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西丹沢の主峰・檜洞丸へ。ブナ林の尾根を歩き、晩秋の夜を丹沢の山小屋で過ごす

今がいい山、棚からひとつかみ
ガイド・記録 2019年12月04日

晩秋から初冬の丹沢・檜洞丸は、稜線のブナの葉が落ちて、展望が開けた明るい山へと趣を変える。花と新緑で賑わう初夏とはまた異なる静かな山の雰囲気を、しみじみ味わいたい季節だ。

檜洞丸山頂から東側に少し下ると、青ヶ岳山荘がひっそりと建っている。前面には蛭ヶ岳を頂点に塔ノ岳までの丹沢主脈が展望できる(写真=白井源三)

 

檜洞丸は、丹沢山塊最高峰・蛭ヶ岳に次ぐ標高の山です。西丹沢の主峰で四季を通して人気があります。

なんといっても、初夏のツツジの頃がこの山が一番賑わう時です。標高1400mあたりからブナの林が山頂まで続き、深山の雰囲気が漂います。

一方、稜線のブナ林が葉を落とした晩秋から初冬には、山中が明るくなり、展望が広がります。稜線東側は最高峰・蛭ヶ岳を頂点に丹沢山や塔ノ岳まで広がる丹沢主脈が一望でき、西側は樹林越に新雪を被った富士山が裾野を広げています。

山頂を少し下った場所に立つ青ヶ岳山荘に一泊すれば、富士山側への落日や蛭ヶ岳側からのご来光を望めます。夜には炬燵に入り、ランプに灯った光を見詰めながら一夜を過ごすのもいいでしょう。

山頂へは5つのコースがありますが、台風19号の影響や通行止めなどで、2019年11月25日現在は西丹沢ビジターセンター側からツツジ新道または石棚山稜からのアプローチとなっています。今回は、ツヅジ新道を往復するコースを紹介します。

檜洞丸からの富士山は山頂から裾野までが一望できる。新雪を被った富士山が印象的だ(写真=白井源三)
 

モデルコース:西丹沢ビジターセンター~ツツジ新道~檜洞丸

行程:
【1日目】西丹沢ビジターセンター・・・ゴーラ沢出合・・・展望園地・・・石棚山稜分岐・・・檜洞丸(泊/約3時間30分)
【2日目】石棚山稜分岐・・・展望園地・・・ゴーラ沢出合・・・西丹沢ビジターセンター(約2時間30分)

⇒檜洞丸周辺のコースタイム付き登山地図

 

静かな晩秋の西丹沢を歩き、昔ながらの山小屋で一泊

西丹沢ビジターセンターから出発します。東沢の沢音を聞きながら、落葉樹に囲まれた登山道を登って行くと、台風の影響でゴーラ沢の出合に堆積された石の山で詰まっています。石伝いに対岸へ渡り、急な石段を登るとツツジ新道が始まります。一度鞍部に降りて登り返すと、展望園地に着き、晴れた日には富士山が望めます。展望台の背後に階段が敷設され、尾根伝いに道が新設されています。

さらに高度が増して、鉄ハシゴを登ると、初夏はシロヤシオやトウゴクミツバツツジのトンネルとなる階段の登りが続きます。入山した日にはこの下部、標高1400m付近までが紅葉の最盛期でした。

やがて、石棚山稜と合流して木道の尾根を詰め、左に富士山、右に蛭ヶ岳を頂点に丹沢主脈の稜線が望まれます。山深さを感じさせるブナの原生林は山頂まで続きます。

ツツジ新道を登り詰めると、石棚山稜と合流する。木橋が敷かれ、左に富士山、右に蛭ヶ岳を頂点に丹沢主脈が望まれる(写真=白井源三)

 

檜洞丸の山頂東側に青ヶ岳山荘が建っていることはあまり知られていません。1961年に高城則貴夫妻により建設されて、主人が物故の後、妻の律子さんが引き継ぎ、現在は娘の理生さんが三代目管理人です。女性の感性を活かし、山小屋の内装や施設などに工夫が凝らされ、多くのボランティアに支えられています。天皇陛下が若き皇太子時代に丹沢縦走の折に、青ヶ岳山荘に立ち寄られ、名物のブルーマウンテンコーヒーを召し上がった際の写真が飾られています。土間の中央には薪ストーブが置かれ、懐かしいランプのともしびは、深閑とした山の夜の雰囲気を醸し出します。

山荘内部。夜には炬燵に入り、ランプが吊るされ、火が灯る(写真=白井源三)

 

日帰りが可能なコースですが、ぜひ山小屋で一泊をして、丹沢の奥深さを味わってみてください。また、蛭ヶ岳方面に縦走を計画する場合も、ここに一泊すれば、余裕をもった山行ができます。

午前6時前に小屋を出る。蛭ヶ岳から塔ノ岳まで延びる丹沢主脈を浮かびあがらせ、空が明けていく(写真=白井源三)

 

 

ガイド 日本の山 記録・ルポ
教えてくれた人

白井源三

神奈川県相模原市生まれ。1989年ヒンドゥークシュ登山隊に参加、ゴッラゾム5100mに登頂。2005~2007年に南米取材。アコンカグアBCとインカ道をトレッキング。著書に『戸隠逍遙』(クレオ刊)、『北丹沢讃歌』(耕出版刊)、『冬の近郊低山案内』(山と溪谷社・共著)、『分県登山ガイド 神奈川県の山』(山と溪谷社・共著)など。丹沢の写真展を多数開催。

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