初めての登山、何はともあれ購入すべき登山用具は「登山靴」

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新年度を迎えて、登山を始めたり、友達を山に誘ったりということが多い時期です。初めて山に行く・連れていくときに、最低限揃えておくべき登山用具といえば? すべてが必須の装備に見える山道具の中で、限られた予算の中で最低限必要な装備となるものを、石井山専新宿東口ビックロ店の山﨑さんに聞いてきました!

 

POINT
  • 何はともあれ買うべきは靴と靴下!
  • 代用品で山に行ってみて、不便だったものを次に買い足そう
  • 道具にお金をかける前に、まずは山の楽しさを体験しよう!

 

はじめに買うべきは靴! 山での歩きやすさ・快適性を重視しよう

編集部T:初めて山に行く、または連れていくという人が多い時期だと思います。初めてで今後も続けるかどうかわからない、かつ限られた予算、という人に最低限揃えるべき装備というのを教えてください。

山﨑さん:新年度は、そういうリクエストが多い時期です。「必要最低限」の線引は、登山スタイルや行く場所によって変わるので難しいのが実際です。装備一覧表で「必須」となっているものは、もちろん必須なのですが、すべて新たに購入するとなると、かなりの値段になります。そんな中で、初めての人がなるべくお金をかけずに最低限の装備という形でとなるのが、以下の感じです。

編集部T:靴、靴下、ヘッドランプ、地図、ビニールガッパ!?

山﨑さん:1つずつ説明していくと、まずは何はともあれ登山用の靴です。スニーカーでも十分という意見もありますが、やはり山では登山用の靴にしたい。また、靴下も登山用にしておくべきだと思います。

編集部T:スニーカーはオススメしない理由は?

山﨑さん:やはり登山用の靴と、街用のスニーカーでは山を歩いたときの疲れ方が全然違います。大切なのは、山で快適に過ごせて、疲れが軽減できて、安全に歩けるということです。歩くことが苦痛になっては、登山の楽しさを味わえません。また快適性を高めるために、クッション性が高く靴の中で蒸れにくい登山用靴下にすることも必須です。なお、靴は足首まであるタイプの靴を選んでください。しっかり足を守るタイプのものを使って、安全を確保するためです。

編集部T:ヘッドランプと地図については、?

山﨑さん:ヘッドランプは、もしもの時に必ず用意しておきたい装備です。地図についても、自分の身の安全を高めるために必ず用意しておきましょう。快適性とともに、最低限の安全性は確保してください。

編集部T:ビニールガッパというのは驚きました。通常「ビニールガッパはNG」と聞きます。

山﨑さん:もちろん通常の登山ではNGです。このセットは「行動時間2~3時間程度、天気の良い日」という条件での最低限の装備です。雨が予想される天候の場合は計画は中止にしてください。もし雨に降られた場合でも、短時間であればひとまず雨だけはしのげる、という装備です。長い時間歩いたり、宿泊を伴う登山だったりでは、透湿性のある動きやすい雨具は必要になってきます。

編集部T:よく「靴・雨具・ザックが登山用品、三種の神器」と言われますが、ザックについては?

山﨑さん:ザックはもちろん必須です。ただ、山専用でなくても家に1つくらいリュック型のバックはありませんか? 背負った時に両手があいて自由に動かせる、持っていく荷物が全て入る、この2点が整っていればOKです。ショルダーバックは両手が自由になってもNGです。

編集部T:ほかの必須装備については? 例えば服装については・・・

山﨑さん:ほかのものは、基本的にはふだん使っているものを代用する形になります。ウェアについては、ストレッチ性が高く速乾性があるものであれば、ひとまず何でもかまいません。オススメなのは、ジャージなどのトレーニングウェアです。ストレッチ性と速乾性は非常に高いです。また、下の階(※ICI石井スポーツ山専のフロアーの下にはカジュアルウェアの店がある)で売っている速乾性のあるスポーツウェアを持っているのであれば、初めはそれでも良いでしょう。

編集部T:ほかにも「必須」になっている装備はいろいろあります(※登山装備チェック表はこちら!)。家にあるもので代用できるものも多いですが、登山用品店でしか買えないものもあります。

山﨑さん:例えばコンパスはなども必須装備に挙げられますが、実際にコンパスの使い方もわからずに持っていっても荷物になるだけで、使い方を学んでからで良いと思います。水筒なども登山用のものは高性能でオススメですが、最初はペットボトルで代用して良いと思います。

ハイキングモデルの値段感は1万5千~2万円となる

もう少し予算があるという場合、次にすることは?

編集部T:この装備を新規に購入するとなると、だいたい2万円弱ですね。もう少し予算に余裕があるなら、何を買うべきでしょうか?

山﨑さん:レインウェアも欲しいところですが、初めて・晴天の日に行く、というのであれば靴にもう少しお金をかけてグレードを上ることをお勧めします。紹介した1万5千円前後のハイキングシューズは、起伏の少ない条件の登山道でふだんの歩幅で歩きやすくするために、全体的に柔らかくて作ってあるタイプです。グレードを上げると、足裏をはじめ全体的に堅牢に・硬くなります。すると岩場や急斜面など接地面積が少ない起伏の激しい場所で、足裏が変形せずにフラットに置けるようになり、余計な筋肉を使わずに済みます。滑りにくくなったり、疲れも少なくなたりするので、山でより安全に・快適に過ごせるでしょう。

編集部T:靴のグレードを上げると、どのくらい予算が変わりますか?

山﨑さん:「ハイキング」から「トレッキングシューズ・ライト」というカテゴリーになり、だいたい2万5千~3万円くらいになりますので、1万円~1万5000円ほど変わります。夏にはアルプスで縦走したい、という場合はさらにもう1つ上のカテゴリー「トレッキングシューズ・ハード」を選んでも良いかもしれません。だいたい3万~4万円くらいになります。

トレッキングシューズのライトとハードの値段感

編集部T:なるほど。いずれにしても、何はともあれ靴のチョイスが最優先ということですね。

山﨑さん:はい、登山を快適に楽しむことを重視してください。山に行って疲れ果てて散々だった、となるのが最もいけません。おそらく、この装備で山に行ってみると、いろいろ不便も感じるのではないかと思います。たとえば、このレインウェアを実際に山で使って30分も歩いたら、おそらく汗でビチョビチョになるでしょう。不快なのはもちろん安全とは言えません。すると汗抜けして、軽くて動きやすいレインウェアが欲しくなると思います。山に行ってみて、いちばん不便に感じたこと、足りないと思ったことから1つずつ買い足していって、グレードアップしていく。少しずつ山の楽しさを深めていって欲しいと思います。

紹介した山道具

SALOMON  オーセンティックLTR
参考価格: 15,500円+税 (※石井山専新宿東口ビックロ店での価格)

キャラバン C4-03
参考価格: 14,800円+税 (※石井山専新宿東口ビックロ店での価格)

プロフィール

石井山専新宿東口ビックロ店

首都圏最大級の山・アウトドアの大型専門店。「安全」をテーマに、ユーザーのライフスタイルに合わせたさまざまな商品を提案している。店内では、登山学校の講習やワークショップなども開催中。

住所: 東京都新宿区新宿3-29-1 ビックロ 新宿東口店内 8F
TEL: 03-5312-9550
営業時間: 11:00~20:00
アクセス: 新宿三丁目駅A5直結、新宿駅・西武新宿線西武新宿駅下車徒歩5分

 ⇒ホームページ

登山道具の買い方・選び方、ショップのスタッフに聞きました!

数ある登山道具の中から、自分にピッタリの用具を選ぶには? 登山用具を知り尽くした、ICI石井スポーツ、好日山荘、さかいやスポーツ、かもしかスポーツなどのスタッフが、用具チョイスとツボを説明します。

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