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子供は何歳から富士山に登れる? 4歳の娘と富士登山に行ってわかったこと・感じたこと

子供と一緒に山、行こう! 親子登山のススメ
登山技術 2018年09月20日

登山が趣味で、小さい子供を持つ父親・母親なら、「いつかは子供と一緒に登山・・・」は誰もが考えることだろう。子供は何歳から登山できるのだろう。例えば、日本一の富士山なら――。「いきいき登山ガイド・ヤッホー!! さん」こと芳須勲ガイドが、この夏、4歳の娘と富士登山に挑戦。登山ガイド、健康運動指導士、両方の目線から見た、「子供は何歳から富士山に登れる?」について、経験談から子供と登山を振り返る。

 

登山ガイドの私に、44歳という遅い年齢で待望の「子供」が生まれ、ただただ可愛がって、甘やかして育ててしまったので、まさか4歳で一緒に富士山に登れるなんて考えてもいませんでした。

今年、こうやって4歳の娘と剣ヶ峰に立ち、無事下山できたことは夢のようです。

一度も抱っこなどせず、すべて自分の足で、笑顔のまま登りきった娘の元気いっぱいな姿。これまでガイドとして何度となく富士山の頂上に立っていますが、初めて目頭を熱くしてしまいました。私にとって、生涯忘れることのできない「最高の思い出」となりました。

今回、登山ガイド・健康運動指導士の目線から見て、装備(持って行ってよかったもの・持っていけばよかったと思うもの)、練習登山の進め方、コース選び、などたくさんの発見がありました。いつか親子で富士登山にチャレンジしたいという方は、ご参考にして頂ければと思います。

 

登山ガイドをしていると、ときどき「富士山は何歳から登れますか?」という質問を受けることがあります。私がガイドとして親子連れの方を案内する場合は「小学校に入ってから」と答えています。しかし、実際はどのくらいから登れるのかを考えてみます。

 

子供はどのくらい歩くことができるのか?

私は幼稚園の遠足ハイキングなどを引率するとき、コース選びは年齢と同じくらいのキロ数を目安にしています。例えば2歳なら2km、3歳なら3km、4歳なら4km・・・。

今回の富士登山では、6km歩いた日もあります。その中には、きつい勾配がある場所もあるので、最低でも6歳以上。やはり小学生からと考えるのが妥当ではないかと思います。

うちの娘は幼稚園の年中さん(4歳)で、とりわけ体力があるわけではありません。3歳の夏休み、富士山のふもとにキャンプに行った時に、「お父さんはあの山を、お仕事で登っているんだよ」と教えたところ、「私も富士山に登りたい!!」と言うようになり、そこから一年間しっかり練習をして、山歩きのコツを身につけました(この一年間の練習登山は後日書きたいと思います)。きちんと練習すれば4歳でも10kmくらいは平気で歩けるようになります。

 

高山病にならないのか?

子供の年齢と高山病の関係を示すエビデンスを見たことがないので正確なことはわかりませんが、やはり、自分の症状を正確に訴えることのできない年齢の子どもを連れて行くのはやめた方がよいです。

ベビーキャリアなどに背負って幼児を連れて行く人もいますが、大人が幼児の症状に気づいたころには遅いかもしれません。高山病の危険のある山にベビーキャリアで連れて行くのは、とても危険です。

うちの娘は口が達者なので、4歳でもしっかりと自分の症状を言うことができました。気持ち悪い、頭が痛い、眠い、吐き気がする、などしっかりと伝えられるようにするため、山とは関係のない「海のボート釣り」に連れて行き「船酔い」という症状を正確に親に伝える訓練もしました。

小児にも使えるパルスオキシメーターを持っていき、ポイントごとに血中酸素飽和度(SpO2)を測定しました(ほぼ、高山病のない大人よりも高い数値を示していました)。

高山病に対して、可能な限りの対策(水分補給、ペース配分など)を行ったため、今回の富士登山では、4歳であっても、一度も高山病とみられる症状はありませんでした。

 

山小屋に泊まれるのか?

今回、お世話になった山小屋の「わらじ館」さんでは、予約の時点で子供と伝えておいたところ、わざわざカレーライスの甘口を用意していただきました(偏食・食物アレルギーのある子どもも気をつけないといけません)。

山小屋は、知らない人と大勢で雑魚寝をするようなもの。おとなしく出来るかが、とても重要です。寝つきが悪い、いつもと違う環境で眠れない、夜泣きをしてしまう、寝小便をしてしまう、寝起きが悪い、といった子は他の登山客に迷惑です。

うちの娘は「おしゃべり」なので、何ヶ月も前から「山小屋では騒がない」ということを口がすっぱくなるまで伝えました。また、お母さんがいない環境でも寝られるよう、父娘二人だけでキャンプにも行きました。

 

本当に富士山に登りたいのか?

単純に「富士山に登ってみたい?」と聞けば、子供は「登ってみたい」と言います。子供は富士登山がどれだけ大変かを知らないのです。登山の大変さを理解してもらうためにも「練習登山」が不可欠です。

何度も山に登って、それでも富士山に登りたいと思う子供でなければ最後まで登りきることはできません。途中で、ぐったりしている子供、機嫌悪そうにしている子供、泣き出している子供をたくさん見ました。最後まで元気に笑顔で、楽しい思い出にしてあげることが一番大切なコトです。

大人のエゴで、子供にツラい富士登山をさせてはいけません。

 

そもそも、親は富士山に登れるのか?

先日、砂が多く、登りづらい「下山道」を必死になって登っている親子を見かけました。富士山に「登山道」と「下山道」があるということすら知らない様子でした。

自分が富士山に登ったことがないのに、ガイドもつけず、幼い子供を連れて行くなんて自殺行為です。子供の安全を考えるなら、せめて下見のために一度くらい富士山を登っておかなければいけません。

子供の世話をしながら、安全面を考慮して登るのはとても疲れます。シーズン中、年に5~6回富士山をガイドしている私でも、ぐったりするほどです。これは子供が小さければ小さいほど疲れます。完璧にサポートする自信のない人は、やはり、小学生になってから、ガイドをつけて登った方がよいと思います(ガイドをつければ安全面をサポートしてもらえますので、親は自分と子供の世話に専念できます)。

 

今回はちょっと厳しい話をしました。山登りは人と競うものではありません。大人のエゴで無理に登らせる必要はないと思います。安全で楽しい思い出を作ってください。

次回は子供の「登山靴」選びについて、書きたいと思います。

 

※本記事は、いきいき登山ガイド・ヤッホー!!さん。の「山ごはん」のブログより、許可を得て転載(一部編集)させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は、こちらからご確認ください。

 

登山計画 記録・ルポ
教えてくれた人

いきいき登山ガイド・ヤッホー!!さん

本名:芳須勲。横浜市金沢区在住。管理栄養士・健康運動指導士・登山ガイドの資格を持ち、中高年登山者の健康づくりを、栄養と運動の両面からサポート。
山ごはん・アウトドア料理を得意とし、災害時における野外炊飯法などの講習会も各地で行なっている。
著書:山登ABC「登山ボディのつくり方」(山と溪谷社)、山登りABC「もっと登れる山の食料計画」(山と溪谷社)など。
⇒ホームページ

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