初冬の鈴鹿・鈴北岳、御池岳をのんびりテント泊山行。霧氷で化粧した早朝の山頂を満喫する
霧が発生した朝に、気温が氷点下まで下がると、落葉した枝に付いた水滴は凍りつき、「霧氷」という神秘的な風景を見せてくれる。気温が上がれば氷は解け落ちてしまうので、見られる時間は短いことが多い。三重県・滋賀県県境にそびえる鈴北岳・御池岳での、霧氷体験を様子を週刊ヤマケイから紹介する。
三重県と滋賀県の県境に、南北に峰々を連ねる鈴鹿山脈。標高1000mを少し超える山々が連る山域は、中京圏からのアクセスが良いこともあって、日帰りで訪れる登山者が多い。しかし南北に長く連なるので、長く山中で堪能することも可能だ。テントを持って山中に入り、縦走登山を楽しむのも悪くない。
鈴鹿山脈は太平洋に近い位置にあるものの、冬は日本海側からの風が吹きこむ位置にあるために意外と積雪量は多い。本格的な冬が訪れる直前の雪が積もる前は、早朝は霧氷や薄っすら積もった雪化粧が美しい。今回は鈴鹿山脈最高峰の御池岳にテント泊し、初冬の神秘的な景色楽しんだ模様を、週刊ヤマケイから紹介する。
初冬の早朝、霧氷に包まれた御池岳山頂を堪能する
鈴鹿の山はどこも日帰り登山ができますが、そこをあえてテント泊にすることで、いつもと違った風景が味わえます。2017年12月2日~3日、初冬の鈴北岳・御池岳を滋賀県側から周回しました。
鈴鹿山系は、三重県側は急峻で滋賀県側はなだらかな地形です。したがって滋賀県側から入山する場合、なだらかがゆえにアプローチが長く、林道に頼らざるをえません。御池岳登山に利用できる林道は御池林道ですが、災害で通行止めになることが多く、今回も小又谷分岐から少し先で通行不能となっていました。
さて滋賀県側からのルートですが、以前は決まったルートがなく、山慣れた人たちによるバリエーション山行がほとんどでした。しかし最近は、T字尾根ルートが整備され入山者が多くなってきました。今回は、小又谷林道分岐から御池林道をゴロ谷まで歩き、伊勢尾で鈴北岳に登り、御池岳を経由してT字尾根で下山しました。
御池岳は石灰岩地形の台地状の山で、山頂付近にはオオイタヤメイゲツ林が広がっています。金曜日から寒波が入ったので、樹林に霧氷がつき、白い粉をまぶしたようで、とてもきれいでした。
夕方には風が弱まったので、展望のよい鈴北岳でテントを設営しました。西に彦根など琵琶湖周辺の町の夜景、東には名古屋の夜景が楽しめました。またスーパームーンの薄明かりに御池岳が浮かび上がり、幻想的な風景が見られました。
2日目は御池岳山頂を経由し、ボタンブチへ下り展望を楽しみました。ここも展望のよいところで、朝日に輝く伊勢湾が印象的でした。
帰路はT字尾根ルートを使いました。しっかりとした道標が整備され、一般道化され始めましたが、山上台地からの降り口が急峻なので注意なのと、間違って枝尾根に入り込まないようにしてください。平坦になったところがブナ権現と呼ばれるところで、ブナ林が広がり雰囲気のいいところです。
Tの字の中心点がP918で、ここを左折し尾根伝い歩き植林を下ると御池林道に降ります。降り口にもしっかりとした道標が設置されました。
これからの季節、積雪が多くなると集落のある君ヶ畑から先は車での進入が難しくなります。積雪状況を確認して入山してください。
プロフィール
金丸勝実
1956年三重県鈴鹿市生まれ。教育者、登山家、山岳ライター。90年代から本格的に鈴鹿や台高の山を歩きはじめ、花を中心に撮影活動をするかたわら、ガイドブックや山岳雑誌の執筆を続けている。
ホームページ「歩人倶楽部」やSNSで、山や花に関する情報を提供している。
⇒歩人倶楽部
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