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岩稜と高嶺の花々 爺ヶ岳ー鹿島槍ヶ岳ー五竜岳縦走(8D)

爺ヶ岳 鹿島槍ヶ岳 五竜岳( 北アルプス・御嶽山)

パーティ: 1人 (すてぱん さん )

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行程・コース

天候

一日目:曇り、二日目:晴れのち霧のち雨のち晴れ、三日目:晴れのち霧

利用した登山口

八方池山荘  

登山口へのアクセス

バス
その他: 新宿発の中央高速バスで(夜行便片道6200円)、扇沢5:35到着
扇沢から柏原新道登山口まで徒歩15分

この登山記録の行程

【1日目】歩行5時間8分
柏原新道登山口(06:03)・・・種池山荘[休憩 20分](08:49)・・・爺ヶ岳南峰(09:51)・・・赤岩尾根分岐(冷乗越)(11:01)・・・冷池山荘(11:11)

【2日目】歩行8時間35分
冷池山荘(05:20)・・・布引岳(06:13)・・・南峰[休憩 10分](06:53)・・・北峰分岐(07:32)・・・鹿島槍ヶ岳北峰[休憩 10分](07:38)・・・北峰分岐・・・八峰キレット[休憩 26分](09:00)・・・口ノ沢のコル[休憩 10分](10:25)・・・五竜岳(13:10)・・・五竜山荘(13:55)

【3日目】歩行4時間23分
五竜山荘(05:35)・・・最低鞍部・・・唐松岳頂上山荘[休憩 10分](07:46)・・・丸山(08:21)・・・第三ケルン[休憩 15分](09:10)・・・八方池山荘(09:58)

コース

総距離
約23.5km
累積標高差
上り約3,383m
下り約2,874m
コースタイム
標準19時間35
自己16時間25
倍率0.84

高低図

標準タイム比較グラフ

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登山記録

行動記録・感想・メモ

後立山連峰のうち、爺ヶ岳ー鹿島槍ヶ岳ー五竜岳をつないで歩いた。八峰キレット、G5、牛首などのスリリングな岩稜、様々な花、雄大な景色と変化に富んだ良いコースだ。今シーズンは季節の進みが早いのだろうか、夏の花から秋の花に移り変わっているように感じられた。

天気や休み、気分などいろいろ噛み合わず2ヶ月近くも山から遠のいてしまった。しかし、天気図を睨んで言い訳していても始まらんのである。思い切って出かけた。梅雨明けしたとはいえ大気はやはり不安定で、晴れは早朝と夕刻のみ。これまで晴天にばかり恵まれてきた出戻り登山者にとって、岩稜の難所で遭う雨は、今後の良い教訓となった。

人気コースなので解説めいたことは不要だろう。後立山連峰南部の鹿島槍ヶ岳、五竜岳といった名峰を八峰キレット、G5、牛首などの難所を挟みながら歩く。扇沢から種池山荘までの柏原新道は大変よく整備されていてとても歩きやすい。関係者に感謝したい。また、この道には所々注意書きがかかっていて、どういうところで何に注意して歩けばいいのかよくわかり、実地の歩く登山教科書のように感じた。ここから冷池山荘、さらに布引岳まではごく一般的なコース。今回は、前日の雨で濡れていて滑りやすい箇所もあったので注意。

<どこが一番難しい(怖い)のか?>
まだ剱岳に登る機会がないのだが、これまでの経験からすると難度は、北穂高〜涸沢岳間>大キレット>不帰キレット>八峰キレットという順番だろうか。八峰キレット緊張感はあるし、注意を払わなければならないのは無論だが、技術的に難しいとは感じられなかった。むしろ今回歩いたコースの中ではミスをしてヒヤリとしたG5の方が緊張したかな。偉そうに書いているが、出戻り登山者はビビリのヘタレ、急峻な岩稜に差し掛かるとはじめのうち体がこわばってしまうのは、ここだけの秘密だ。

<意外に悩ましかったヘルメット着用>
このコースは、ヘルメットの着用が推奨されており、概ね7割くらいの登山者が着用していただろうか。出戻り登山者も持参したのだが、正直どこから着用するのか判断に迷った。穂高縦走の場合は、すぐにでも着用した方がいいのは肌で感じる。しかし、このコースの場合はあった方がいいのはもちろんなのだが、なくてもなんとかなりそう・・・。北上コースの場合、鹿島槍ヶ岳南峰の下から切り立った急斜面となるからここから。あるいは、北峰分岐から八峰キレットへの下降前か?何でも良いと思われるが、出戻り登山者は、結局G5に向かう前に、キレット小屋で着用した。

<面倒がらずに雨具の着用を>
今回は大気が不安定だという事前情報を得ていた。初日は終始霧。二日目も晴れたのは早朝と夕刻のみで午前中の早い時間からガスが湧き、昼過ぎには本格的な雨が2時間弱続いた。幸い、八峰キレットやG5などの岩稜は雨の前に通過していた。しかし、五竜岳山頂手前の鎖場も混じるガレ場の急斜面(エアリアマップによれば危険マーク箇所)で、雨にぶつかってしまった。ザックカバーにレインウェアの上着は着用したものの、足場の悪い岩場でのこと、つい新調した超撥水性をうたうパンツに頼ってそのまま歩き続けてしまった。これは大失敗だった。洗濯のときも水を弾くパンツだが、叩きつけるような長時間の降雨に水が染み込む。それが足を伝って登山靴に流れ込み、靴の中もびしゃびしゃ。ゴアテックスの靴だろうがなんだろうが、内側から水があふれてはどうしようもない。難所を含むコース(つまりいつでも着用できるとは限らない)で雨が降り始めたら、着用できるタイミングですぐに上下を着込むべきだ。すぐに止んだら、また脱げばいいだけのこと。面倒がるとろくなことがないといういい教訓になった。靴の中が濡れた状態で歩き続ければ、ふやけてすりむけ、歩行困難になることもあるだろう。つまり、危険ということだ。ちなみに上半身は汗はかいたものの、雨が入ることはなくゴアテックスはやはり大したものだ。

<好天のときにまた行ってみたい>
鹿島槍ヶ岳山頂では快晴で、北は白馬岳、南は槍穂高連峰、西は立山や剱岳、さらには八ヶ岳や富士山など360度の大展望を楽しんだ。爺ヶ岳や五竜岳も素晴らしい展望を誇るピークなので、またの機会に再度ピークに立ってみたい。ルート定数は77.9で、長野県山のグレーディングは8D。

ともあれ、これで白馬岳から爺ヶ岳までの稜線が繋がった。学生時代に裏銀座は歩いているからそれも勘定に入れ、針ノ木岳ー船窪岳ー烏帽子岳のラインをつなげば、槍穂高まで全て繋がることになる。いずれ実現させたい。

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フォトギャラリー:90枚

夜行バスで扇沢に到着(5:30)

柏原新道は大変よく整備されている

ガスが絡みつく

種池山荘が見えたら稜線に到着

チングルマはもう終わっていた

稜線上も霧

夕刻にガスが切れ、鹿島槍ヶ岳が姿を表す

当日は悪天候の予報のためか、30名ほどキャンセルが出たとのことで、ゆったり休むことができた。

二日目のご来光

うまく撮れなかったけれど、ブロッケン現象

南方を振り返ると槍穂高連峰も見える

鹿島槍ヶ岳

昨日はガスで何も見えなかった爺ヶ岳

鹿島槍ヶ岳南峰から吊尾根への下りは切り立っている

鹿島槍ヶ岳北峰から南峰を振り返る。奥に剱岳

八峰キレットに向け急下降。キレット小屋が鞍部に見えている

剱岳が高い

八峰キレット

八峰キレット。もうちょっと緊張させれらるところかとおもっていたが、拍子抜け

キレットを通過するとキレット小屋はもう直ぐ

キレット小屋到着

キレット小屋から鹿島槍ヶ岳方向を振り返る

もうトウヤクリンドウが咲いている。イワツメクサ

鹿島槍ヶ岳を振り返る

剱岳

夏雲が湧く

五竜岳はすっかりガスの中

岩稜に咲くチシマギキョウ

G5付近

G5の痩せた岩稜を超え、岩峰を左に回り込むべきところを誤って右に進んでしまい、ヒヤリ。これは間違いに気付き振り返ったところ

G5の岩稜帯を突破。目指す五竜岳はガスの中

G4付近はウルップソウの群落があったが、花は全て終わっていた。早すぎない?

五竜岳へのガレた急登から強い雨。山頂も濃いガスで何も見えず、先を急ぐ。

強い雨が降る中、五竜山荘に雨具の着用をサボった下半身と登山靴ずぶ濡れで到着。これは今回の反省点

到着後、服を乾かすなどしているうちに雨が上がり、青空が

波乱に満ちた二日目の夕暮れ

最終日の日の出

朝焼けの五竜岳

五竜山荘前に咲いていたコマクサ

五竜岳山頂には晴天の時に立ちたかったなと、後ろ髪引かれる思いで出発

一方近づいていくと、大黒岳が容易ならざる険しさであることが見えてくる

剱岳

まだ6時半を過ぎたところなのに、ガスに覆われ始めた五竜岳

牛首のクサリ場の始まり

ガスで真っ白(ブロッケン)

唐松岳山荘に到着。全く展望が利かないので、昨年登った唐松岳はパスして下ることに。昨日のような雨はもうごめんだ。

唐松岳山荘前から、ガスの一瞬の切れ間から剱岳

マツムシソウと蝶

ガスのわずかな切れ間から不帰キレット

クガイソウの群落

初日(曇り)の天気図

二日目(晴れのち雨のち晴れ)の天気図

三日目(晴れのち霧)の天気図

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • すてぱんさん こんにちは

    北アは縦走につきりますネ!
    縦走時にはマイカーは困りものです、周回か、ピストン、または下山か開始の時に公共機関の使用(うっかりすると1日費やす)でタカネの花となっている今日この頃です。

    いつも写真が大きく投稿されているのはどのような仕組みですかね?
    気になります(きれいな写真ばかりで感動しています)

    雨の時の登山靴の様子は目に移ります、俺も何回か経験していますので(こりないで面倒くさくやってしまう)

    楽しい3日間+1日かな御苦労様でした。

  • スーさん、ご無沙汰しております。
    縦走はどっぷり浸かれるので、楽しいですね。でも、私の方はスーさんご夫婦のように、思い立ったら車でさっと乗り付け、四季折々の山を機動的に楽しまれているご様子をいつも羨ましく拝見していますよ。
    北アルプスは、公共交通機関でもアプローチが簡単なのでいいのですが、興味があってもなかなか行きにくい場所もたくさんです。

    写真が大きく見えているのは、記事を投稿する際にページ一番下にある「公開/非公開の設定」の部分で、「デザインB」を選んでいるためです。一度試してみてください。
    今後も、楽しい記録を楽しみにしております。

  • すてぱん さん おはようございます

    写真を大きく投稿させる仕組み教えてくださり、ありがとうございます。

    自分に納得した写真でいずれ試した見ます(ちょっとピンボケが多くて恥ずかしいですが)。

    尚、今週は山歩きは中止です(孫が前橋に来ます)、
    次回は、盆休みに東北を予定しています(天気次第)

  • すてぱんさん こんにちは〜
    険しい岩稜帯に咲く花々や…連なる山々や緑の稜線、湧きたつ白い夏雲、ブロッケン現象…貴重な写真の数々を拝見し楽しませていただきました。
    どうやって建てたのか?気になるキレット小屋。五竜山荘には武田菱(五竜岳の雪形)がついているんですね。八方尾根に近づくにつれ花の写真が増えて…緊張感が解れていく気がしました。。
    お疲れ様でした。

  • スーさん
    お孫さんと会うのもまた楽しいのでは?
    東北での山行記録を楽しみにしております

  • やぎやぎさん、ご無沙汰しております。また、コメントありがとうございます。
    「八方尾根に近づくにつれ花の写真が増えて…緊張感が解れていく気がしました」というのは、自分でもなるほどと思いました。
    今年は梅雨が明けたばかりだというのに、山の花はもう秋のものに入れ替わってきているように感じました。
    お嬢さんとお出かけされているご様子、拝見しておりました。
    私は、息子も娘も英国にいるので、旦那様やお子さんと一緒に山登りやお出かけなんて、うらやましい限りです。

    また楽しい山行記録や、花の写真を拝見することを楽しみにしております。

  • すてぱんさん、お久しぶりです。
    北アルプスは急峻な岩稜をねらって登っているのかとばかり思っていたら、白馬から槍穂高への稜線を踏破するという大構想があったとは驚きました。実現されることを期待しています。
    私の方は、少し後に、すてぱんさんの何枚かの写真にあった剱岳に行ってきました。剱岳へ登る途中に双耳峰の鹿島槍ヶ岳の立派な山容がよく見えました。鹿島槍ヶ岳にはまだ登っていないのでいつか登りたいと考えています。

  • カメノコウタロウ さん,お久しぶりです。
    いつもコメントありがとうございます。
    カメノコウタロウ山も剣に行かれていたのですね。私も、剱岳ー立山縦走から戻ってきたところです。富山側から後立山連峰を見て思うのですが、「後ろ」立山という名称はもちろん、鹿島槍ヶ岳もあるいは富山側からの名称ではないでしょうか?というのも、剱岳や立山などから見ると鹿島槍ヶ岳は双耳峰ではなく綺麗な槍の形に見えるからです。こんなことを言うと信州側の人に怒られてしまうかもしれませんが・・・。また、針ノ木岳は、別山から見ると赤岳にとてもよく似て見え、驚きました。

  • カメノコウタロウ さん,お久しぶりです。
    いつもコメントありがとうございます。
    カメノコウタロウ山も剣に行かれていたのですね。私も、剱岳ー立山縦走から戻ってきたところです。富山側から後立山連峰を見て思うのですが、「後ろ」立山という名称はもちろん、鹿島槍ヶ岳もあるいは富山側からの名称ではないでしょうか?というのも、剱岳や立山などから見ると鹿島槍ヶ岳は双耳峰ではなく綺麗な槍の形に見えるからです。こんなことを言うと信州側の人に怒られてしまうかもしれませんが・・・。また、針ノ木岳は、別山から見ると赤岳にとてもよく似て見え、驚きました。

登った山

五竜岳

五竜岳

2,814m

鹿島槍ヶ岳

鹿島槍ヶ岳

2,889m

爺ヶ岳

爺ヶ岳

2,670m

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