ここが日本の中心!? ゼロポイントへ
読者レポーターより登山レポをお届けします。白麻佑季さんは「日本の中心」をめざし、長野県辰野町の大城山(おおじょうやま、1027m)へ。
文・写真=白麻佑季
ここ2カ月ほど体調不良が続いて山から遠のいていたが、原因はイネ科の花粉症かもしれないと気付いた。そこで花粉から逃れるためにも山へ行こうと思い、以前から興味のあった「ゼロポイント」とその周辺を歩いてみることにした。
まず最初に向かった大城山は40分程度で山頂まで登れる。入り口には“絶景大城山”と書かれた看板が立っていた。山頂の近くで1人の男性とすれ違う。見覚えのある人だなと思ったら、実は同じスポーツジムを利用している方だった。先日、彼も山登りすることを教えてもらったばかりだが、まさかここでお会いするとは思ってもみなかった。
今回は鶴ヶ峰(つるがみね)まで行きたいと話すと「途中から林道になるから、ちょっと長いけどがんばってね!」とエールをもらい、お互いに力強く握手をしてから別れた。
日曜日なので混雑を心配していたが、まったくの杞憂だった。どこに行っても私一人の貸し切りで、この後すれ違った登山者も1名のみだった。大城山山頂では中央アルプスと南アルプスに挟まれた伊那谷を一望できた。ここには駐車場と簡易トイレもある。
「この先、急な坂道や不整地があり、滑りやすく転倒の恐れもありますのでご注意ください」と案内にはあったが、幅も広く整備された歩きやすい道だった。
水晶岩交差路の分岐から矢印方向に570mほど下りていくと「日本中心のゼロポイント」の案内板と標柱があった。この辺りは心地よい風が吹き、優しい木漏れ日を感じながら歩いた。
ここは2011年、北緯36度と東経138度が00分00秒で交わる日本の中心ゼロポイントとして標柱が設置された。ただ、ここまで来るには山道を歩く必要があり、展望もないことから、ここから40分ほど登った場所に「日本中心の展望台」と「日本中心の標」を1970年に設置したそうだ。
ところで、私は磁場に興味があり、方位磁針が“通常ではない動き”をする場所がないかを探している。長野県のこの辺りは中央構造線とフォッサマグナが交わる場所で、近くにはゼロ磁場があるといわれる分杭(ぶんぐい)峠がある。同じく中央構造線上にある守屋山(もりやさん)山頂では針が反対方向を差すという現象も起こったので、ここでも奇妙なことが起こらないか期待したが、別段なにも起きなかった。
ゼロポイントのほかにもう一つ「チコちゃんポイント」という「日本の中心の中心」を見ることも楽しみにしていた。ゼロポイントからわずか10mほど離れた場所に標柱が立てられている。
2018年、NHKの番組「チコちゃんに叱られる!」で、日本の中心を掲げている全国28自治体の経緯度の平均を算出。その結果、北緯35度59分56秒、東経137度59分56秒の地点が「日本の中心の中心」と認定された。それが「チコちゃんポイント」だ。
水晶岩交差路まで登り返してから右へ行くと林道にぶつかり、30分ほど林道歩きが続く。日陰が少ないので暑くて少し大変だった。
「鶴ヶ峰日本中心の標」の看板を左折し、右奥に入ると石碑がある。文字は辰野町の名誉町民である画家の中川紀元氏によって書かれた。ゼロポイントより40年ほど前に設置されている。
ちなみにここでも磁場チェックをしたが、やはり正常だった。
日本中心の標から100m先にある「日本中心の展望台」は高さ6m、8角形の台を細い柱が支えている。簡易トイレあり。
小さくて目が周る螺旋階段を登ると、北アルプス、中央アルプス、南アルプス、八ヶ岳をほぼ三六〇度の視界で望むことができるが、この時は霞んでいてよく見えなかった。
ここまで来られて〇(マル)。セロポイントのゼロ、大城山のO(オー)を表してみた。
今回のルートは景色もいいし、メリハリがあって楽しかった。登山者も少なく、落ち着いてゆっくり歩けるのも魅力だと思う。「日本の中心巡り」は意外と穴場だった。
(山行日程=2025年8月31日)
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白麻佑季(読者レポーター)
中央&南アルプスに挟まれた、長野県上伊那郡在住。ヨガを仕事にしていて山でもヨガをするのが趣味。さまざまな自然が身近にあるおかげで、毎日元気にゆる~く生きてます。
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