唐松岳から五竜岳へ。鎖場の稜線を縦走

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読者レポーターより登山レポをお届けします。なおさんは唐松岳(からまつだけ、2696m)から五竜岳(ごりゅうだけ、2814m)へ縦走。

文・写真=なお

1日目:八方池山荘〜唐松岳頂上山荘〜唐松岳〜唐松岳頂上山荘

晴れ予報の土日、今シーズンまだ行けていない北アルプスに行きたいなと思い、唐松岳・五竜岳の縦走をすることにしました。直前でしたが、運よく唐松岳のテント場の予約がとれ、先に唐松岳に登ることに決めました。

まず、八方アルペンラインで、3つのゴンドラ、リフトを乗り継いで八方池山荘まで向かいます。

2つ目のリフト
2つ目のリフト

まだ登山口に到達していませんが、すでに絶景です。

2つ目のリフトを降りたところからの景色
2つ目のリフトを降りたところからの景色

3つ目のリフトを降り、9時過ぎに登山を開始しました。この日は天気が大変よく、特に八方池まではすごくにぎわっていました。ただ、途中まで登山道が二手に分かれているので、渋滞するほどではありません。

スタートして約1時間、10時ごろに八方池に到着しました。風があり、残念ながら鏡のようにはなっていませんでしたが、それでもきれいです。

八方池
八方池

続いては、唐松岳頂上山荘に向かいます。この絶景を眺めながら歩けるのは、最高に気持ちがいいです。

登山道からの眺め
登山道からの眺め

八方池から1時間弱で、雪渓に到着しました。ここまで来ると、唐松岳頂上山荘まで残り1時間ほどです。この日はかなり暑く、直射日光を浴びながらの登りはかなりきつかったので、休憩をとってから再出発しました。

雪渓
雪渓

道中では、チングルマが綿毛になっていました。まだまだ暑いですが、秋の気配が感じられてうれしくなります。

チングルマ
チングルマ

お腹がすいてしまい、唐松岳頂上山荘まであと10分ほどの絶景スポットで、昼食をとりました。

唐松岳頂上山荘手前の絶景スポット
唐松岳頂上山荘手前の絶景スポット

12時30分、唐松岳頂上山荘に到着しました! 受付をして、テント場に向かいます。こちらのテント場は、斜面に沿って点在しています。私たちが到着したころには、すでに小屋に近い場所は埋まっており、かなり下った場所にテントを張りました。テントを張れるエリアの1つ1つはさほど大きくないですが、パーソナルスペースが確保できるのがうれしいポイントでした。

唐松岳頂上山荘とテント場
唐松岳頂上山荘とテント場

テントを張り、休憩をとった後、唐松岳の山頂に向かいました。小屋から山頂までは、20分ほどでした。

唐松岳山頂
唐松岳山頂

山頂に着くころには、雲が出てきてしまっていましたが、雲の合間から剱岳(つるぎだけ)や不帰ノ嶮(かえらずのけん)を眺めることができました。

不帰ノ嶮
不帰ノ嶮

下山後は、小屋の自動販売機で翌日のための水を確保しました。今回はコース上に水場がなく、かつ2日目はコースタイムが長いので、小屋での水分確保が重要です。その後、夕食をとり就寝しました。

2日目:唐松岳頂上山荘〜五竜山荘〜五竜岳〜五竜山荘〜遠見尾根~アルプス平

2日目は朝4時に起床し、朝食をとり、テントを片付け、4時40分ごろに五竜岳に向けて出発しました。

テント場から見る満点の星
テント場から見る満点の星

小屋を出てすぐ、牛首の鎖場にさしかかります。足元を確認しながら、慎重に進みます。

牛首の鎖場の始まり
牛首の鎖場の始まり

鎖場を進んでいくと、目線の先に五竜岳が現われました! 高度感に対する怖さと、絶景への感動が同時にやってきます。

牛首の鎖場と五龍岳
牛首の鎖場と五龍岳

そして進行方向右手には、剱岳や立山が。

剱岳と立山
剱岳と立山

鎖場が終わって一息つくとまた鎖場が出てくるので、緊張感が続きます。

岩の斜面を歩く
岩の斜面を歩く

鎖場の途中で朝日も見られました。

朝日
朝日

朝日に照らされる五竜岳、とてもきれいです。

朝日に照らされる五竜岳
朝日に照らされる五竜岳

最後の鎖場を無事終えたときは、ほっとしました。その後は、アップダウンのある道を進みます。

鎖場を終えて、五竜山荘への道
鎖場を終えて、五竜山荘への道

唐松岳頂上山荘を出発してから約2時間、五竜岳山荘が見えてきました!

五竜岳と五竜山荘
五竜岳と五竜山荘

6時50分ごろ、五竜山荘に到着。荷物を置かせてもらい、五竜岳へ向かいます。

五竜山荘からの景色
五竜山荘からの景色

小屋から五竜岳までは1時間ほどなのですが、中盤から鎖場のある岩場を登っていくことになります。すれ違う方も多く、道を譲り合いながら着実に進みます。

五竜岳の登り
五竜岳の登り

7時50分ごろ、五竜岳山頂に到着しました! 山頂は大絶景です。

五竜岳山頂
五竜岳山頂

剱岳や薬師岳、槍ヶ岳など北アルプスが一望できますし、富士山や八ヶ岳も見られます。

五竜岳山頂からの景色
五竜岳山頂からの景色

下るころには雲が湧いてきました。ちょうどいいタイミングで、登頂することができました。

五竜岳からの下りの景色
五竜岳からの下りの景色

五竜山荘に到着後、少し休憩をとり、9時15分ごろ遠見尾根へと下山を開始しました。下りにも鎖場があります。

五竜山荘からの下りの鎖場
五竜山荘からの下りの鎖場

西遠見山、大遠見山など、いくつもの山頂を通ります。アップダウンが多く、距離が長く、さらに標高が下がるにつれ気温が上がるので、かなりきつかったです。

また、途中、別の登山者の方からクマの目撃情報があったと教えていただき、アルプス平に到着するまで緊張が解けませんでした。

クマよけの鐘
クマよけの鐘板

12時30分ごろ、アルプス平に到着しました! 何箇所もの鎖場やクマに気が抜けないコースでしたが、無事下山できてほっとしました。天気に恵まれ、絶景が楽しめた最高の山行でした。

(山行日程=2025年8月30~31日)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:2泊3日
コースタイム:【1日目】4時間35分
【2日目】8時間15分
行程:【1日目】
八方池山荘・・・第三ケルン・・・丸山・・・唐松岳頂上山荘・・・唐松岳・・・唐松岳頂上山荘
【2日目】
唐松岳頂上山荘・・・最低鞍部・・・五竜山荘・・・五竜岳・・・五竜山荘・・・西遠見池・・・大遠見山・・・小遠見山・・・地蔵ノ頭・・・アルプス平駅
総歩行距離:約17,300m
累積標高差:上り 約1,981m 下り 約2,297m
コース定数:49
アドバイス:可能なら2日目は五竜山荘に泊まる2泊3日の日程がおすすめ。
なお(読者レポーター)

なお(読者レポーター)

神奈川県藤沢市を拠点に、夏はアルプス、秋〜春は関東近郊や九州の山に夫婦で登っています。特に北アルプスと伊豆が好きです。

この記事に登場する山

富山県 長野県 / 飛騨山脈北部

唐松岳 標高 2,696m

 後立山連峰のほぼ中央に位置するが、地味な存在である。ピラミッド型をしたこの山が大きく美しく見えるのは、主稜線の大黒岳付近からである。  主稜線を振り分けに、長野・富山両県からそれぞれ1本ずつの登山道が通じている。東からの八方尾根は、山岳スキー場として知られるが、途中の八方池は不帰ノ嶮を間近に仰ぐ憩いの場である(八方集落よりリフトなど利用して所要4時間)。西からの南越(なんこし)の道は、黒部渓谷からのもので、難路であったが、昭和61年、大黒鉱山跡まで尾根上をたどる新道に切り替えられた(祖母谷温泉より所要9時間)。  唐松岳北方の主稜線は、両側面からの浸食によって険しいやせ尾根となって、不帰ノ嶮と呼ばれている。ここは白馬岳からの縦走では、電気回路における抵抗のような存在となっているのである。南方への稜線はすぐに牛首岳を起こすが、ここも険路である。  八方尾根と主稜線とのジャンクションをなす小突起の西側に、抱かれるようにして唐松岳頂上山荘が建っている。間に深い黒部の谷を挟んで望む、ここからの剱岳の眺めは、後立山八景の1つに数えられよう。

富山県 / 飛騨山脈北部 後立山連峰

五竜岳 標高 2,814m

 後立山連峰の中央部にあり、雄大な山容をもち、鹿島槍ヶ岳とともにこの連峰の重鎮的存在である。この山の景観が優れているのは、東麓からの唯一の登路である遠見(とおみ)尾根からのものである(神城駅からテレキャビンを利用して所要6時間)。尾根の名称の起こりである、いくつものタワミ(遠見)の上下を繰り返す、きついアルバイトを打ち消して余りあるのが、五竜岳東面と鹿島槍ヶ岳北壁の豪壮な眺めである。五竜岳東面は、いくつものバリエーション・ルートをもっているが、その1つ、G2稜の上部に顕著な武田菱に似た岩が見られ、この山の名の由来となっている。この地を支配していた武田の紋所「武田の御菱(ごりよう)」からきたもので、菱(ひし)は岩の方言でもある。また「後立(ごりゆう)山」の音読みから「五竜」となったという説もある。  五竜岳北隣の白岳(しらたけ)は、初雪のころ真っ白な姿を見せるのでこう呼ばれたが、その南側には主稜と遠見尾根に挟まれた、白岳沢のカールが広がっている。五竜岳から鹿島槍ヶ岳にかけての主稜線は、八峰(はちみね)の稜線と呼ばれる鋸歯状の突起を連ね、東面足下のカクネ里や、黒部峡谷を距てた剱岳の眺めとともに、縦走の醍醐味が味わえる所でもある。

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