ワタスゲとニッコウキスゲが見頃の巻機山へ
読者レポーターより登山レポをお届けします。かぐや姫さんは上越国境の名山・巻機山(まきはたやま、1967m)へ。
文・写真=かぐや姫
巻機山麓・清水(しみず)集落にある民宿・泉屋に前泊。すぐ近くに巻機権現を祭る神社があり、翌日のために参拝した。
清水街道が通り、上越国境にほど近い泉屋は、江戸時代においては口留番所を担っていたとか。深田久弥もここを常宿とし、田中陽希さんもここに逗留したそうだ。地元で食べられているミツバアケビの木の芽などを夕食にいただいた。
翌日は4時半に朝食をいただき、5時過ぎに出発。車で少し上がると桜坂駐車場だ。天気のいい日曜なので、すでに4割くらい埋まっている。
駐車場で二合目。歩き始めるとすぐ登山道になり、樹林帯を三合目、四合目と進んでいく。巻機山は、今も山伏のかたがいらっしゃる修験の山で、登山道がよく整備されている。
展望のない樹林帯だが、五合目でやっと視界が開ける。鋭く尖った“上越のマッターホルン”大源太山(だいげんたやま)が目立つ。耳をすませば、エゾハルゼミの大合唱のなか、米子沢(こめごさわ)の音も聞こえてくる。
またしばらく展望はなくなるが、美しいブナ林が続く。かつて、炭の材料として使われ、よく手入れされていたために、今もきれいなブナ林が残っている。
六合目に来ると再び展望が開け、天狗岩と呼ばれる巨大な岩山が目につく。麓の清水集落では信仰の対象になっているそうだ。天狗岩の先には割引岳(わりめきだけ)がそびえ、割引岳の下の谷は、まだ雪渓の残るヌクビ沢だ。秋頃、このヌクビ沢を登るコースも魅力的。登ってみたい。
森林限界が近づくのか、だんだん高木がなくなり、七合目に至ると一気にパノラマが広がる。谷川主脈、上越国境など、魅力的な稜線が一望できる。先ほど高くそびえていた大源太山は、すっかり見下ろす位置だ。
麓に目をやれば、宿泊した清水集落も見える。そこから、清水街道を群馬県方向へたどると清水峠だ。避難小屋や鉄塔も見ることができる。清水国道が廃道となり、人馬の往来はなくなった。今は送電線が通る清水峠。この電気が首都圏の鉄道の電力を支えている。
さて、ここからの急登を乗り越えるといよいよ八合目。ようやく巻機山の姿を拝むことができる。残雪は例年より多め。ニッコウキスゲも見えてきた。
九合目の前巻機山(ニセ巻機山)あたりからはワタスゲもみごと。今年は当たり年と言えるくらいに数が多そうだ。
前巻機山から鞍部へ下ると避難小屋。このコース唯一のお手洗いもある。さらに谷のほうへ下りていくと水場もあるが、今年は残雪が多く、ちょっと行きづらい。
休憩したのち山頂へアタック。鞍部から稜線へ出たところが御機屋(おはたや)。ここに山頂の標柱がある。しかし、本当の山頂はこの先。なんの標識もないが、稜線の少し盛り上がったところが巻機山の最高点だ。
さらに進むとベンチがある。風が穏やかだったので、泉屋でいただいたお弁当をここで頬張る。食後にもう少しだけ牛ヶ岳(うしがたけ)方面へ進み、ニッコウキスゲの群落を楽しんだ。
その後は来た道を戻り、駐車場へと下山した。暑かったが、一日中天気に恵まれ、花と景色を楽しめた登山だった。
(山行日程=2025年7月13日)
MAP&DATA

かぐや姫(読者レポーター)
13年前、友人に誘われて日帰りで槍ヶ岳に登ったのが、登山にのめり込んだきっかけです。奥穂・西穂縦走や奥秩父主脈縦走を踏破。厳冬期の西穂や爺、残雪期の槍にも登頂しました。ハードな登山も好きですし、写真を撮りながらの登山も好きです。
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