筑波山梅林でアジサイのお花見。古民家カフェで肉の焼けるにおいにクラクラしつつ、ボリューム満点のハンバーガーをほおばる

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気軽に歩けるアジサイのお花見登山ルートを求めて筑波山(つくばさん)梅林へ。見頃のアジサイを楽しんだあと、古民家カフェでハンバーガーを味わった。

写真・文=西野淑子

雨予報の休日、アジサイを求めて筑波山梅林へ

筑波山の麓にある筑波山梅林。早春は約1000本の梅が山の斜面を彩る梅の名所だが、梅林内にはアジサイが多く植栽されており、梅雨どきに見頃を迎える。

筑波山神社入口バス停で下車し、筑波山神社に行くのとは逆方向へ下っていく。看板に従って梅林に向かう。梅林は特に順路がなく自由に散策できるが、まずは舗装路を歩いて展望四阿(あずまや)まで行き、下りに散策路を使うことにする。舗装路の道沿いからもアジサイが少し楽しめる。花の咲き具合がちょうどよい。展望四阿からは、本来は関東平野や周辺の山々がきれいに見渡せるはずなのだが、今日は遠くの山は雲の中。雨が降っていないだけまあよいのだ。

筑波山梅林のアジサイ
筑波山梅林のアジサイ
アジサイが見頃を迎えていた

下山は山の斜面につけられた散策路を進む。道沿いに咲くアジサイがみずみずしい。ピンクや青、色とりどりで、ガクアジサイも点在している。アジサイはかんかん照りの日より、雨上がりやうっすら霧にけむっているくらいの日がいい。今日は当たりだな、来てよかった。

筑波山梅林周辺の地図
展望四阿付近から関東平野を望む

MAP&DATA

ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 1時間10分
行程:筑波山神社入口バス停…梅林入口…展望四阿…梅林入口…筑波山神社入口バス停
総歩行距離:約2,500m

パティとバンズのバランスが絶妙、パワフルなハンバーガー

園内をゆっくりと歩き、梅林入口に戻ってきた。

普段、筑波山を登り、筑波山神社入口バス停から帰りのバスに乗ると、道沿いに見える古民家。カフェらしいというのは知っていたが、なかなか立ち寄る機会がなかった。今日は寄ってみようかな。

梅林入口から舗装路を登り、古民家の建物の前まで来ると、ふわっと肉の焼けるいいにおいが漂ってきた。お腹がぐうぅっと鳴る。こんないいにおいを漂わせている店、料理がおいしくないわけがない。「CAFE日升庵」と書かれたモダンなのれんをくぐり、店に入る。カウンター席とテーブル席があり、店奥のテーブル席に腰掛けた。よく見ると奥には小上がりもあった。

CAFE日升庵 外観
道沿いに立つ古民家の建物がよく目立つ

オーダーは今どきのQRコード式。「おすすめメニュー」も表示されるのがありがたい。ハンバーガーが数種類、スープ付きのAセットと、スープとポテト付きのBセットがある。悩ましいが、「おすすめ」と表示された中から、ライ麦チーズバーガーを選択。ポテトも食べたいのでBセットにした。ドリップコーヒーも合わせてオーダー。

店内は古民家の雰囲気を生かした中にも、モダンなしつらえ。テーブル席のイス、よく見るといろいろな形で、小学校のときに座っていた「あのイス」も混じっていておもしろい。スープは店の一角に鍋が置かれ、セルフサービスになっている。

CAFE日升庵 テーブル席
テーブル席。奥に小上がりも見える
CAFE日升庵 ハンバーガーをオーダーするとスープが付く
ハンバーガーをオーダーするとスープが付く
CAFE日升庵 コンソメスープ
本日のスープはコンソメスープだった

きょろきょろと店内の様子を見ながら待っていると、まずコーヒーが到着。なみなみと注がれている。カップには筑波山の標高と緯度・経度が書かれている。酸味と苦味のバランスのよいコーヒーをゆっくりと味わう。店内にパティの焼ける「じゅわーっ」という音が響き、肉の焼けるにおいが立ちこめる。店の外でふわっと漂ったにおい、店内だとさらに強くてクラクラする。

CAFE日升庵 ドリップコーヒー
ドリップコーヒー。カップもしゃれている

ほどなく、ライ麦チーズバーガー到着。具だくさん、縦長のハンバーガーで、串に刺してある。美しいなあ。ハンバーガーに添えられたポテト…ちょっと盛り過ぎじゃないか?

「バーガー袋にハンバーガーを入れて、それから串を外して、ハンバーガーをぎゅっとつぶして食べてください」と店員さんがやさしい声で説明をしてくれる。ありがたい。

CAFE日升庵 ライ麦チーズバーガー、ポテト付きのBセット
ライ麦チーズバーガー、ポテト付きのBセット

テーブルに備え付けてある紙のバーガー袋を1枚取り、開き、崩れないように慎重にバーガー袋に入れる。串をそっと外し、食べやすいようにぎゅううっとハンバーガーをつぶすが、バンズと具が分厚くて、思ったほどつぶれない。大きく口を開け、勢いよくガッと一口!

パティの肉の旨味がガツンとくる。厚みがあり、密度の濃いパティの存在感たるや。ライ麦パンのバンズは皮がパリパリ、生地はみっしり、風味もいい。フレッシュなレタスと、やや厚めのトマトもいい感じ。見た目以上にボリューミー、食べごたえがある。無心でガツガツ、ひたすら食べる。いや、このバンズとパティのバランス、すごいな。どちらも強い、存在感ありありだ。

ハンバーガーを一気に食べ終えて、ポテトとスープをいただく。ハンバーガーでだいぶ満腹になってしまったが、やっぱりハンバーガーにはポテトもないとね。スープはやさしい味わい、ちょうどよい濃さでほっとする。最後に残ったコーヒーをいただいて、ごちそうさま。お腹いっぱいです。

筑波山に来たらつくばうどんが定番だったけど、山麓でハンバーガーもありだね。筑波山をしっかり歩いて、うんとお腹をすかせて訪れて、無心でハンバーガーにかぶりついたら気持ちいいよね、きっと。

CAFE日升庵

CAFE日升庵

明治時代末期の納屋蔵を改装したカフェ。ライ麦パンのバンズのハンバーガーや、自家焙煎のコーヒー、オリジナルのスイーツやドリンクが味わえる。

住所 茨城県つくば市筑波1221-3
TEL 029-875-8821

この記事に登場する山

茨城県 / 八溝山・筑波山

筑波山 標高 877m

昔から富士山と並び称される東国の名山として知られ、万葉集に筑波山を詠んだ長歌・短歌が25首もあるのがそれを物語っている。 今は誰でも登れる行楽の山で、南面の筑波山神社の脇から出るケーブルカーと、東面のつつじガ丘からのロープウェイが、山頂近くまで昇っている。 登山道も四方から標高800mの御幸ヶ原(みゆきがはら)を目指しており、その中の3コースが首都圏自然歩道に認定されている。山麓の北条から筑波山神社に至るつくば道(神郡(かんごおり)街道)は「日本の道100選」に入っている。 山頂部は御幸ヶ原を挟んで男体山(870m)と女体山(876m)の双耳峰になっており、イザナギノミコトとイザナミノミコトを祭る筑波山神社の奥宮を置いている。男体山を一周する自然研究路では、筑波山で発見された貴重な植物や、ツクバの名を冠した珍しい草花を見つけることができる。

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きから沢登り、雪山登山まで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

下山メシのよろこび

登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。

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