1902年1月の八甲田山雪中行軍遭難事故の真実/鮮やかに蘇った120年前の天気図と気象状況
登山者ならずとも、冬山での遭難事故として、多くの人が知っている『八甲田山死の彷徨』。1902年(明治35年)に199名が凍死した大惨事の原因は大寒波と異常低温とされているが、実際に当時のデータを紐解いてみると、意外な事実が浮かび上がってきた。
登山と天気は切っても切れない関係だ。気象遭難を避けるためには、天気についてある程度の知識と理解は持ちたいもの。 ふだんから気象情報と山の天気について情報発信し続けている“山岳防災気象予報士”の大矢康裕氏が、山の天気のイロハをさまざまな角度から説明。 過去の遭難事故の貴重な教訓を掘り起こし、将来の気候変動によるリスクも踏まえて遭難事故を解説。
1902年1月の八甲田山雪中行軍遭難事故の真実/鮮やかに蘇った120年前の天気図と気象状況
登山者ならずとも、冬山での遭難事故として、多くの人が知っている『八甲田山死の彷徨』。1902年(明治35年)に199名が凍死した大惨事の原因は大寒波と異常低温とされているが、実際に当時のデータを紐解いてみると、意外な事実が浮かび上がってきた。
1965年ゴールデンウイークに起きた「メイストーム」による大量遭難事故――、東シナ海低気圧によって想像できないほどの暴風雪が襲う
GWの時期、「メイストーム」と呼ばれる現象で、急な天候変化が起きることがある。過去にもGWに気象遭難は多発しているが、なかでも1965年には、このメイストームにより死者62名にものぼる事案が発生していた!
日高山脈で起きた国内最大級の雪崩と、感動を呼んだ『雪の遺書』。1965年3月の北海道大学山岳部の雪崩遭難事故。
雪山での重要なリスクの一つである雪崩。1965年3月に起きた「国内最大級の雪崩規模」とされる『北海道大学山岳部の雪崩遭難事故』と、感動を呼んだ『雪の遺書』を資料に、雪崩のメカニズムを読み解き、その教訓を考える。
1980年12月逗子開成高八方尾根遭難事故の真相――二つ玉低気圧のちドカ雪のち晴れ、動かなければ助かったかも
1980年12月に起きた逗子開成高校八方尾根遭難事故の真相と過去のデータを紐解くと、さまざまな教訓が見えてくるという。その中でも特に重要なのが「内陸部にある山岳では12月のドカ雪に注意、しかし12月のドカ雪は待てば止む可能性が高い」ということである。
台風通過後も続いた暴風雨――、北海道では常識は通用しないこともある。1999年9月羊蹄山登山ツアー遭難事故の教訓
「台風の進行方向(北東)の右側は危険半円」とよく言われるが、すべての台風において当てはまるわけでもなく、また地域によってもその実情が変わるケースもある。1999年9月に北海道・羊蹄山で起きた遭難事故を紐解くと、常識だけでは判断できないことが見えてきた。
もしも今、伊勢湾台風が襲ってきたら山の天気はどうなるのか? JRA-55を使って当時の状況を再現
台風災害としては明治以降で最多の死者を出した、1959年の伊勢湾台風。この台風は、大台ヶ原の原生林を一夜で立ち枯れ林としたほど、山岳地帯にも甚大な被害を出したことでも知られているが、はたしてこの規模の台風が再び上陸したら――。そんなシミュレーションを、JRA-55を使って再現する。
樹林帯での雨具着用時に落雷が発生――。2002年8月2日の塩見岳落雷事故の教訓
夏山のリスクの1つとして挙げられるのが「落雷事故」。回避するのに最も大切なのは「早出早着」となるが、いざ山中で雷鳴を聞いたとき、どうすればよいのか? 2002年8月、南アルプス塩見岳で起きた落雷事故の当時の気象状況を教訓に、夏山を楽しむ知識を指南する。
記録的な大雨が発生! 2019年5月18日の屋久島豪雨で330人が孤立も、ガイドたちの献身的な行動で全員無事に下山
鹿児島県屋久島で2019年5月18日に起きた、集中豪雨で登山者300人以上が山中に取り残された事件。これを教訓に安全登山への取り組みを高める地元ガイドの疑問「豪雨はどこまで予測できたのか?」に、山岳防災気象予報士の大矢氏が回答する。
1972年3月の富士山大量遭難事故――。日本海低気圧の発達による春一番の暴風雨が引き起こした日本山岳史上最悪の大惨事
冬から春へと急速に季節が移り変わろうとしている今の時期、気をつけなければならないのが「日本海低気圧の発達」だ。この日本海低気圧により、日本山岳史上最悪の大惨事が起きている。この事故の状況を、今回は紐解いてみる。
1989年末から1990年初に起きた、清水岳遭難事故(全員生還)から学ぶ『過去と未来を繋ぐ貴重な教訓』
暖冬傾向が続く昨今の冬だが、その言葉に騙されてはいけない。例えば、暖冬の年の89~90年末年始に、北アルプス・清水岳付近で起きた山岳遭難では、予想以上の吹雪が長期に渡って続いたことから起きている。