西日本で最も過酷な「大峯奥駈道 全100km縦走」を含む、7、8月の旅。 日本3百名山ひと筆書き、田中陽希さん旅先インタビュー
―― 続けて、三百名山で初めて登る山に、4日連続で4座でした。山の印象を教えてください。 (竜門岳、高見山、三峰山、倶留尊山)
当初、この三百名山4つは、一日一座で続けて登れるし、標高もそれほど高くないので、大峯奥駈道で修験の山を味わってから、関西北部に向けての少し「中継ぎ的な」山になるかなと思ってました。しかし、そんな自分の考えが恥ずかしくなるほど、ひとつひとつに趣のある山でした。
最初の2つの山、竜門岳、高見山は、歴史を感じさせる山でした。 竜門岳(龍門岳)は、古くから人の行き来があったことを感じさせる山でした。山頂に、高皇産霊神(たかみむすびのかみ)を祀る小さな祠があり、山麓にはかつて隆盛を誇っていた龍門寺の史跡も見られました。
高見山の山頂には、『日本書紀』で神武天皇の東征の際、熊野から大和へ導いたとされる「八咫烏(やたがらす)」が祀られていました。西側から見た山容によって「近畿のマッターホルン」と呼ばれているそうですが、その姿を見ることができませんでした。

後半の2つの山は、自然の魅力が詰まった山でした。 三峰山(みうねやま)へは、南側の「ゆりわれコース」から登りました。山頂付近が平らな高原状になっていて、八丁平は草原が広がっています。山麓からはその姿は分からなくて、急登を八合目くらいまで登って初めて開けてくる「サプライズな景色」でした。

倶留尊山(くろそやま)は、三重県側から登り、奈良県側に下りました。山の東側は岩壁が切り立っていて、三ツ岩に登ると景色が広がりました。山頂から西側は少しなだらか。そして曾爾高原は一面ススキの原の絶景でした。聞いたところでは、かつて萱場として利用されていたものの、萱の利用が減って、植林して杉林にしようという時代もあったようです。それを県が保護して、ススキの原として残しているとのことでした。倶留尊山では、清掃・保全活動のための入山料を払いました。

―― そして、奈良から京都へは、歴史のある寺社を寄り道しながらの移動になりましたね。
奈良から京都へは、7月下旬、猛暑の中の平地歩きになりました。けっこう暑くてハードな毎日でした。倶留尊山を下山して、奈良に向かう途中の室生寺では、国宝で、日本一小さいといわれる五重塔に立ち寄りました。
高校時代の修学旅行以来となった奈良公園、日本一の東大寺・大仏にも立ち寄り、京都へ向かいました。

―― 京都では2座に登りました。愛宕山、比叡山について教えてください。
京都の愛宕山は、京都の西、嵐山の渡月橋の背後に見える山です。宿の方に、7月31日から8月1日にかけては、年に一度の「千日詣り」が行われる日と聞いたので、その日に合わせて登ることにしました。
千日詣りは、この日に登ると千日分のご利益があるということで、多くの方が登っていました。また山頂の愛宕神社は、火伏せの神様で、3歳までに詣でると一生、火の厄を避けられるそうで、小さなお子さんを背負って登る方も多くいました。参詣者同士の「お上りやーす」「お下りやーす」という声掛けも、他の山では見られないもので、この千日詣りの日に登ったことで、印象深い山になりました。

京都のもう一つは、延暦寺で有名な比叡山です。京都側からは三角錐のきれいな山容に見えます。古くから山岳信仰の山で、遷都以来約1200年、京都を守るために鬼門である北東の比叡山に延暦寺を置いて、都を守ってきたと言われます。今回は、かつては都からの僧侶や勅使が登ったという雲母坂(きららざか)から登りました。

田中陽希さん「日本3百名山ひと筆書き」旅先インタビュー
2018年1月1日から、日本三百名山を歩き通す人力旅「日本3百名山ひと筆書き グレートトラバース3」に挑戦中、田中陽希さんを応援するコーナー。 旅先の田中陽希さんのインタビューと各地の名山を紹介!!
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