山スキー、トレイルランに行くなら、ヤマケイ編集部員はこの山道具を持っていく!

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山と溪谷社が刊行する、山スキーの専門誌『山とスキー』と、トレイルランの専門誌『マウンテンスポーツマガジントレイルラン』。その編集者は実際にどのような用具を使用しているのか? 編集部員の久田一樹さんに、自身が使っているギアを紹介してもらった。山スキーは6月に涸沢カールを滑降することを考えてチョイス。トレイルランは7月に2000メートルくらいまでの山を走ることを想定して選んでもらった。

 

久田さんが選ぶ山スキー用具3選

1・スキーブーツ「テクニカ・コーチスプロ」
TLTビンディング対応のウォークモード付きブーツ。歩きやすさと滑走時の安定感、ダイレクトな操作感のバランスがとてもよく、気に入っています。

 

2・スキー「サロモンMTN95 177cm」
センター幅95㎜で細すぎず太すぎず、ゲレンデからバックカントリー、パウダーから春のザラメまでオールラウンドに対応します。軽量でハイクアップがしやすく、それでいて滑走時の安定感がある。なんの不満もない1台です。

 

3・ヘストラのグローブ
ヘストラのグローブは、なんだかんだもう20年以上、いろいろ買い換えて使っています。バックカントリー用としては、ハイクアップ用(薄手)と滑走用(防寒・プロテクト重視)を分けて使っていますが、ハイクアップ用として使っている「ウインドストッパー・アクティブ」(写真左)はもう20年来のお気に入り。ほとんどモデルチェンジをしていない超定番モデルで、手のひら側の革が柔らかくしなやかで、外縫いの縫製もあいまって、グリップ感が最高です。 手の甲側はウインドストップ仕様で防寒対策も施されています。このグローブ、スキーカメラマンの使用率はほぼ100%では?と思うほど、プロフェッショナルな人たちに愛されている逸品。このグローブが廃番になったら本当に困る! ずっと出し続けてほしいです。

 

久田:今回、スキーはサロモンの「MTN95」177cm、ビンディングはディナフィットのラディカルFT(プレート付)、ブーツはテクニカのコーチスライト・プロを選びました。

涸沢フェススタッフ(以下、涸フェス):久田さんは、スキーやブーツは何タイプも使っていますが、あえてこのタイプを選んだ理由は?

久田:スキー、ブーツ、ビンディングに共通するのは軽さですね。6月に上高地から涸沢までハイクアップするとなると、距離もあり時間もかかります。やはり軽いギアのアドバンテージは大きいですね。その上で、スキーはセンター幅が95ミリなので、エッジを雪面にかませやすく、ブーツはもともと滑りベース(いわゆる登りと滑りの兼用靴でないという意味)なので、しっかりターンすることができます。

涸沢フェススタッフ(以下、涸フェス): :久田さんは180cm以上のメタル入り(スキーの心材にメタルを入れることによりスキーの強度が増し固い雪面でもスキーが負けずにターンをしやすくなる)スキーで、がんがん登って滑っていたこともありましたよね。

久田:メタル入りは滑りはいいのですが、登りでばてばてになりました。スキーは足下が軽くなると滑りづらくなります。この組み合わせは、登りと滑りのバランスがとても良い感じになります。リフトでアクセスできるところは重さのあるスキーですが、山スキーでは軽ければ軽いほど登りでメリットがあります。

涸フェス:ブーツなどは、何か手を入れているのですか?

久田:スキーヤーはスキーブーツを自分に合わせてチューンナップするのが当たり前です。僕も大学の基礎スキー部出身ですから、スキーブーツは色々と改造しています。たとえばシェル(スキーブーツの外側のプラスチックの部分)は両足とも小指の部分を足の形に合わせて変形させています。また、インソールもシダスをカスタム成型して入れています。滑る際は足裏の感覚がとても大切なので、これはなくてはならないものですね。

 

久田さんが選ぶトレイルラン用具2選

1・トレイルランパック「ウルトラスパイア ザイゴス2.0」
コメント:トレイルランナー山本健一氏のシグネチャーモデルで、適度な容量とフィット感のよさが持ち味。

 

2・シューズ「ラ・スポルティバ ミュータント」
コメント:スポルティバは多くのトレイルシューズブランドのなかでも、岩稜を含むハードなトレイルをしっかり歩けるように設計されたシューズが多く、このミュータントも足裏感覚&グリップ性能がよく、ソールがしっかりとしていて安心感があります。

 

涸フェス:トレイルランのシューズにもインソールを入れていますよね。

久田:トレイルランのシューズは、ラ・スポルティバの「ミュータント」を履いています。山靴志向のしっかりとしたつくりで、ソールの厚さが自分にはちょうどいいんですよ。トレイルランシューズの場合、薄底、厚底それぞれ特徴があって人によってこだわる部分ですが、ミュータントはミッドソールの厚さが、ショックの吸収と走りに対してちょうどいい感覚なんです。

涸フェス:やはりバランスですか。スキーの場合と似ていますね。

久田:こちらにもシダスのインソールを入れています。トレイルランで使っているインソールは、成型まではしていないのですが、足裏の形が走りやすくなっています。

涸フェス:ザックはウルトラスパイアの「ザイゴス2.0」ですね。これは2リットルのザックということですか。

久田:いいえ。メインに10リットルくらい。外ポケットにウィンドセルが入ってまだ余裕があります。とにかく外ポケットが便利。左右で1リットルのボトルも入る。フィット感がなかなか良くて、伸縮性のある素材を使っているので色々なものを収納できます。

涸フェス:これらのメインのグッズのほか、山スキーでもトレイルランでもエマージェンシーグッズは持っていますよね?

久田:SOLのポンチョ型サバイバルシートや、ヘッドライトではペツルティカRXPを常に持っています。ペツルはセンサーがついていて、光量が変わります。手元を見るときは光量が落ちて、遠くを照らすときは明るくなる。あと常備薬とコンタクトレンズの換えは絶対に持っています。

涸フェス:山スキーやトレイルランは危険ではないのですか?

久田:危険ですね。だからこそしっかりとした知識と備えが必要だと思っています。トレイルランの場合も、山スキーの場合もはじめは経験者やガイドさんと一緒に山に入って欲しいです。また、トレイルランの場合は、大会はエイドもしっかりしているので初心者はレースからトライするのもいかもしれません。

 

そんな編集部員の用具を涸沢フェスティバルで公開!

涸フェス:涸沢フェスティバル2018では久田さんの山スキー用具、トレイルラン用具を見ることができるのですよね。

久田:そうです。涸沢会場で7月26日(木)から28日(土)まで、用具を公開しています。私も会場にいますので、是非声をかけていただけたらと思います。

 

編集部員の山道具を公開! ヤマケイ涸沢フェスティバル2018開催

2018年7月26日(木)~ 29日(日)の間、ヤマケイ涸沢フェスティバル2018を開催します。会場は、上高地から登山道を歩くこと約 6 時間の涸沢をメインに、 徳沢(上高地より徒歩 2 時間)、横尾(同 3 時間)の 3 つの会場で開 催。「登山の今」をテーマに、登山ビギナーからベテランまで幅広い 層の山岳愛好家に楽しんでいただけるプログラムを予定しています。

■「ヤマケイ涸沢フェスティバル2018」特設サイト(プログラム) http://ymm.yamakei.co.jp/karasawa/program/program.html

 

■雑誌紹介
『マウンテンスポーツマガジントレイルラン 2018 夏号』

『トレイルラン2018 夏号』を7月9日に発売しました。特集「山で鍛えるトレイルラン総合力 山の走力・山のワザ」と題して、標高2000mを超える山を走るためのさまざまなノウハウやギア、セルフレスキュー術を紹介しています。 発売中
販売価格 本体1,200円+税

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『山とスキー 2018』

特集:山スキー入門
第2部:山スキー用具の種類と選び方
第3部:山スキーの歩き方
特別企画:デナリ滑降成功!佐々木大輔インタビュー
発売日
販売価格 本体1,400円+税
※『山とスキー2019』、『skier2019』は11月下旬に発売予定!

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プロフィール

久田一樹

『skier』『山とスキー』『マウンテンスポーツマガジン トレイルラン』の編集をしている久田です。仕事と趣味は完全につながっていて、普段はバックカントリースキーとトレイルランを楽しんでいます。あ、ここ2年ほどはクロスカントリースキーも少々・・・。

北海道出身で、大学時代は基礎スキー部、山と溪谷社に入社し、スキー雑誌『skier』を作るようになってスキーを再開しました。バックカントリースキーは2014年頃から本格的始めました。スキー場コース脇プチパウダーが大好きだったので、ゲレンデから解き放たれる感じが自分の感覚にフィットして、“自分の求めていたスキーはこれだ!”と衝撃を受けた次第です。

涸沢フェスティバル2018特集

日本の豊かな山岳環境を守り、次世代につなげるために、世代を超えて自然の素晴らしさを体験し、共有するイベント『カラサワフェス2018』。 深く山を知り、そして皆さんの登山技術のステップアップに役立つさまざまなプログラムを用意している同イベントの見どころを少しだけ紹介!

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