残雪の至仏山とミズバショウ咲き始める尾瀬ヶ原を探訪

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※緊急事態宣言による外出自粛要請が出ている状況ですが、来年以降の登山の参考のため、また、外出ができないなかでも山行の楽しみを記事を読んで感じていただければと思います。
※2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年4月17日より当面の間、尾瀬への入山の自粛が要請されています。

残雪の尾瀬は、GWの限られた期間だけに楽しめる特別な場所です。至仏山とミズバショウの花を訪ねて尾瀬ヶ原へ。

豊かで独特の自然環境を持つ尾瀬。毎年、4月末から5月初旬のゴールデンウィークに一時開山され、再び6月末まで植生保護のために閉鎖されます。

融雪すすむ尾瀬ヶ原と燧ヶ岳を眼下に尾瀬ヶ原へ下る

鳩待峠から至仏山に登頂し、山ノ鼻へ降りて、尾瀬ヶ原に至るコースは、残雪期のごく限られた期間だけに許された貴重な行程です。暖冬で雪解けが早ければ、ミズバショウの開花に出会えるかもという期待が膨らみます。

燧岳の向こうから登る朝日に照らされた木道を進む

モデルコース:鳩待峠~至仏山~山ノ鼻~尾瀬ヶ原~山ノ鼻~鳩待峠

行程:
【1日目】鳩待峠・・・至仏山・・・山ノ鼻(泊)/約6時間
【2日目】山ノ鼻・・・竜宮十字路・・・ヨッピ橋・・・牛首分岐・・・山ノ鼻・・・鳩待峠/約5時間

●至仏山登山道は例年ゴールデンウィーク期間にオープン後、6月末まで植生保護のために閉鎖されます。年によって開通日は異なりますのでご注意ください。開通期間や、残雪期の立ち入り可能範囲などのルールについては、尾瀬保護財団HP(https://www.oze-fnd.or.jp)でご確認ください。
●至仏山登山道のルールは残雪期と夏季で異なります。夏季は山ノ鼻~至仏山山頂の登山道は登り一方通行です。

※2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年4月17日より当面の間、尾瀬への入山の自粛が要請されています。

⇒至仏山・尾瀬ヶ原周辺のコースタイム付き登山地図

残雪の尾瀬へ

2018年4月30日、午前5時ごろ鳩待峠に着いたとき、駐車スペースはあと数台で満車になるところでした。
登山口から残雪があり、早くもいくつものトレースがありました。しばらく樹林帯のなかのゆるやかな登りが続きます。陽が差してくると雪は緩み始め、小至仏山の雪面トラバースに入る手前でアイゼンを付けます。雪原には大人数のパーティーなどが続々と山頂をめざしているのが見渡せます。

鳩待峠登山口からは樹林帯の緩やかな登りが続く

赤布のついた竿が要所要所に立てられ、視界不良時には道標となります。直下の岩場には雪はなく、ハイマツと岩の隙間をアイゼンを引っかけないように慎重に登りました。

小至仏山をトラバースして雪原に入る

頂上は大勢の登山者でにぎわい、思い思いに休憩をとっていました。眼前には融雪が進んだ尾瀬ヶ原が広がり、燧ヶ岳がそびえる雄大な眺めに感激ひとしおです。

至仏山山頂に立つ登山者。はるか燧岳を望む

山ノ鼻へは、上部の雪の消えた木道をたどり、中腹から下部の雪の斜面はシリセードを交えて下ります。山ノ鼻から尾瀬ヶ原へは融雪の進む池塘群の美しい造形を楽しみながら上田代付近まで足を伸ばしてから戻り、山ノ鼻の山小屋で一泊しました。

翌日は改めて尾瀬ヶ原へ向かい、朝日を浴びて輝く池塘の氷の造形を楽しみながら、下ノ大堀川のミズバショウ群生地へ向かいました。期待通り早くも咲き立てのミズバショウの群落があり、純白のきれいな姿を見せていました。竜宮十字路手前付近の木道沿いにもミズバショウの咲き始めを見ることができました。

尾瀬ヶ原では早くもミズバショウの開花が始まった

ヨッピ吊橋から牛首分岐をへて山ノ鼻へ戻りますが、途中下ノ大堀川に架かる橋には鉄組だけで、まだ横板は渡してありませんでしたので、鉄枠の端を慎重に渡ります。再び木道を牛首分岐をへて山ノ鼻までもどり、尾瀬ヶ原に別れを告げます。

尾瀬ヶ原の池塘に浮かぶ氷の造形が美しい

山ノ鼻より鳩待峠間はおおむね残雪上のゆるやかな登りですが、多くの箇所で木道が出ていました。途中テンマ沢湿原でもミズバショウが咲き始めていました。

 

 

プロフィール

奥谷晶

30代から40代にかけてアルパイン中心の社会人山岳会で本格的登山を学び、山と溪谷社などの山岳ガイドブックの装丁や地図製作にたずさわるとともに、しばらく遠ざかっていた本格的登山を60代から再開。青春時代に残した課題、剱岳源次郎尾根登攀・長治郎谷下降など広い分野で主にソロでの登山活動を続けている。2013年から2019年、週刊ヤマケイの表紙写真などを担当。2019年日本山岳写真協会公募展入選。現在、日本山岳写真協会会員。

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