自家製スイーツまで味わいたい。武蔵五日市駅で立ち寄った駅前カフェ「kitchen CANVAS」
三頭山や戸倉三山方面への登山口として利用できる五日市線終着の武蔵五日市駅。20回目の「下山メシのよろこび」は、その駅前にある一軒のカフェを紹介する。地元の人にも観光客にも愛される、居心地のよいお店だ。
その店のことは、少し前から気になっていた。
武蔵五日市駅前の洒落た店構えの店。レストランらしいけど、山から下りてくる夕方遅くには閉まっている。ガラス越しにお店を眺めて、下山後にここでお茶とかできたらいいのにな、と思っていた。
7月のはじめ、南沢あじさい山で満開のあじさいを楽しみ、駅に戻ったらちょうどお昼時だった。これはもう行くしかないでしょう。同行者を誘って、いそいそとお店に向かった。
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手描きのイラスト入りのメニューを見ながら品定め。オムライスもパスタもおいしそうだが、一番人気らしい里芋ハンバーグプレートをオーダーした。
明るいガラス窓から光がさんさんと降り注ぐ店内。ゆったりとした間取りで居心地がよい。ソファの席もくつろげそうだ。店内には大きなアジサイのリースが飾られている。南沢あじさい園のアジサイらしい。きょろきょろと店内を眺めながらしばし待つうちに、料理が出てきた。お店の方が食材のことや食べ方の説明をしてくれる。
地元の野菜をふんだんに使った、彩りよく、身体にやさしい料理。
汁物は薬膳の風味でいかにも身体によさそう。野菜もたっぷり入っている。里芋ハンバーグは卵の黄身をつけながら味わう。ふっくら、ふんわりとした舌触りで、ハンバーグのやさしい味わいに濃厚な黄身がよく合う。シャキシャキの野菜サラダにはオリジナルの鮎オイルのドレッシングがかかっている。食べ進めるほどに、身体にじわりと染み込み、温まってくるような感じ。
いい感じにお腹がいっぱい…なのだが、メニューで見た美味しそうなケーキも気になる。別腹別腹。絶対的に消費カロリーより摂取カロリーの方が多くなってしまうことには目をつぶり、ケーキもオーダー。私はコーヒーゼリー、同行者はチーズケーキを。
丁寧に作られた手作りのケーキ。一口味わってニヤニヤ。頼んでよかった。すっきりめのコーヒーゼリーとトッピングのクリームの甘みが絶妙だ。器もとても洒落ている。チーズケーキもこっくりした味わいで、添えられているソースとの相性もいい。
駅までは歩いてすぐだからバスの時間も気にしなくていいし(電車の本数は少ないけど)、始発駅だから座って帰れるだろう。ケーキとコーヒーを味わいながら山の話で盛り上がり、あっという間に時間が過ぎてしまった。なんて幸せなんだろう。心も体も満たされて、お店をあとにした。
帰りにパンフレットをもらって気付いた。
このお店はディナーの営業もしているのか。オリジナルの鮎オイルを使っているというパスタも美味しそうだし、アラカルト料理の品数も多いみたい。ガッツリ山を登ったあと、ディナータイムにアラカルト料理とお酒を味わうのもよさそうだ。ただし、お酒が進みすぎないように気をつけなくてはならないな。
今日のお店「do-mo kitchen CANVAS」
JR五日市線武蔵五日市駅から徒歩2分。地の食材と無添加にこだわり、薬膳の要素を取り入れたフードメニューや自家製スイーツが味わえる駅前カフェ。
住所: 東京都あきる野市舘谷223-10
電話: 042-519-9653
https://kitchen-canvas.net/
プロフィール
西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)
初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。
下山メシのよろこび
登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。