このエントリーをはてなブックマークに追加

青空の下、遠見尾根で鹿島槍ヶ岳・五竜岳の絶景を楽しむ雪山登山

今がいい山、棚からひとつかみ
ガイド・記録 2020年02月21日

五竜岳への登路となる遠見尾根。積雪期には、天候に恵まれれば雪化粧した鹿島槍ヶ岳と五竜岳の雄姿を眼前に捉えることができ、絶好の雪山ハイキングを楽しめる。

幾多の岩稜と雪稜が突き上げる鹿島槍ヶ岳北壁とカクネ里雪渓(写真=奥谷 晶)

 

2017年の3月12日、晴れ、ほぼ無風という絶好の登山日和に恵まれました。冬型気圧配置の続く1月、2月の気候から、3月になると移動性高気圧による晴れの日が周期的に訪れる様になります。なかなか天候と山行のスケジュールがあわず、一ヶ月半もご無沙汰していましたが、待望の登山日和の到来の予報を聞いて、たまらず五竜岳遠見尾根にやってきました。記録的な暖冬の今年は、冬型が長続きせず、1月後半からチャンスがありそうです。

豪雪地帯でいったん荒れると猛吹雪とドカ雪でその道を閉ざしてしまうことが普通なだけに、貴重なチャンスを無駄にする手はありません。

 
五竜岳と鹿島槍ヶ岳の絶景に思わず満面の微笑み。佐久から来られた母と娘のふたりパーティ。しっかりスリングで安全確保されていたのが印象的(写真=奥谷 晶)

 

モデルコース:第一アルペンリフト~小遠見山~中遠見山~小遠見山~アルプス平駅

行程:【日帰り】計約5時間

⇒遠見尾根周辺のコースタイム付き登山地図
※夏山のコースタイム

 

快晴の下で雪の稜線歩き

白馬五竜スキー場のテレキャビンとリフトを乗り継いで、地蔵の頭直下にあるゲレンデトップの登山口のゲート付近まで、一気に高度を稼げるのは、やはり便利です。降雪直後なので、登りはスノーシューをつけて出発します。八方尾根と同様、こちらも登山者は少数派のようですが、前日からのバックカントリースキーヤーやボーダーによってトレースがしっかりできていましたので、ツボ足でも十分対応でき、踏み抜くことは少なかったと思われます。

雪庇の発達した遠見尾根を進むと、いよいよ鹿島槍の北壁が姿を見せる(写真=奥谷 晶)

 

2020年1月末の小遠見山。極端に雪がすくなく、まだブッシュが出ていて稜線も狭い(写真=奥谷 晶)

 

小遠見山までの樹林帯もすぐに雪稜となり、灌木も雪の下になって広々した尾根が広がっています。小遠見山に近づくにつれ、澄んだ青空に武田菱が際立つ五竜岳とそれに続く鹿島槍ヶ岳への稜線がぐいぐいと迫ってきます。中遠見からは荒々しい岩と雪の襞をまとった鹿島槍ヶ岳とカクネ里雪渓を正面から捉えることができ、大感激です。久しぶりの山行にペースも上がらず中遠見山までしか届きませんでしたが、貴重な天空の雪の稜線歩きの機会をとらえることができたのは、十分満足です。

黒々した武田菱もくっきり。五竜岳の雄姿(写真=奥谷 晶)

 

大遠見山に幕営して五竜岳頂上を目指したパーティも二、三いたようですが、大遠見からはラッセルでかなり苦しんだ様子で、登頂できたかどうかは不明です。小遠見山や中遠見山では多くの登山者が、青空を背景に五竜や鹿島槍の絶景を楽しむ様子が見られました。下りはアイゼンに切り替え、素晴らしい展望を何度もふりかえりつつ、なごり惜しみながら下りました。

鹿島槍ヶ岳から五竜岳の稜線を背景に遠見尾根のトレースが伸びる(写真=奥谷 晶)

 

この素晴らしい稜線も天候不良時には強風とラッセルに苦しめられ、雪庇の踏み抜きや雪崩に厳重な警戒が必要なルートに一変しますので注意が必要です。

 

※積雪期の山は、雪の状態や天候によって、難易度、コースタイムが大きく変わります。計画時には必ず出発前後の天候やエスケープルート、山小屋などの避難できる場所を確認しておきましょう。

 

雪山・冬山 記録・ルポ ガイド 日本の山
教えてくれた人

奥谷晶

30代から40代にかけてアルパイン中心の社会人山岳会で本格的登山を学び、山と渓谷社などの山岳ガイドブックの装丁や地図製作にたずさわるとともに、しばらく遠ざかっていた本格的登山を60代から再開。週刊ヤマケイ創刊初期より5年にわたって表紙写真、登山地情報を投稿している。2019年山岳写真協会公募展入選。

同じテーマの記事
新潟県・坂戸山で残雪に映えるカタクリの群舞を楽しむ
豪雪地帯、新潟県南魚沼市の坂戸山。残雪が融け始めるといっせいに春の花々が目を覚まします。とりわけカタクリの群生が見事です。
宮崎県・古祖母山 稜線を飾るアケボノツツジ
祖母傾縦走路の間に位置する古祖母山。4月下旬からアケボノツツジに彩られた稜線歩きが楽しめます。
春の息吹を求めてカタクリ群落地へ。栃木県・古賀志山
3月下旬はカタクリの季節。岩場があり、クライマーにも人気の栃木県・古賀志山は、花の山という可憐な一面も。お花畑とバリエーションを歩くコースです。
バックカントリースキーで後方羊蹄山・人気の真狩コースへ
北海道西南部の後方羊蹄山。広大なエリアはバックカントリースキーヤーで賑わっています。いつでも最高の雪質が楽しめますが、特に3月は天候が安定しておすすめのシーズンです。
記事一覧 ≫
最新の記事
記事一覧 ≫
こんにちは、ゲストさん
◆東京の天気予報[山域を変更]
明日

曇のち雨
明後日

曇一時雨
(日本気象協会提供:2020年3月30日 17時00分発表)
[ログイン]
ユーザ登録・ログインすることで、山頂天気予報を見たり、登山履歴を登録・整理・分析して、確認できます。
NEW 好日山荘で聞いた! グレゴリーバックパックの選びかた
好日山荘で聞いた! グレゴリーバックパックの選びかた 銀座 好日山荘のスタッフに、グレゴリーの登山用ザックについて、それぞれの特徴を聞きました。ザック選びの参考に!
NEW 新しい「トレントシェル」をフィールドテスト
新しい「トレントシェル」をフィールドテスト パタゴニアの定番レインウェア「トレントシェル」が、3層生地で耐久性アップ! 山岳ガイド佐藤勇介さんがフィールドでテスト
NEW 海を渡り、山に登ろう。いざ、島の山へ
海を渡り、山に登ろう。いざ、島の山へ 全国各地の島の山から6山を厳選して紹介! いざ、海を渡り、山へ。
登山は「下山」してからが楽しい!?
登山は「下山」してからが楽しい!? 登山後、すなわち下山後の楽しみの1つが山麓グルメ。ご当地名物料理から、鄙びた食堂の普通の料理まで、その楽しみ方を指南!
安全登山に向けて、これからの登山情報収集術
安全登山に向けて、これからの登山情報収集術 ITジャーナリスト、山岳ガイド、書籍の著者の方々に話を聞きながら、安全に山を登るための情報収集の方法について、改めて考え...
サクラ咲く山で花見登山! オススメ桜の名所の山
サクラ咲く山で花見登山! オススメ桜の名所の山 街でサクラが散るころに始まるサクラの花見登山。山の斜面をピンク色に染める、桜の名所の登山ポイントを紹介
花の季節の前奏曲、カタクリの花が咲く山へ
花の季節の前奏曲、カタクリの花が咲く山へ 種から7年目でようやく花咲く、春を告げる山の妖精――。ひたむきで美しいカタクリの群落がある山を紹介!
何度登っても魅力な秩父・奥武蔵の山
何度登っても魅力な秩父・奥武蔵の山 のどかな里山を囲むように山々が連なる、埼玉県南西部・秩父・奥武蔵の山々。
春、花に会いに低山へでかけませんか?
春、花に会いに低山へでかけませんか? 暖かくなって、春の芽吹きが始まります。風のさわやかな低山を歩き、春を感じてみましょう。春を告げる花があなたを待っています...
春~初夏にツツジがキレイな山
春~初夏にツツジがキレイな山 花数が多いうえに花も大振りで存在感がある山、ツツジ。一斉に咲くと、ピンク、赤紫、白などの色が山の斜面を染める。
箱根――、火山が生んだ恵みの数々を満喫
箱根――、火山が生んだ恵みの数々を満喫 20km四方とコンパクトなエリアに、ユニークで魅力ある山容を作りだしている箱根。登山と同時に、温泉や海の幸も楽しんじゃお...
春の息吹を感じ始めた奥多摩の山々
春の息吹を感じ始めた奥多摩の山々 首都圏からの登山者を満足させる地・奥多摩は、春の訪れを感じるようになってきた