三浦半島の山と三崎のまぐろ料理(神奈川県三浦市)

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登山の帰りに味わいたい、粋な料理を紹介する西野 淑子さんの「下山メシ」。今回は、三浦半島の山と「まぐろ料理」について紹介する。

 

半日ほどの三浦半島の山を歩き、お昼に「まぐろツアー」してもいい


まぐろが先か、山歩きが先か。

秋の終わりになり、空気がひんやりしてきたら、三浦半島の山歩きの季節だ。三浦半島最高峰の大楠山(おおぐすやま)でも標高は241m、真夏は暑くてたまらないから山歩きには適していない。海の向こうに伊豆諸島や房総半島、さらに伊豆箱根、富士山などを見渡すには、空気の澄んだ冬がいい。普段歩いている奥多摩や奥武蔵、丹沢あたりの山と植生が違い、このあたりの森は常緑樹が多い。冬でも青々と葉が茂っていて、山のすぐそばは住宅街なのに、深い森の中にいるような気分になる。ちょっと眺めのよいところに出れば、青い海が間近に眺められるのも不思議な気持ち。

大楠山山頂から三崎方面を望む(しろくまさん さんの登山記録より


のんびり歩いても歩行時間は2〜3時間、半日行程の山歩き。だから、美味しいものめぐりと組み合わせて三浦半島をまるごと楽しんでしまうのがいい。三浦半島の先端、三崎漁港はまぐろの水揚げの多さで知られている。漁港周辺には、おいしいまぐろ料理が味わえる店も多い。お刺身定食や海鮮丼、まぐろ尽くしの定食なども楽しみだ。午前中に山を歩いてお昼をまぐろツアーにしてもいいし、早めのお昼を食べてから、腹ごなしに山を歩いてもいい。ただし冬は日没が早いので、行動時間は短めで。

 

三崎漁港「うらりマルシェ」の「まぐろ入りまんじゅう」でシメ

日本人はまぐろが好きとよく言われる。回転寿司でも一番多く食べられているのはまぐろなのだと聞いたことがある。握り寿司でも、海鮮丼でも、刺身でも、ヅケでも、ねぎとろでも、吸い物の具になっても、焼いても煮てもフライにしても。さまざまな部位があり、調理の仕方もいろいろだけど、どう食べても美味しい。まぐろは絶対に裏切らない。

紀の代(きのだい)の「とろとろ丼」


まぐろは丼で味わうのが好きだ。丼の上に真っ赤なまぐろがどどんと載っているだけで幸せな気持ちになる。口の中でふわっととろけるようなトロも嫌いではないけれど、丼なら赤身で魚の味をしっかり味わいたい。ご飯とまぐろをほおばる。ああなんてご飯とまぐろって相性がいいんだろうね。他の魚介はいらない、まぐろだけで十分満足できるのだ。

三浦半島の先端、三崎漁港


三崎漁港には、三崎まぐろや三浦の野菜が購入できる産直センター「うらりマルシェ」がある。帰りに立ち寄っておみやげを買って行くのが定番コース。山を歩き、おいしいものを食べて気持ちが充実しているせいか、いつも買い過ぎてしまうのが悩みの種だ。ちなみにここで必ず買ってしまうのが「まぐろ入りまんじゅう」。正式名称は「かぶと焼き」というらしい。まぐろの頭をかたどった、若干シュールな形状のまんじゅうだ。あんの中にまぐろのフレークが練り込まれていて、口にするとあんの甘みとマグロの風味が口に広がる。えー、なんだこれは・・・と思いながらも、訪れると毎回買って食べてしまう、私にとっては、くせになる一品なのだ。

ユニークな形のまんじゅう「かぶと焼き」

 

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

下山メシのよろこび

登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。

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