事実は小説より奇なり。「単独行」加藤文太郎が氷ノ山で遭難しかけた真因は爆弾低気圧だった
新田次郎の小説『孤高の人』のモデルとして知られる登山家の加藤文太郎の遺稿集「単独行」には、1932年の氷ノ山で起きた遭難寸前の事態が記されている。すでに春の訪れているはずの3月20日前後の氷ノ山で、一体何が起きていたのだろうか?
登山と天気は切っても切れない関係だ。気象遭難を避けるためには、天気についてある程度の知識と理解は持ちたいもの。 ふだんから気象情報と山の天気について情報発信し続けている“山岳防災気象予報士”の大矢康裕氏が、山の天気のイロハをさまざまな角度から説明。 過去の遭難事故の貴重な教訓を掘り起こし、将来の気候変動によるリスクも踏まえて遭難事故を解説。
事実は小説より奇なり。「単独行」加藤文太郎が氷ノ山で遭難しかけた真因は爆弾低気圧だった
新田次郎の小説『孤高の人』のモデルとして知られる登山家の加藤文太郎の遺稿集「単独行」には、1932年の氷ノ山で起きた遭難寸前の事態が記されている。すでに春の訪れているはずの3月20日前後の氷ノ山で、一体何が起きていたのだろうか?
ペルーアンデス・ワスカラン遭難に学ぶ山の気象判断:ベテラン登山家を襲った遭難事故の解析速報
登山者にとって安全は常に最優先課題です。しかし、ときにベテラン登山家をも飲み込む予期せぬ事態が起こることもあります。2025年6月、ペルー・ワスカランで起きた日本人女性登山家の遭難事故。その詳細な気象解析から、私たちの山行に生かすべき教訓を探します。
101年前のエベレストの天気を再現。『そこに山があるから』……名言を残したマロリーは果たしてエベレスト頂上に辿り着いたのか?
「そこに山があるから」の名言で知られる登山家ジョージ・マロリーは、果たしてエベレストの頂上にたどり着いたのか? NOAA(アメリカ海洋大気庁)による再解析データを使って101年前の気象状況を再現。気象面から登山史上最大の謎に迫る。
不世出の単独行登山家、加藤文太郎の命を奪った豪雪。原因は近年でも豪雪をもたらすJPCZだった
新田次郎の小説『孤高の人』のモデルとして知られる登山家の加藤文太郎。1936年に槍ヶ岳北鎌尾根でその生涯を閉じるが、そのとき何が起きていたのか? 過去のデータを丁寧に分析して浮かび上がってきたキーワードは「JPCZ」だった。
富士山測候所の手書き観測記録が語る真実。1954年11月28日雪崩大量遭難事故の検証と将来予想
1954年の初冬の時期、富士山で雪山訓練をする登山者40人を襲った雪崩。これほどの規模の雪崩を、なぜ予測できなかったのか。その理由を読み解くとともに、暖冬が続く近年においても、雪崩の危険性は高まっている理由を説明する。
幻の名著「41人の嵐」復刻! 昭和57年8月1日に日本列島を襲ったスーパー台風と南アルプス両俣小屋からの41人の生還劇
1982年、夏山シーズン真っ盛りの8月1日に、日本列島を襲ったスーパー台風。そのとき南アルプス両俣小屋では、小屋番と登山者41人が取り残されていた――。気象面ではなにが起きていたのか、読み解いて見えてきたものは?
1954年5月10日のメイストームを再現。爆弾低気圧が多いのは冬季から春先だが、近年になって5月の爆弾低気圧が増加傾向
「メイストーム」という言葉をご存じだろうか? 5月(May)に起きる爆弾低気圧を指すものだが、もともとは1954年5月に発生した固有の低気圧だったという。大きな山岳遭難の原因となっているメイストーム、この“元祖”についてひもとくとともに、近年の爆弾低気圧の傾向を確認する。
低体温症の恐ろしさ――、強風が退路をはばんだ3つの事例から学ぶ(1902八甲田山、1963薬師岳、2009鳴沢岳)
登山中のリスクで、季節を問わず気をつけたいのが「低体温症」。気温、風、そのほかの3つの要因で発生するといわれる低体温症だが、今回は特に「強風が退路をはばんだ事例」について注目。過去に取り上げた遭難事例から、低体温症の恐ろしさを考える。
八甲田山雪中行軍遭難事故の検証 ~雪中行軍ルートを辿り、強風で飛ばされそうになりながらも紅葉が始まった八甲田山に登る~
2023年6月に発表し、大きな反響を呼んだ「NOAA(アメリカ海洋大気庁)による再解析データを用いた八甲田山雪中行軍遭難事故の検証記事」。その再検証のために八甲田山に訪れた山岳防災気象予報士の大矢康裕さん。地形や当時の資料を確認すると、あらためて事故当時の状況が見えてきたのだった。
『聖職の碑』遭難事故の真実――、不安定な天気による風雨が体力を奪い、爆弾低気圧のように発達した台風が追い打ちをかけた
今から約110年前、1913年8月26~27日に起きた、『聖職の碑』遭難事故。台風接近による暴風雨が直接の原因だが、NOAA(アメリカ海洋大気庁)の再解析データにより解析すると、知られざる真実が明らかになってきた。多くの貴重な教訓を含んだこの遭難事故を、台風シーズンの今、あらためて取り上げる。