ミッションは登山と絵日記! 八ヶ岳キッズチャレンジで夏休みの想い出を家族で残そう!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

子供のいる登山愛好者のみなさん、夏休みは一緒に山に出かけましたか? もし、今年に限らず、そんな予定を考えているという人、八ヶ岳キッズチャレンジを利用して、家族で八ヶ岳の山を楽しんでみてはいかがだろうか?

文・取材=編集部

 

もし、あなたが登山愛好家で、これから子供が生まれる、もしくは生まれてまだ間もないというのであれば、いつか一緒に山に登る日を夢見ているのではないだろうか? もう子供はすっかり大きくなってしまった、というのであれば、いつか孫が誕生して一緒に登る日が来るかもしれない。

そんな時が来たのなら、「八ヶ岳キッズチャレンジ」に参加してみてはいかがだろうか? “チャレンジ”といっても特別な挑戦をするわけではない。夏休み期間中に家族で八ヶ岳で登山をして山中の山小屋に宿泊するだけだ。すると、子供の料金は無料になるというものだ(保育園、幼稚園児、小学生が対象)。ただし、1つだけ重大な“ミッション”がある。それは参加した子供が「登山絵日記を描いてコンクールに申し込む」というものだ。


本プログラムは「山登りを体験しながら親子の楽しい思い出を作り、自然を大切に将来を過ごしていく力を育んでもらいたい」という、八ヶ岳観光協会の思いから誕生している。夏休みに、山で家族とともに過ごす機会を増やそうと考えたのが目的だ。

八ヶ岳キッズチャレンジは2015年から始まったプログラムで、毎年、500組ほどの家族が利用している。2019年も、すでに何組もの家族が八ヶ岳の山々で思い出を作ってきている。

「キッズチャレンジ」を利用して蓼科山へ向かう長谷川さん一家(大河原峠にて)


実際の様子を探るべく、今回、本プログラムに参加したご家族に同行取材を行った。取材をお願いしたのは、埼玉県から参加の長谷川さんご一家。お父さんの陵介さん、お母さんの奈緒さん、3歳の娘の栞ちゃん、そしてお祖父さんの俊郎さんの4人での参加だ。

ご家族の登山との繋がりを伺うと――。お祖父さんの俊郎さんは、学生時代は山岳部に所属して、若い頃から山と親しんでいたそうだ。その影響で、息子の陵介さんは何度か登山には連れて行ってもらっていたものの、子供の頃は一緒に登ったという記憶はさほどなかったという。

しかし、陵介さんが社会人になってから一緒に行く機会が増え、富士山を皮切りに、近郊の山から日本アルプスの険しい山まで、一緒に登る機会が増えたいった。お母さんの奈緒さんも特に登山をしていたわけではないが、お祖父さんを先頭に!? 家族みんなで登る機会が増えていき、この5月の連休には、まだ残雪の残る蓼科山に子供を背負って登ったという。

その際にこの「八ヶ岳キッズチャレンジ」のプログラムを知り、この夏の参加を決意。8月3日(土)~4日(日)、蓼科山頂ヒュッテに宿泊するプランを立てたのだった。

クマザサと針葉樹林に囲まれた登山道をいざスタート!

 

3ヶ月で大きく成長して元気に歩く!

梅雨明けの遅かった2019年の夏、ようやく天候が安定した初めての週末となったこの日、大河原登山口から一家揃っていよいよ登山を開始したのだった。

約3ヶ月前の5月の連休に、七合目ルートから蓼科山に登っていた長谷川さん一家だが、そのときは一部で雪が残っていたこともあって、栞ちゃんは道中、ほぼお父さんの背中で過ごしたという。それから約3ヶ月で、だいぶ成長した栞ちゃんは、元気に自らの脚で歩き出す逞しさを見せる。

背丈ほどもある大きな段差では、お父さんに持ち上げてもらいながら・・・


まだ1mにも届かない栞ちゃんの身長では、大きな段差を越えることは出来ない。お父さんやお祖父さんに持ち上げてもらったり、お母さんに手を引いてもらったりしながら、頑張って登っていく。途中、段差が大きいところが続く箇所で断念となったが、将軍平(蓼科山荘)までの道のりの半分くらいまで、自分の足で歩いたのだった。

その後は、お父さんの背中で過ごし、気がつけば夢の中。目が覚めると蓼科山荘へと到着。昼食を食べ元気を取り戻すと、再び自らの足で登り始めるのだった。

将軍平から蓼科山頂までの登山道は、岩場が続き、途中に鎖がかかる場所もあるほど急登だ。しかし、栞ちゃんは、手を使いながら逞しく岩場を登っていき、鎖場では怖がりながらも通過していく。お父さん、お母さんともに、3ヶ月前とは大きく成長している栞ちゃんに驚くばかりだった。

急登の岩場も鎖場も、手を借りながらも自分の力で登っていく
 

最後の岩場はお父さんの背中で応援担当! 昼食を食べた蓼科山荘が小さく見える


岩場の登山道も半分ほどは自分の足で登り、傾斜がさらにきつくなる後半は再びお父さんの背中におさまる。そして背中で家族のみんなを応援すると、14:30頃、約4時間半の行程で、蓼科山頂ヒュッテへと到着したのだった。

 

重大なミッションもクリアして元気に山頂へ!

山頂直下に立つ蓼科頂上ヒュッテに到着すると、栞ちゃんはすこぶる元気。一休みすると早速、ミッション(絵日記)に取り掛かる。道中の深い緑の森、夏らしい入道雲、広がる峰々、そして広大な空、子供の目を通して山で感じた情景を、クレヨンで丁寧に描いていく。

最大のミッション「絵日記コンクール」も完成! 


小屋でのんびりと過ごしているうちに、いつの間にかすっかり空は晴れ上がり、きれいな夕焼け空が広がっていた。その美しい夕焼け空を眺めに、一同は山頂へ。素晴らしい景色を家族で堪能し、1日の工程を終了したのだった。

ゴロゴロ岩を縫うように進みながら山頂を目指す長谷川さん一家
 

夕焼けに照らされながら山頂での絶景を堪能!


翌日は朝から青空が広がる素晴らしい天候。帰りは来た道を戻ることになるが、山頂直下の急斜面の岩場はお父さんの背中に乗り、登ってくる人たちに挨拶で癒やしながら下っていく。

将軍平からは、自分の足で再び歩きだす。蒸し暑しい昼間の登山道も、元気に歩き、少し疲れた様子を見せながらも、元気に下山したのだった。

すっかり仲良くなった山頂ヒュッテのスタッフと別れを惜しみながら記念撮影
 

岩場下りでは「応援担当」の栞ちゃん、お父さんの背中からすれ違う登山者もたくさん応援した
 

将軍平から先は自分の足で、ストックを使いながら先頭を歩く


「疲れたけど楽しかった」、そう2日間を振り返る栞ちゃん。お父さんは「予想以上に歩いてくれて驚いた。今回は、(取材を受けていて)ほかの人の目もあったから、余計に頑張ったのかもしれない」と笑うが、標高2531mの蓼科山を、3歳の足で立派に歩いたのだった。

美しい針葉樹林、美しい苔の森、鳥の鳴き声、岩が続く険しい登山道、ゴツゴツ岩が広がる山頂の特異な景色、美しい夕焼け、夏らしい入道雲が浮かぶ青空――、都会では見られない雄大な自然を、家族で楽しんだ思い出は、3歳の栞ちゃんの記憶にはもちろん、家族みんなの思い出として深く刻み込まれたことだろう。

八ヶ岳キッズチャレンジは、2019年の8月31日まで八ヶ岳観光協会加盟の33の山小屋で利用できる。難易度の高いチャレンジングなコースもあれば、小さな子供でも登れる場所もある。

残り少ない夏休みに、夏の思い出を作りたい家族が利用するのもよいだろう。もちろん今年に限った話ではなく、来年の夏にぜひ思い出を作りたいという家族の参加を待っている。今回の長谷川さん一家のように、親子3代での参加も歓迎している。小学生以下の子供を持つ家族はもちろん、お孫さんのいる方は、子供と孫を誘ってみんなで思い出を作ってみてはいかがだろうか?

みんな元気に下山! ちょっとお疲れ気味の様子ですが、よく頑張りました! 

 

子どもと一緒に山、行こう! 親子登山のススメ

子どもや孫といっしょに山に登ることは、登山愛好者にとって1つの夢ではないだろうか? しかし、子どもの気持ちを山に向けることができるか、安全な登山を伝えられるかなど、疑問や悩みも多い。親子登山に役立つ情報を、さまざまな角度から伝えていく。

編集部おすすめ記事