ギリシャ・モンテネグロ・クロアチアを旅するなら歩きたいオススメトレイル:トレイルトラベラーズ「世界のトレイルを巡る旅」(7)

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トレッキングをテーマに300日間で世界一周旅行をした山野夫婦が、訪れた五大陸50超のトレイルからおすすめの場所を振り返る連載「世界のトレイルを巡る旅」。第7回目は、ギリシャ最大の島クレタ島サマリア渓谷、バルカン半島の山国モンテネグロのドゥルミトル国立公園、そして森の中に広がるエメラルドグリーンの湖群が美しいクロアチアのプリトヴィッツェ湖群国立公園でのトレッキングについてお伝えする。

 

 

迫り来る岩壁 ギリシャ・サマリア渓谷

2016年6月22日(世界一周71日目)

いよいよ僕らの旅もヨーロッパへ到達した。エーゲ海に浮かぶギリシャのリゾートアイランド・サントリーニ島でアジア旅の疲れを癒し、そこからさらに南にあるクレタ島へ。ギリシャ最大の大きさを誇り、古代遺跡やビーチ、オリーブオイルたっぷりの料理が有名なこの島には、標高2000mを超える山がいくつもある。

僕らが歩いたサマリア渓谷は、1230mのスタート地点からクレタ島南岸の海を目指して深い渓谷を歩く山下りルートだ。人気のコースとあってたくさんのハイカーで賑やかだ。

トレッキングのスタート地点にて


しばらくは眺望の少ない樹林帯を歩いていく。6月のクレタ島の日差しは強く、身体に堪える暑さだ。

このトレイルの見所は後半で、両脇にそびえ立つ岩山が徐々に近づき、垂直の岩壁となって迫ってくる。その壁には、横から縦へ、そしてまた横へと、うねるように捻れた何層もの地層が走っている。見上げてみるとどこまでも高く、吸い込まれそうな気持ちになる。迫り来る岩壁は最後は幅3、4mくらいまでに狭まった。鉄門(Iron  Gate)と呼ばれるそうだ。

迫力のある岩壁、サマリア渓谷のハイライト


そこを抜けるとゴールまではあと少し。最後はフェリーが停留する海岸へ。目の前にはリビア海が広がっていた。

ここからはフェリーで隣町まで移動。クレタ島の南岸はビーチと山が繰り返すような地形となっており、ここもトレッキングコースになっている。暑すぎない季節はフェリーに乗らずビーチでテント泊をしながら隣町まで歩くのも気持ちよさそうだ。そんなことを考えながら1時間ほどのちょっとしたクルーズを楽しんだ。

隣町までリビア海をショートクルーズ

 

カルストとカールの大展望 モンテネグロ・ドゥルミトル国立公園

2016年6月29日(世界一周78日目)

ギリシャの後はバルカン半島を北上して、モンテネグロの世界自然遺産ドゥルミトル国立公園へ。

拠点となるジャブリャクという街は標高1456mに位置し、ペンションのような建物が並ぶ高原のスキーリゾートといった感じだ。街のインフォメーションで情報を仕入れ、今回はObla Glavaという山までトレッキングすることを決めた。ひんやりとした空気にしっとりとした土は、ここまで歩いてきたトルコやギリシャの乾燥したトレイルと違い、日本の山に似ている気がした。

樹林帯を抜けると、緑の草原に石灰岩の白い岩肌が顔をだすカルストの風景となってくる。気持ち良いトレイルをしばらく歩き続け、小さな峠のようなポイントを抜けると、美しいカール地形が見えて来る。カールを囲むように2000m級の山々がそびえ立つ。遠くには連なる山々、足元には一面の花畑を眺めながら、緩やかな丘を歩いていく。

歩いている人がほとんどおらず、この景色を独り占め


カールの斜面に沿ってトレイルが続き、徐々に急登に変わっていく。ちょうど羊の群れもこのトレイルを登っていて、可愛らしい羊たちの表情と高低様々な鳴き声のお陰で、キツイはずの登りも、写真を撮りながら楽しく登ることができた。

羊と歩く体験も海外トレッキングならでは


ようやく目的の場所へ。眺望の良いところを見つけランチタイム。頂上ではないが、この辺りの最高峰ボボトブクックをはじめドゥルミトルの山々がぐるりと見渡せる僕らだけの絶景ポイントだ。あまりの気持ち良さに2時間弱もここでゆっくりしてしまった。

風もなく静かで穏やかな場所だった

 

エメラルドグリーンの神秘 クロアチア・プリトヴィッツェ湖群国立公園

2016年7月5日(世界一周84日目)

クロアチアの首都ザグレブからバスで約2時間、透明なエメラルドグリーンの湖群を眺めながらゆっくりと散策ができるプリトヴィツェ湖群国立公園へ向かった。ドゥブロヴニクと並びクロアチアを代表する世界遺産だ。

広大な森の中に点在するエメラルドグリーンの湖。石灰質の堆積物により階段状のプールとなり、それをつなぐように小さな滝がいくつも流れ落ちる。場所や日差しの強さ、季節によって、湖は様々な色に変化する。

湖は大小16、滝は92もあるという


湖にたどり着くと、その透明度に驚かされた。湖に沈む倒木や水草、そしてその間を泳ぎ抜けていく魚たちを、くっきりと見ることができる。遊歩道の一部は、湖の上に作られており、透明な湖を間近に感じながら歩くことができる。まるで湖面を歩いているような気分だ。

整備された森の中を歩く4時間ほどのハイキングだが、次々と現れる幻想的な湖と滝に、どれだけ歩いても飽きることはなかった。

遊歩道が整備されておりとても歩きやすい

 

旅行と組み合わせて楽しむギリシャ・モンテネグロ・クロアチアのトレイル

ギリシャは古代遺跡やリゾートアイランド、モンテネグロとクロアチアは、コトルやドゥブロヴニクといったアドリア海に面した世界遺産の古都が有名で、トレッキングのイメージはあまりないかもしれませんが、どこも自然豊かな国で、旅行と組み合わせてトレッキングを楽しむことができます。

トレイルトラベラーズのブログでは、ギリシャ、モンテネグロ、クロアチアのトレッキング情報をまとめていますので、よろしければご覧ください。

モンテネグロのコトルでは旧市街から伸びる城壁を登った
 

クロアチアのドゥブロヴニクでは街の背後にそびえるスルジ山をトレッキング

プロフィール

Trail Travelers 山野尚大・優子

山と旅の愛好家。経営コンサルタントとして平日の激務と休日の山ごもりを両立させる日々から、結婚を機に心機一転、夫婦で絶景トレイルを巡る世界一周の旅に出発。2016年4月からの300日間で、五大陸の50超のトレイルを歩く。「Trail Travelers(トレイルトラベラーズ)」を立ち上げ、旅行と組み合わせたトレッキングの楽しみ方を発信中。
【ブログ】
http://trailtravelers.net/
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【Instagram】
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トレイルトラベラーズ「世界のトレイルを巡る旅」

旅と組み合わせて気軽に楽しめる世界のトレイルを紹介する連載「世界のトレイルを巡る旅」。トレッキングをテーマに300日間で世界一周旅行をした山野夫婦が、訪れた五大陸50超のトレイルからおすすめの場所を振り返る。

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