修験と南北朝ロマン!福島県・霊山で見頃の紅葉が彩る奇岩と城跡【紅葉レポート】

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読者レポーターより登山レポをお届けします。かぐや姫さんは紅葉まつりでにぎわう、福島県の霊山(りょうぜん、825m)へ。修験道の歴史を感じる奇岩群が現われ、中腹には南北朝時代に築かれた霊山城跡が広がります。最高峰からの眺望、そして色とりどりの紅葉を満喫できる、歴史ロマンあふれる山行です。

文・写真=かぐや姫

目次

MAP&DATA

高低図
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最適日数:日帰り
コースタイム:2時間50分
行程:こどもの村登山口・・・日暮岩入口・・・護摩壇・・・霊山城跡・・・西ノ物見・・・霊山城跡・・・東ノ物見・・・望洋台・・・日暮岩入口・・・こどもの村登山口
総歩行距離:約4,900m
累積標高差:上り 約507m 下り 約507m
コース定数:12

登山口から絶景スポット「見下し岩」まで

福島県の名峰・霊山(りょうぜん)を訪れた。

恥ずかしながら、読み方すら初めて知る山だったが、とても魅力的な山であった。紅葉まつりの最終日、連休の最終日ということで、多くの人でにぎわっていた。路駐の車も多かった。

駐車場から紅葉に彩られた岩峰を望む
駐車場から紅葉に彩られた岩峰を望む

駐車場の立ち並ぶ屋台の先に登山口。しばらく登りが続き、いいウォーミングアップになる。「見下し岩」の看板が出てきて、「見くだし岩」と読んでしまったが、正しくは「見おろし岩」。実際、岩の上に立つと、登山口の駐車場など麓が見下ろせる。標高は700mくらいなのに、壮観な眺めだった。

駐車場の先がすぐ登山口
見下し岩からふもとを見おろす
見下し岩からふもとを見おろす

修験の山を象徴する奇岩群

見下し岩の後は勾配がゆるやかになり、非常に歩きやすくなる。名前のついた奇岩や展望スポットが次々に出てくる。天狗の相撲場(てんぐのすもうば)は、土俵らしきものは見当たらなかったが、岩峰と紅葉の景色がすばらしかった。

天狗の相撲場からの眺望
天狗の相撲場からの眺望

親不知子不知(おやしらずこしらず)から護摩壇(ごまだん)にかけては、頭上と左側の崖に気をつけながら歩いていく。護摩壇の名称からもわかるように、霊山は修験の山。このえぐれた岩壁で護摩行が行なわれたのだろう。

親不知子不知からはえぐれた岩壁を進む
親不知子不知からはえぐれた岩壁を進む

歴史の舞台となった霊山城跡

護摩壇から岩場を登ってほどなくすると、一気に土地が開ける。「伝国司館跡」とある。国司館、つまり陸奥国府は多賀城にあるはずだが……と思いながら、もう一段上に登ってみると、霊山城跡に着いた。なるほど。南北朝時代、南朝の忠臣であり陸奥守でもある北畠顕家(きたばたけあきいえ)が、後醍醐天皇の子・義良親王(のりよししんのう)を奉じて霊山城を築き、多賀城から移ってきたらしい。それで、この地が陸奥国府になったということか。

ところが、顕家が討たれた後、北朝側に攻められ落城したとのこと。そもそも霊山には、慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)創建の霊山寺があった。東北山岳仏教の一大聖地でもあったはずだが、霊山城落城によって霊山寺も荒廃してしまった。

最高峰と岩峰群からの絶景

霊山城跡で休憩した後は、霊山最高峰の東ノ物見(ひがしのものみ、東物見岩)、そして、蟻ノ戸渡り(ありのとわたり)へと進んだ。ここまで来ると、太平洋も望めるようになってくる。蟻ノ戸渡りは、初めちょっと心配であった。しかし実際には、戸隠山(とがくしやま)の蟻ノ戸渡りほどではないので、難なく通過できた。

霊山の最高峰・東ノ物見
霊山の最高峰・東ノ物見
東ノ物見からは太平洋まで見える
東ノ物見からは太平洋まで見える

登山口へ下山する途中、弁天岩(べんてんいわ)や宝寿台(ほうじゅだい)にも寄った。どちらもハシゴのかけられた巨岩。登ってみると絶景であった。たまたまだが、紅葉がベストなタイミング。いろんな赤・橙・黄に色づき、グラデーションがみごとだった。

弁天岩からの眺め
弁天岩からの眺め
宝寿台からの眺め
宝寿台からの眺め

岩峰と紅葉を楽しみ、思わず、興味深い歴史の舞台にも出くわし、楽しい登山だった。下山後は、りょうぜん紅彩館で汗を流し(440円)、帰京した。

(山行日程=2025年11月3日)

かぐや姫(読者レポーター)

かぐや姫(読者レポーター)

13年前、友人に誘われて日帰りで槍ヶ岳に登ったのが、登山にのめり込んだきっかけです。奥穂・西穂縦走や奥秩父主脈縦走を踏破。厳冬期の西穂や爺、残雪期の槍にも登頂しました。ハードな登山も好きですし、写真を撮りながらの登山も好きです。

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この記事に登場する山

福島県 / 阿武隈高地

霊山 標高 825m

阿武隈山地北部、福島県伊達市と相馬市の間に位置する。火山角礫岩、安山岩を中心とした岩質からできている岩山として知られ、風化の進んだもろい岩山は福島市内からは特徴ある山容を望める。 季節を通して楽しめる山だが、最もすばらしい季節は紅葉のころの10月下旬から11月上旬にかけて。岩と紅葉のコントラストが楽しめる。 霊山は貞観元年(859)に修験道の霊山寺として開山され、天台宗の東北の拠点として「北の叡山」と呼ばれるほど栄えたといわれる。時代は下って、南北朝時代には、北畠顕家が霊山城を築き、激しい戦いの舞台となった歴史をもつ。 登山コースとしては、こどもの村からの周回コースが一般的。行合道から所要2時間30分。霊山神社方面へ縦走も可能だ。

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全国の山と溪谷オンライン読者から選ばれた山好きのレポーター。各地の登山レポやギアレビューを紹介中。

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