富士山外輪山で出会った、息をのむほど美しい夕日の絶景
ビストロきっちょむ登山隊・興津剛さんによる登山レポート。今回は富士山を眺めに富士山外輪山へ。
文・写真=興津 剛
考えてみると、世の中にはいろいろな「派」があります。山小屋よりテント派。朝ごはんの目玉焼きにはしょうゆよりソース派。紅茶よりコーヒー派。つまみと言ったら冷ややっこ派。好きなタイプはガリガリよりポッチャリ派。
挙げ出すとキリがないほど、いろんな「派」がありますねぇ〜。私も歳をとってから、ガリガリよりポッチャリ派に移行しましたが、今回は富士山にまつわる「派」の話をしたいと思います!
それは「富士山は登るより眺める派!」って話です。これ結構「私も!」って人、多いんじゃないですかね?
私は山に登ると富士山を探しちゃうんです。やっぱり富士山が見えるとうれしいのが日本人。でも、当然だけど富士山に登ると富士山が見えないから、ちょっと寂しいんです(笑)。
今回はそんな富士山を眺めるのがメインのレポートです。(ガリガリよりもポッチャリ派!って方も同じくらい多いと思うので、これもいつかここでレポート書きましょう!)
さてさて、富士山を眺めるのは、やっぱり富士山外輪の山がおすすめです。山中湖(やまなかこ)あたりから始まって、ぐる〜っと、田貫湖(たぬきこ)の方まで富士山外輪の山々は連なっています。難易度もいろいろ、眺望もいろいろとありますが、今回はちょっと岩場歩きもしようか! ってことで、富士山の真北、西湖(さいこ)の北側にある十二ヶ岳(じゅうにがたけ)をチョイスしました。
十二ヶ岳に登るために、登山者駐車場にやってきたのは、15時過ぎ。おっそ!(笑)いやいや違うんですよ、さすがに寝坊したわけじゃありません(笑)。今回は山の上で夕焼けをゲットしよう!って作戦なんです。
富士山のあたりにクマがいるのかわからなかったんですが、地元の町役場のHPを見たらクマがいるって書いてあったので、お守りがわりにクマよけスプレーを持ってきました。
最近は本当にクマが怖いですよね。
十二ヶ岳への登山口は、文化洞トンネルのすぐ横にあります。ちょっと草に覆われてわかりづらかったので、見落とさないように要注意です。
十二ヶ岳に登る人はそこそこいると思われ、道標や登山道を示すテープは各所にありますので、安心です。
里山あるあるで、ちょっと道がわかりづらい箇所があります。そんなときはこのピンクのテープを目印にしてください。
里山あるある、その2。急坂! 北アルプスよりも里山の方が急な山道が多い説ありますよね(笑)。無理せずのんびりのんびり登りましょう!
十二ヶ岳への登山道は、このような樹林帯がずっと続くので、途中の毛無山(けなしやま)の山頂まで一切眺望はありません。風もあんまり抜けないから、とにかく汗だく(笑)。
駐車場から1時間ちょい歩いて、途中の毛無山の手前までやってくると、やっっっと富士山登場! ここまではマジで眺望ゼロです。
駐車場から1時間15分で毛無山に到着しました。毛無山の山頂からは富士山がよく見えます。(田貫湖の近くにある「毛無山」とは同姓同名だけど別人なので要注意です。)
この時、17時くらい。日没は18時前。このまま十二ヶ岳まで行ったら、夕日に間に合わないので、サクッと十二ヶ岳まで行くのを諦めて(笑)、この毛無山でゆっくり夕陽を眺めることにしました。
「せっかくだから山頂まで行けばいいのに!」的なことを言ってくる山頂ハラスメントには、私は断固反対です! 気楽に無理せず行きましょう。だって我々は富士山を眺める「派」ですから!
雲の上に顔を出した富士山。雲を眼下に見つつの富士山!ってこの構図が私は大好きなんです。
ちょっとずつ陽が傾いてきたので、富士山が赤く染まってきました。
ちょっと右側の木に隠れちゃったけど、眼下には西湖。富士山と湖って組み合わせはやはり絵になりますね。
17時55分、太陽が沈んじゃったのか、夕焼けタイムは終了。
終わったと思って、下山しようかちょっと悩んだんだけど(笑)、粘って待っていると、上空の雲が焼けてきました! 下り出したら眺望は一切ないので、マジで下山しなくてよかったーー!(笑)
夕焼けの赤い帯を背にしたシルエット富士山もめちゃくちゃかっこいい!
18時。5分前とは劇的に空は変化して、完全に燃えてます。
うっすらと出ていたモヤも、うっすらとピンクに燃えました! これ(というか全部)カメラで撮ったまま、完全無加工の写真です。自然ってやっぱりめちゃくちゃ美しいですよね。
18時10分。完全に夕焼けタイムが終了しました。わずか10分で劇的に世界は変化しましたね〜。
どうでしたか? 富士山を眺めるのもいいなぁ〜って思っていただけましたか? 富士山を眺める派!の派閥に入りたい方は、編集部までお便りで応募しなくても、入会費年会費無料で、どなたでもご自由に入れますよ。
でも夕陽を山頂で見る時の注意点は、当然だけど、帰りは真っ暗闇ってこと! 樹海も近いし、クマとお化けが本当に怖かった! 怖すぎて1人じゃ絶対に無理!(笑)
登りでチェックした登山道を示すピンクテープを頼りに、気をつけて下山してくださいね。初心者の方や、初めての山だと夜は道迷いしやすいので、経験のある方と複数で行くようにしてください。1人で行ったら、真っ暗闇できっとお化けと遭遇しちゃいますよ!
(山行日程=2025年9月14日)
この記事に登場する山
プロフィール
興津 剛(おきつ・つよし)
静岡県静岡市出身。本業は登山隊の隊長。 副業はフォトグラファー、キャニオニングガイド、WEBデザイナー。2011年より山のHP「ビストロきっちょむ登山隊」を運営。最近では登山ツアーや、ポップアップカフェなど、みんなで「ワハハ!」ってできるイベントを定期的に開催中です。山に行かない日はジョギングと水泳をして、ダイエットに励む日々。今年の目標は、あと2kg痩せたい!
今がいい山、棚からひとつかみ
山はいつ訪れてもいいものですが、できるなら「旬」な時期に訪れたいもの。山の魅力を知り尽くした案内人が、今おすすめな山を本棚から探してお見せします。
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