紅葉の穴場コース。4時間で登れる十勝連峰の展望台、三段山【紅葉レポート】

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読者レポーターより登山レポをお届けします。みやびさんは北海道・十勝連峰の三段山(さんだんやま、1748m)へ。

文・写真=みやび


今回は標高1017mの吹上温泉登山口の白銀荘(はくぎんそう)から出発し、三段山登頂後に崖尾根コースで標高1270mの十勝岳温泉の凌雲閣(りょううんかく)に下山する、約5.4km、約4時間の山行です。

三段山は白銀荘を拠点とする山スキーで知られ、十勝連峰の展望台のような山頂からは迫力あるすばらしい景色が望めます。

吹上(ふきあげ)温泉コースは麓の紅葉と中腹の沢筋の彩りが美しい道。2009年の大規模崩落により通行止めだった崖尾根コースは崩落箇所の安定、植生回復により2020年に規制解除され、凌雲閣への下山が可能になりましたが、落石には注意して歩いて下さい。

吹上温泉コース中腹の美しい紅葉

毎年楽しみにしている三段山の紅葉を見に、吹上温泉コースへ! 登山口の白銀荘駐車場に車を停め、登山届を書き白銀荘前キャンプ場の一段上へ。右の入口から三段山に向け10時に出発。この時期は、8時前に登り始めると中腹の紅葉にまだ日が当たっていないので時間には要注意です。

白銀荘前キャンプ場から出発!左奥に三段山が見えます

序盤の木々はまだ緑が多い色づき始めですが、15分ほど進むといい彩りが見られ、期待が膨らみます。ぬかるみがちな道や滑る木の階段を慎重に登っていきます。中盤からはうるさくはないですが膝~腰丈のササかぶりを進みます。降雨後や朝露で濡れるときはレインパンツ着用が安心です。

15分登ると右手に色づきが進む紅葉、期待が膨らむ

50分ほどで景色が開けると左の沢筋に美しい紅葉! 実は4日前にも来ていたのですが、緑多い景色が一気に色づいていました。今年は高山のウラジロナナカマドの色づきがよくないところが多いので、うれしい彩り。例年より「真っ赤」が少な目ではありますが、充分きれいです!

50分ほど登ると景色が開け美しい彩り、来てよかった!
沢筋の紅葉がしばらく続く、もくもく前十勝の右に十勝岳
沢筋下側も美しく色づく、右奥に表大雪が見える

紅葉観賞しながらササかぶりの道を進むと、ササが薄くなりハイマツ帯に。一部岩がちなハイマツを抜けると、山頂はすぐそこ。2時間ほどで三段山の山頂に到着しました。

三段山の山頂に到着、日差しが温かく、吹く風が心地よい

十勝連峰の展望台

山頂からは左からもくもく噴煙の前十勝、とがった十勝岳、迫力のカミホロカメットク山と上富良野岳、美しい三峰山に緑濃い富良野岳と十勝連峰南部の山が一望! ぐるりと山々が広がります。まさに十勝連峰の展望台です。

左にもくもく前十勝、右に十勝岳
その右にカミホロカメットク山と上富良野岳の迫力の景色が続く
さらに右に安政火口越しの三峰山と富良野岳。十勝連峰が広がる

振り返ると上富良野町、美瑛町方面の雄大な景色! 快晴の空の下、吹く風は涼しく、しばし景色を眺めていました。

振り返ると眼下に上富良野町、美瑛町の雄大な景色が広がる

崖尾根コースで眼下の色づきを楽しむ

今日は凌雲閣に下りて13時37分のバスで白銀荘に戻るため下山開始。一日3~4便のバスは、その便を逃すと17時台になります。

左に安政火口上部の迫力の景色を見ながら歩きます。崖尾根コースには「立ち止まらずに進んでください」の看板があり、岩がちな急坂下りが始まります。崖尾根を下りながら見える富良野岳背景の彩りを楽しみ、無事急坂をクリア。

崖尾根上部からの景色、色づきの向こうに富良野岳がそびえる

馬足洗沼で一息つくと、三段山分岐からは紅葉が美しいビクトリーロード。凌雲閣に12時55分、無事下山しました。

三段山分岐から凌雲閣は紅葉が美しいビクトリーロード
無事に下山、奥に十勝岳温泉 湯元凌雲閣

山歩きの締めは、凌雲閣テラスからの景色

バスの時間まで40分あるので凌雲閣テラスからのんびり紅葉を観賞。こちらからの眺めは有名な紅葉スポット、眩しい黄葉、赤い色づきと緑のコントラストのすばらしい景色が目を楽しませてくれました。13時37分の町営バスに乗車し、白銀荘に戻りました。

凌雲閣裏のテラスから、ピーク直前の紅葉がすばらしい
凌雲閣から町営バス乗車(200円)で白銀荘に到着

今回は吹上温泉コースの中腹の紅葉、崖尾根コースから見下ろす彩り、凌雲閣テラスからの紅葉と十勝連峰の紅葉を満喫しました! バス使用で3~4時間程度で気軽に楽しめる紅葉の穴場コースです。登山口、下山口に温泉があり下山後に癒されるのもいいですね!

時間があれば富良野岳、カミホロカメットク山や十勝岳への縦走も楽しむことができます。稜線の上ホロカメットク避難小屋に宿泊しても充実の山歩きができるでしょう。

(山行日程=2025年9月28日)

立ち寄り情報
吹上温泉保養センター 白銀荘

吹上温泉保養センター 白銀荘

今回の登山口にある温泉。大きな露天風呂が気持ちいい。自炊宿泊あり、温泉前に解放的なキャンプ場があります。登山、山スキーの基地的存在です。

http://kamifurano-hokkaido.com/

吹上露天の湯

吹上露天の湯

今回の登山口近くにあります。TVドラマ「北の国から」で宮沢りえさんが入浴し有名になった無料の温泉。着替え小屋などないので、女性は夜の入浴がいいかもしれません。

https://www.kamifurano.jp/archives/facility_item/582/

十勝岳温泉 湯元凌雲閣

十勝岳温泉 湯元凌雲閣

今回の下山口にある温泉。北海道で一番標高が高い所に位置し、露天風呂からの山岳紅葉の景色がすばらしい。食事付き宿泊あり。十勝連峰の登山基地です。

https://www.ryounkaku.jp/

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 4時間
行程:吹上温泉・・・三段山・・・十勝岳温泉
総歩行距離:約5,300m
累積標高差:上り 約728m 下り 約471m
コース定数:16
アドバイス:凌雲閣から白銀荘へ山道歩き1時間前後で戻ることもできます。入林15分くらいに分岐があり、ピンクテープを右に登ります。一部軽いササかぶりや短い涸れ沢渡りなどあり、ワイルドですが比較的歩きやすい道です。わかりづらいところも少しあるので、GPSで確認され歩いた方がいいと思います。もちろん熊鈴、クマスプレーを忘れずに。

関連リンク

みやび(読者レポーター)

みやび(読者レポーター)

北海道在住。大雪・十勝連峰を中心に北海道の山を日帰りで歩いています。花と景色と下山後の温泉が楽しみ。

この記事に登場する山

北海道 /

三段山 標高 1,748m

 旧噴火口ともいわれる安政火口の谷を挟んで、上ホロカメットク山と向かい合う山で、上ホロをめぐって連なる荒々しい壁の展望台として絶好の位置にある。  十勝岳温泉から、火口に発するヌッカクシフラヌイ川右岸の尾根(崖尾根)に道があり、1時間30分で登れる。白銀荘からも道があり約2時間。また大砲岩へ続く急な岩の尾根をたどって上ホロ、十勝岳へも行けるが、慎重な行動が望まれる。  この山は夏山登山よりもスキー登山の山として知られていたが、白銀荘から登る斜面の針葉樹が大幅に伐採されて、山スキーの面白味は半減してしまった。  斜面が三段になっているところが山名の起源だという。  なお白銀荘は昭和7年(1932)に建てられた由緒ある小屋である。

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