北アルプス
山頂から見る北アルプス

10時半ごろ、下山を開始。北アルプスを正面に見ながら下っていきます。

乗鞍岳 下りの景色
下りの景色

雪渓でスキーをしている人たちもたくさんいました。乗鞍岳では8月中旬までスキーやスノーボードを楽しむことができるそうです。

そしてなんと、吉兆とされる彩雲が現われました。とてもラッキーです!

彩雲
彩雲

畳平が見える場所まで下ってきました。鶴ヶ池の奥には、北アルプスの山々が見えます。

乗鞍岳 鶴ヶ池と北アルプス
鶴ヶ池と北アルプス

11時半ごろ、畳平に戻ってきました。帰りのバスまで少し時間があったので、駐車場脇にある乗鞍本宮中之社でお参りしました。

乗鞍本宮中之社
乗鞍本宮中之社

とてもかわいいライチョウのお守りをいただきました。

乗鞍本宮中之社 雷鳥守
雷鳥守

11時55分発のバスで、ほおのき平へ戻りました。

3000m峰にもかかわらず往復約3時間で登頂でき、この季節ならではの景色や、ライチョウとの出合いが楽しめる、非常に満足度の高い登山となりました。

今回は時間の関係で行けなかったのですが、乗鞍岳には剣ヶ峰以外にも富士見岳(ふじみだけ)、魔王岳(まおうだけ)、大黒岳(だいこくだけ)があり、いずれも畳平からさほど時間がかからず登頂できます。景色もきれいそうですし、次回はぜひこれらの山にも登りたいなと思いました。

(山行日程=2025年6月8日)

MAP&DATA

高低図
最適日数:日帰り
コースタイム: 2時間55分
行程:畳平・・・富士見岳分岐・・・肩ノ小屋・・・乗鞍岳・・・肩ノ小屋・・・富士見岳分岐・・・畳平
総歩行距離:約5,130m
累積標高差:上り 約450m 下り 約450m
コース定数:12
なお(読者レポーター)

なお(読者レポーター)

神奈川県藤沢市を拠点に、夏はアルプス、秋〜春は関東近郊や九州の山に夫婦で登っています。特に北アルプスと伊豆が好きです。

この記事に登場する山

岐阜県 長野県 / 飛騨山脈南部

乗鞍岳 標高 3,026m

 飛騨側から眺めた山容が、馬の鞍に似ているところから「鞍ヶ峰(くらがね)」と名づけられ、それが乗鞍岳となった。北アルプスの中で最も大きな山容をもち、裾野を長く引く優美な姿は、昔から飛騨人にとってシンボルとして親しまれてきた。  記録によれば、乗鞍岳は今から1万年前まで噴火していた、とある。5個ないし6個の火山錐が集まった集合火山で、四ツ岳と大丹生岳、恵比須岳、富士見岳、権現岳(剣ヶ峰)などの火山錐が、北から南へと並び、最後の噴火でできた火口湖が、頂上剣ヶ峰とその直下の権現池である。また、山頂部一帯は数kmにわたっていくつかの火口湖、山上台地などが形成され、緑濃いハイマツ帯の間には夏でも豊富な残雪を残し、彩り鮮やかな高山植物とともに、乗鞍岳の雄大で美しい景観をつくり出している。  開山は大同2年(807)の田村将軍と伝えられるが、飛騨側からは天和年間(1680年代)に円空上人が平湯から登ったのが最初で、明治年代には近代登山の先駆者ガウランドやウエストンも登っている。円空上人や木食(もくじき)上人など行者の錬行(れんぎよう)登山もあるが、この山は、御岳や白山と異なって比較的宗教的ムードが稀薄な山であったのは、山容が穏和であり、地理的な条件が悪いことによるものであろう。近代登山幕開け以前は、地元の村人にとっては資源採掘や狩猟の山であり、雨乞い、豊作祈願のための生活の山であった。  明治末期から大正中期にかけては、平湯大滝、平湯峠、旗鉾、大尾根、子ノ原、青屋、上ガ洞、阿多野、野麦などから登山道が開かれ、また信州側からも番所(ばんどこ)、白骨(しらほね)、沢渡(さわんど)、前川渡からの道がつけられた。  だが、乗鞍岳がクローズアップされてきたのは、近代登山が始まってからであり、大衆化したのは太平洋戦争後である。旧陸軍が山頂近くの畳平に航空研究所を建設し、昭和18年には、平湯峠から自動車道路を開発した。やがて敗戦となり、この道路はバス道路に転用され、昭和23年には、高山から標高2700mの畳平まで登山バスが運行されるようになった。さらに昭和48年には乗鞍スカイラインが完成したことにより、マイカー登山ができるようになった。特に夏の最盛期には、頂上剣ヶ峰まで約1時間で登れる手軽さから、畳平周辺は登山者や観光客であふれ、都会の雑踏と変わらないありさまである。 また、摩利支天岳付近には、東京天文台コロナ観側所や宇宙線研究所なども建設された。  しかし、乗鞍岳は壮大な山である。昔の登山道の多くは今も健在で、池塘あり、滝あり、湿原あり、その変化と趣のある道は今でも無尽に存在し、その魅力はいささかも失われていない。  ※環境保護のため、乗鞍スカイライン(平湯-畳平間)、乗鞍エコーライン(乗鞍高原・三本滝-畳平間)は平成15年(2003年)からマイカー規制を実施しており、畳平へは、途中でシャトルバスに乗り換える必要がある。

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