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あなたは何種類確認できた? 図鑑編集者が紹介する上高地〜涸沢の植物たち

涸沢フェスティバル2018特集
たしなみ 2018年08月08日

上高地~涸沢を歩いていると、さまざまな花が咲いている。7月下旬に行われた「涸沢フェスティバル」中に見かけた10種類の草花を、図鑑.jpの舘野さんが紹介。これから上高地経由で涸沢に行く予定の人、ぜひ見分け・探してほしい。

 

7月26日~29日に、北アルプスの上高地~涸沢の各会場で開催された“ヤマケイ涸沢フェスティバル”。上高地バスターミナルから歩き始め、涸沢に到着するまでに見かけた草花を、涸フェススタッフとして現地を訪れた図鑑jp事務局の舘野が、ちょっとした話題と共に紹介する。

これらの花の多くは、上高地~涸沢間の登山道に8月中であれば見つけることができる。これから上高地~涸沢を歩く人は、見かけたらぜひ確認してほしい。

 

ソバナ

キキョウ科ツリガネニンジン属の「ソバナ」は通常は比較的深い山の山道沿いなどで見かける花で、上高地から本谷橋に向かう道沿いによく見かけた紫色の花です。

低地でもよく見かけるツリガネニンジンに比べると、ひとつひとつの花が大きいのが特徴です。そんなソバナには、「蕎麦菜」「岨菜」「杣奈」の3つの漢字があてられるようです。

  • ①蕎麦菜 → 茹でると蕎麦のような香りがするから
  • ②岨菜 → 岨(そば=けわしい道)に生えるから
  • ③杣菜 → 杣人(そまびと)達が好んで食べたから。“そまな”が“そばな”に

どの説が正しいかは分かりませんが、本当に①の説のように蕎麦の香りがするのでしょうか。上高地は国立公園なので植物を採取できませんが、いつか別の場所で採ったソバナを味わってみたいものです。

ヤマケイ文庫『野草の名前[夏]』より

■図鑑jpで確認

 ⇒ソバナ  ⇒ツリガネニンジン

 

ハクサンオミナエシ

徳沢と横尾の間の崖地に咲いていたのは、ハクサンオミナエシです。オミナエシの仲間で、黄色くて小さな花を多数咲かせているので、すぐ見つけることができるでしょう。

背丈が低いことや、葉が手のひらのような形に裂けることが特徴です。

■図鑑jpで確認

ハクサンオミナエシ

 

クガイソウ

やはり、上高地から横尾までの道の脇でよく見かけたのが、クガイソウです。尾のように長く伸びた花序が特徴です。

ルリトラノオなど、似ている種類がいくつかありますが、本種は葉が輪生するということを知っていれば、識別に迷いません。なお輪生とは、一定の箇所から輪を描くように並んで生じていることを指します。

■図鑑jpで確認

⇒クガイソウ

 

センジュガンピ

漢字では「千手岩菲」と書きます。徳沢と横尾の間で見かけましたが、見られる場所は少なめですので、ぜひ探してみてください。

特徴的なギザギザした花弁を、千手観音の手に見立てたことで、"千手"の名前が付いたようです。"岩菲"はフシグロセンノウなどのセンノウ類の総称で、和紙の原料となる"雁皮"とは別物のようです。

ヤマケイ文庫『野草の名前[夏]』より

■図鑑jpで確認

センジュガンピ

 

カラスシキミ

横尾大橋を渡って少し歩いたあたりの樹林内の中で、カラスシキミの実を見ることができました。

庭や公園でもお馴染みのジンチョウゲ(沈丁花)の仲間で、枝葉だけではあまり目立たない地味な植物ですが、鮮やかな実のおかげで、急ぎ足の登山道でもよく目に付きました。

暖地にはよく似たコショウノキが分布しているので、間違いのないように見分けたい植物です。

■図鑑jpで確認

カラスシキミ  ⇒コショウノキ

 

ゴゼンタチバナ

涸沢カールの手前では、ゴゼンタチバナもたくさん見かけました。花は小さいですが、輪生する葉がつくる印象的なフォルムのおかげで、とても存在感があります。

名前は、白山の御前峰と江戸時代に園芸植物として流行ったカラタチバナに由来しているようです。

ヤマケイ文庫『野草の名前[夏]』より

■図鑑jpで確認

ゴゼンタチバナ

 

ミソガワソウ

 

標高2200〜2300mくらい、涸沢小屋のそばで見かけました。低山でも見かけるラショウモンカズラに似ている花ですが、よく調べてみると、ミソガワソウとわかりました

よく確認すると、イガイガとしている部分(萼の裂片のあつまり)が、ラショウモンカズラとは違います。名前の由来は木曽川水系の味噌川に由来しているそうです。

■図鑑jpで確認

ミソガワソウ  ⇒ラショウモンカズラ

 

イワツメクサ

涸沢では、可愛らしいイワツメクサの花をたくさん見つけました。岩場の隙間から生えていることが多い植物ですが、涸沢では涸沢ヒュッテの階段の端っこに細々と根付いているので、見つけやすい花です。

 

アオノツガザクラ

文字通り、鈴なりの小さな花をつけたアオノツガザクラは、涸沢カール内で見ることができました。似た種類の花はいくつかありますが、花の色が緑色がかっているものは、アオノツガザクラに間違いません。

下向きに咲きますが、花が終わりに近づくと上向きに変わります。写真奥側に、上向きの花が写っているのが確認できます。

■図鑑jpで確認

アオノツガザクラ

 

バイケイソウ

涸沢カールで見かけたバイケイソウは、花の盛りは過ぎていましたが、1mほどの高さになるのでとても目立ちます。

名前が紛らわしいコバイケイソウは花が白色ですが、こちらは明るい黄緑色をしているので見分けは簡単です。なお、コバイケイソウも涸沢ではたくさん見ることができます。

■図鑑jpで確認

バイケイソウ  ⇒コバイケイソウ

 

 

 

以上、上高地〜涸沢で見かけた10種類の草花を紹介しました。名前は知らなくても、見覚えのある種類も多かったのではないでしょうか。

今回紹介した植物の多くは、北アルプスなどの山に限らず、夏の山ではよく見かける種類です。山頂や山小屋を目指す登山も良いものですが、登山道脇に生えている植物に目を向けてみることで、また新しい世界が見えてきます。

ぜひ、ひとつずつ彼らの名前を知って・調べてみませんか。

自然観察
教えてくれた人

図鑑読み放題サービス 『図鑑.jp』

主に中・上級者の愛好家向けの生物図鑑類を電子書籍化して、ジャンルごとに読み放題とするウェブサービス。「植物」「野鳥」「菌類」の3各ジャンルを提供中で、出版社のほか博物館やNPO法人を含む6社2機関の専門性の高い生物図鑑を提供中。
図鑑群を和名、学名、科名で横断検索できるほか、図鑑についての追補や種についてのコラム、ユーザが種について投稿したものを図鑑とともに検索できるなどの独自の機能を持ったジャンル特化型のプラットフォームです。

⇒図鑑読み放題サービス 図鑑.jp

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