コガラサーキットで静けさと展望を楽しむ中央アルプス・木曽駒ヶ岳

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読者レポーターより登山レポをお届けします。yamatsuzukiさんは、木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ、2956m)をコガラ登山口から周回する通称・コガラサーキットで登頂。

文・写真=yamatsuzuki

1日目:コガラ登山口~福島Bコース~木曽駒ヶ岳~頂上山荘テント場

コガラ登山口駐車場は木曽駒冷水公園キャンプ場から車で数分の場所にあります。登山口からしばらく林道歩きです。今回は福島Bコースで登ります。途中には標識があるので、わかりやすいです。最初の徒渉が本格的な登山道の入り口とも言えます。そこから景色が変わらない樹林帯をとにかく登ります。この日の気温は20℃程度で曇り空ですが、すっかり汗だくです。

木曽駒ヶ岳 福島Bコース最初の徒渉ポイント
最初の徒渉ポイント
木曽駒ヶ岳 福島Bコースの樹林帯
福島Bコースの樹林帯

四合目半は水場になっていますが、ほとんど出ていませんでした。七合目には避難小屋がありトイレもあります。また、七合目は麦草岳(むぎくさだけ)へのルートの分岐になっていますが、パスしてそのまま登ります。七合目以降は岩場も出てくるので慎重に歩きます。

八合目の水場はたっぷりの水量です。冷たい水で元気になります。ここから急登で汗だくになりながら玉乃窪山荘(たまのくぼさんそう)に到着。休憩して木曽前岳へ。木曽駒ヶ岳とは反対方向ですが、10分程度で歩けます。山頂付近でライチョウの親子に出合えました。親子でお散歩中のようでした。

木曽前岳のライチョウ
木曽前岳のライチョウ

ライチョウの親子に元気をもらい、玉乃窪山荘へ戻って木曽駒ヶ岳へ向かいます。稜線に上がってからも、基本的にはしっかり登るルートが続きます。稜線上は風が冷たく気持ちよいです。このルートは静かにゆっくり歩けます。この日も数名の方とすれ違う程度でした。

5時にスタートして山頂に着いたのが10時20分。がんばって登りました。山頂はこれまでとは違ってたくさんの登山者でにぎわっています。山頂の標柱での記念撮影は20名程度が順番待ちです。

お腹が減ったのと、夕日の時間にも山頂に行く予定にしているので、そのままテント場へ移動しました。移動中もたくさんの登山者の方とすれ違ったので、やっぱり人気の山ですね。

頂上山荘で受付をしてカレーライスとビールで乾杯! 最高の昼食になりました。本格的な小屋開けの前でしたが、この日は特別に開けられていたようです。日帰り登山の方も多く、山荘付近もにぎわっていました。

テントでしばらく休憩していたらあっという間にガスの世界に……夕日の時間にガスが抜けるかもと淡い期待をして山頂へ。残念ながら山頂はガスと強風で夕日どころではない状況なのでテント場に戻ります。

木曽駒ヶ岳 ガスの山頂
ガスの山頂

テント場の雰囲気を味わいながら晩ごはんを食べようと思っていましたが、雨が降りだしたので、明日の御来光を期待しながら眠りました。

木曽駒ヶ岳 テント場
テント場もガスで視界不良

2日目:頂上山荘テント場~中岳~木曽駒ヶ岳~将棊頭山~茶臼山~コガラ登山口

4時前に起きてテントを開けると真っ暗でガスガスです。御来光は諦めるか悩みましたが、日の出の時間に合わせて中岳に向かいます。

ヘッドランプの光があっても足元しか見えないので非常に危険です。方向がわからなくなることによる不安感や恐怖感は初めての感覚だったので、今後は安全対策をしようと思います。

ルート上にあるロープなどの目印を確認しながら慎重に中岳まで歩きます。山頂に着いて少しずつ明るくなってきますが、ガスで景色はありません。しばらく待っていると4時30分ごろに一気にガスが抜けて目の前にご来光が!

ここまでタイミングよくガスが抜けるのは初めての経験です。前日はガスと雨で残念な午後だったので喜びが倍増です。この景色を全身で感じられることに感謝です。

木曽駒ヶ岳 ご来光
一気にガスが抜けて御来光

御来光と絶景に癒されてテントを撤収して木曽駒ヶ岳へと向かいます。天気がいいので足取りは軽く山頂へ。御嶽山、北アルプス、南アルプス、富士山と三六〇度どこを見てもすばらしい絶景です。これから歩く稜線もすばらしくワクワク感でいっぱいです。

木曽駒ヶ岳山頂から宝剣岳方面
山頂から宝剣岳方面
木曽駒ヶ岳山頂からの御嶽山
山頂からの御嶽山
木曽駒ヶ岳山頂からの北アルプス
山頂からの北アルプス
木曽駒ヶ岳山頂からの南アルプスと富士山
山頂からの南アルプスと富士山

将棊頭山(しょうぎがしらやま)までアップダウンはありますが、絶景を見ながら気持ちよく歩けます。将棊頭山から見る木曽駒ヶ岳は壮大で存在感があります。おすすめポイントです。この稜線歩きは本当にすばらしく中央アルプスが大好きになりました。

将棊頭山に続く稜線
将棊頭山に続く稜線
将棊頭山からの木曽駒ヶ岳
将棊頭山からの木曽駒ヶ岳

茶臼山までのルート上にハイマツが多く、体にあたって歩きにくくストレスがあります。下山のルートもハイマツで歩きにくく、登山道も危険な箇所が多いので注意が必要です。

下山中は安全に降りることに集中して視野が狭くなっていましたが、途中でギンリョウソウがたくさん咲いていました。

ギンリョウソウ
ギンリョウソウ

汗だくになりながら下山して、最後に徒渉があります。今回は丸太の橋がしっかり整備されていましたが、増水で橋が流されて渡れない場合もあるようなので、事前に確認が必要です。

木曽駒ヶ岳 最後の徒渉
最後の徒渉

今回は天候も含めて山や自然の偉大さと安全対策のレベルアップの必要性を感じることができる山行になりました。

下山後にキャンプ場でお風呂に入り、木曽駒ヶ岳の天然水を飲んで大満足で帰宅しました。これからも山と日常が繋がっている感覚を大切にして楽しんでいきます。

(山行日程=2025年7月5~6日)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:1泊2日
コースタイム:【1日目】7時間20分
【2日目】5時間20分
行程:【1日目】
コガラ登山口・・・丸木橋・・・七合目・・・八合目・・・玉乃窪山荘・・・玉乃窪山荘・・・木曽駒ヶ岳
【2日目】
木曽駒ヶ岳・・・中岳・・・濃ヶ池分岐・・・西駒山荘・・・胸突八丁ノ頭・・・コガラ登山口
総歩行距離:約17,800m
累積標高差:上り 約2,045m 下り 約2,045m
コース定数:50
yamatsuzuki(読者レポーター)

yamatsuzuki(読者レポーター)

2022年に初めての槍ヶ岳登山で、全身の細胞が震える感動とエネルギーが沸き起こる体験をして以来、山にどっぷりはまっています。細胞レベルのわっくわく!!を感じながら山を楽しんでいます。

この記事に登場する山

長野県 / 木曽山脈

木曽駒ヶ岳 標高 2,956m

 中央アルプスの最高峰である駒ヶ岳は、伊那谷では西駒ヶ岳と呼び、東駒ヶ岳と称される甲斐駒ヶ岳と区別している。一方、木曽谷の人はこの山を木曽駒ヶ岳と呼び、現在はこの名が一般的になっている。山名の由来は、全国の駒ヶ岳がそうであるように、晩春に中岳から将棊頭山の山腹にかけて現れる駒の雪形によっている。  この山は山岳宗教の山として古くから登られており、天文元年(1532)に木曽上松の徳原春安という人が山頂に駒ヶ岳神社を建てたと伝えられている。近代登山の対象として登られたのは明治24年(1891)8月のW・ウエストンの登山で、友人とともに上松口から登頂、その著書に紀行を載せている。  山頂一帯はハイマツの緑のジュウタンが敷きつめられ、花崗岩砂の白さと見事なコントラストを描き出している。西に木曽前岳(2826m)、南に中岳(2925m)、さらに東には伊那前岳(2883m)を擁し、登山道は四方から集中している。3000mにちょっと欠けるが、その頂からの展望はすばらしい。日本アルプスの中央に位置しているだけに、北アルプスの山並みと乗鞍岳、そして目の前の御岳山、さらに伊那谷を隔てて大パノラマが楽しめる南アルプスと、見飽きることがない。  また稜線や山上湖の周辺では高山植物も多く見られ、イワウメ、イワギキョウ、アオノツガザクラ、タカネシオガマなど、色とりどりの花々が登山者を迎えてくれる。特に中央アルプスの特産種であるコマウスユキソウは、いわゆるエーデルワイスの仲間で、この山域でのみ見られる花である。  登山コースは四通八達しているが、ロープウェイを利用して千畳敷から乗越浄土、中岳を経て登頂するものがいちばん楽なコース(千畳敷から1時間30分)。次に新田次郎の小説『聖職の碑』の舞台でもあるクラシックな、桂小場(かつらこば)から将棊頭山を越えて山頂に至るコースは静かで、中央アルプスらしいムードを楽しめる(桂小場から6時間30分)。そのほか北御所登山口から(7時間弱)、宮田高原から伊勢滝を経て山頂に至るコース(7時間弱)などが伊那側からのルート。  一方、木曽側からは福島Bコース(山頂まで7時間弱)と、木曽側では最もよく利用されている上松コース(7時間弱)の2つがある(福島Aコースは、2025年に廃道が決定)。 いずれにしても、伊那、木曽いずれかの谷から山頂に至り、登りとは反対の谷に下山するようなコース設定をすれば、木曽駒ヶ岳の東西2つの顔と、伊那谷、木曽谷双方の雰囲気を楽しむことができる。

長野県 / 木曽山脈

将棊頭山 標高 2,730m

 伊那谷から見上げると、山容が将棋の駒の頭に見えるところから命名されたこの山は、日本海と太平洋の分水嶺である。  代表的な登山コースは伊那側の内ノ萱ルートで、そのほか横山ルート、木曽側の奈良井ルートがあるが、いずれも大樽小屋の手前で合流する。大正2年(1913)8月、伊那の中箕輪小学校の校長と生徒ら11人が学校登山で遭難死した事件もほぼ内ノ萱コースと同じで、稜線の天水岩近くの天然石に「聖職の碑(いしぶみ)」の文字が刻まれている。新田次郎の同名の小説の舞台として知られる所。  頂上から木曽駒ヶ岳へは準平原状のなだらかな尾根が馬ノ背まで続いており、直進すれば本峰へ、手前で左のハイマツとダケカンバ帯に入っていくと濃ガ池、駒飼ノ池を経て宝剣岳方面へと達することができる。  内ノ萱の先の桂小場から4時間30分で山頂。

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