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長野移住で実現! 保育園で、子どもの頃からアウトドア体験を

子供と一緒に山、行こう! 親子登山のススメ
基礎知識 2020年01月23日

八ヶ岳の山麓に住む信州登山案内人の石川高明さんに、これまでの経験から得られた親子登山のノウハウを聞く連載。5回目は、幼少期から子どもにアウトドア体験をさせるために石川さんが実践した長野への移住と、野外教育に特化した保育園についてご紹介します。

 

 

信州登山案内人の石川高明です。ネパールやスイスで現地トレッキングガイドを経験した後、帰国し、息子が3歳、娘が生まれるタイミングで、八ヶ岳の標高1200mの森のログハウスへと移住しました。現在は登山案内人をしながら、アウトドアに根ざした生活をしています。

「親子で登山・トレッキング」のコラムの5回目は、私自身が移住することで実現した、幼稚園・保育園での子どものアウトドア体験についてご紹介していきます。

今から10年以上前、長男が生まれた時、私たち家族は、東京都内のマンションに住んでいました。そこはビルの6階で、ビルとビルの間から、少しだけ空が見えるようなマンションでした。

長男が歩けるようになると、私たち家族は積極的に近所の散歩や公園に出かけるようになりました。私が子どもの頃には東京にも空き地がいっぱいあって、そこで遊んだ経験があり、大人になってからも、自然を好み、登山を楽しんでいたからです。自分の子どもにも、なるべく自然に触れさせたいと思っていたのだと思います。

また、食材にも気を使って、週末になると2駅先で開かれる週末マーケットまで走って行って(当時、私はトレランもしていました)、新鮮な野菜を入手するようにしていました。

子どもがある程度大きくなり、遠出が可能になると、かつて自分が足繁く山登りに通った秩父や、八ヶ岳方面に子どもをハイキングに連れ出すようになりました。

ある時、全く偶然に、八ヶ岳に移住したご夫婦と知り合いになり、彼らが耕している畑にお呼ばれしたのです。その畑には、無農薬&有機肥料で綺麗に耕されたフカフカの土がありました。そこで、長男は信じられない行動にでたのです。

土の上を“泳いだ”のです。

うまく表現できませんが、まさに泳いでいるようにゴロゴロを畑の土の上を転がりまわり、楽しそうに“泳いだ”のです。

見ていた大人たちは一瞬何が起こったのか分かりませんでしたが、ともかくその様子が可笑しくて一斉に笑ってしまいました。

 

長野へ移住。長男は山岳展望バツグンの幼稚園へ

東京に帰って日常の中で、6階の部屋までエレベーターで上がり、ビルとビルの間の狭い空を見上げて天気を伺い、近所の公園の遊具で遊ばせている中で、私は気がついたのです。

「自然どころか、土が無いな〜」

1日を過ごすのは、リノリウムの床だったり、アスファルトだったり、プラスチックの遊具の上ばかりで、公園に少しある土もカチカチで板のような地面です。おそらく、長男は柔らかなフカフカな土を見つけて本能的に飛び込んだのでしょう。

「やはり子育てはもっと自然の多いところでしたい」、そう思うようになりました。

ちょうど長男が3歳になる頃で、幼稚園を探していました。ただ、近所の幼稚園は抽選に落ちてしまい、また、2人目の子どもを授かったタイミングでもありました。

私はもともと、会社員を辞めた後に、数年かけてバックパッカーをして世界一周し、ネパールやスイスで暮らしていたくらいの根無し草だったので、これを機に本格的に地方への移住を模索し始めました。

いろいろ検討した結果、先の八ヶ岳の畑に近い、長野県の原村に引っ越しを果たしました。

以前の記事にも書きましたが、移住の決め手は、長男が通う予定の幼稚園の園庭から見える、360度の山岳展望でした。

八ヶ岳や北アルプス、南アルプス…、素晴らしい展望が広がっていたのでした。実はそこから見える山並み、全て私は登ったことがあったのです。ただ単に、息子に「お父さんはここから見える山、全部登ったんだゾ!」と言いたかっただけなんですが…。

結果として、長男はその幼稚園でのびのび過ごさせてもらい、これまで連載で書いた通り、その後、長男を八ヶ岳の周辺の山に連れ出した時でも不満を言わず、キャンプをしたり登山をしたりと、野外に出ることを苦に思わない子どもに育ちました。

 

長女はさらに自然教育に特化した保育園へ。親も驚くほど…

それはそれで不満はなかったのですが、次に長女の幼稚園を検討し始めた時、別の願望が頭をもたげてきました。

「もっと自然に触れさせることはできないのかな?」

例えば、この高さから飛び降りたら、怪我するかな? それとも怪我しないかな? という身体感覚というのは、小さい時から遊んでいる中で、実際に飛び降りて、怪我をしたりして身につくことだと思うのです。

勉強は後からでも追いつくと思うので、こういう身体感覚は小さい時に体験させたい。それには長男の通っている幼稚園でいいのかな? と思い始めていたのでした。

ちょうどそのタイミングで、隣町で「野外保育園」ができるという話を聞き、見学に行きました。

そこは園舎を持たず、キャンプ場のようなところを借りて、子どもたちが自由に走り回る環境のなか、野外保育が実施されていました。小雨程度でも外で遊び、雪が積もっていても基本は野外で過ごします。園の制服はなく、ほぼ服装はレインウェア! みたいな野外保育園でした。

まさに私が考えていた「もっと自然に触れさせたい」を実践されている野外保育園だったのです。

長女はそこに3年間お世話になり、毎日、木登りをし、斜面を滑り、排水溝に潜り込み、焚き火をして過ごしました。そういう環境ですので、親もちょっとお手伝いをしました。

小雨の中で遊ぶといっても、お弁当を食べる時に雨が降っていたら辛いものです。親もタープを張るのを手伝い、子どもたちはその下でお弁当を食べていました。

冬も基本、野外です。秋も深まると、保護者総出でビニールハウスをリメイクしたテントのようなものを張って、子どもたちは、冬はそこでお弁当を食べていました。

その保育園、「野外保育 森のいえ“ぽっち”」の紹介文にはこうあります。

「自然の中で、子ども一人ひとりのそのまんまを受け止め、ゆったりとした保育を行うことで、どう遊ぶかどう過ごすかを、子どもが自分で考え自分で選び自分で決める機会を大事にしています。自然も子どもも同じものはありません。子どもたちが自然と出会うとき、それはいつも新しい発見の連続です。多くの様々な命との出会い、四季折々の自然の変化、また人間の力の及ばない自然の脅威、全ての体験が、子どもたちの感性や知的好奇心を刺激し、主体的で感性豊かな子どもを育みます」


日々発見の連続で、毎日、泥だらけになり、夜の8時にはぐっすり寝入ってしまう長女を見ていると、本当に良いところにお世話になったんだな、と感じました。

冬のある日、私が長女をお迎えに行くと、「見て見て!」と長女の声がします。そちらを見やると、カチカチに凍った斜面を、長女がプラスチックのソリに、立ち乗りで滑ってくるではありませんか!! 見ているこちらはヒヤヒヤもんです。

親がツルツル滑りながらお迎えに上がって行った凍った坂を、彼女は立ち乗りのソリで、猛スピードで滑ってくるんですから。親が想像していた「多少高いところから飛び降りるくらい」の、はるかに上をいく、おてんばに長女は育っていきました。

卒園式の直前に、この地方としては十数年ぶりの大雪が降り、我が家からも外出できず、3日間閉じ込められる事態になりました。

件の雪よけのテントは見事に潰れてしまいましたが、父兄や先生が協力し、キャンプ場に至る道を除雪して、もちろん野外で(!)、卒園式を迎えることができました。

その日は本当に素晴らしい青空で、子ども達は大雪を踏みしめて誇らしげに巣立って行きました。

私は思うのですが、子どもが小学校に上がるまでというのは、多彩な教育の可能性があると思うのです。小学校からは義務教育となり、ある程度「型」にはまったコースになります。もちろん学校だけが自然を楽しむ場ではありませんから、他で補うことも可能でしょう。

ただ、地方に移住し、もしそういった環境があるのなら、野外保育という選択肢も考えて見てください。きっと他では得られない体験があります。

娘が卒園した長野県富士見町の「野外保育 森のいえ“ぽっち”」では、この冬、1泊2日の野外保育ツアー「週末・森のようちえんin富士見町」が開催されます。

親子でのびのびと自然体験が楽しめる機会ですので、ご興味がありましたら、下記リンク先をご参照ください。

ちなみに、私、石川も1日目の親御さんのプログラムでガイド役を担当します。お手軽スノーハイキングのガイドもしっかりやらせていただきますが、野外保育に子どもを送り出した親の視点に立ったアドバイスなどもできるといいな、と思っています。

 

野外保育ツアー「週末・森のようちえんin富士見町」

  • 第1回 日時:2020年2月1日(土)~2月2日(日)
  • 第2回 日時:2020年2月22日(土)~2月23日(日)
  • 集合場所:富士見 森のオフィス(現地集合・現地解散)
    〒399-0211 長野県諏訪郡富士見町富士見3785-3 富士見森のオフィス
  • 参加費用:おとな 15,000円(税別)/こども 5,000円(税別)
  • 参加定員:ご家族10組
  • 参加申し込み締め切り:2020年1月24日(金)

「週末・森のようちえんin富士見町」詳細はこちら
https://www.morinoyochien.com

 

教えてくれた人

石川高明さん

1967年東京生まれ。学生時代から登山に親しむ。最初に登った山が八ヶ岳。大手電機メーカーを2000年に退職し、世界一周登山の旅に出発。途上のスイス・ツェルマットで、“観光カリスマ”山田桂一郎氏の元で2年間、トレッキングガイドを勤める。帰国後、八ヶ岳の麓で子育てをすべく、長野県原村に移住。
各国の山岳地域を旅した体験や、スイスで観光業に携わった経験を活かし、地元地域や観光活性化のお手伝いをしながら、各種イベントを実施している。
原村観光連盟 副会長/八ヶ岳観光圏 観光地域作りマネージャー/公認スポーツ指導者 山岳指導員/長野県信州登山案内人/(株)八ヶ岳登山企画 代表取締役/登山歴30年/スノーシュー歴20年

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