ついにアウトライアー東峰の山頂へ! 頂上から見た光景とは?

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猛烈な吹雪のあとに訪れた好天。この好天がもってくれるよう祈りながら山頂を目指す。そして、登頂に成功した萩原編集長が目にした光景とは?

 

C3へのルート工作完了。頂上にむけての最終ステージへ!

Date 2013年10月08日(火)


C2停滞中の6日深夜、テントが押しつぶされてしまいそうな猛烈な吹雪となりましたが、夜が明けるころには風もおさまり、快晴の朝を迎えました。強風が、あのイヤな雲を追い払ってくれたようです。積雪は10センチ前後で、登攀にはほぼ支障のないレベル。7日はC1から上がってきたネパール人スタッフを中心にC3へのルート工作を行いました。

C3予定地までは3年前にトレース済みなので、前回のルートをほぼ忠実にたどって懸垂氷河上の斜面まで約1000mの登高。今年は雪が多いため、上部ではミックス壁の不安定なトラバースを強いられましたが、当初の予定どおり標高6800m付近までロープを延ばすことができました。

C2から見上げる快晴のアウトライアー南西壁


下部雪壁帯にルート工作中(C2より)


今後の予定では8日を休養日にあてて9日にC3入り。10日にC3から頂上をめざします。登頂メンバーは、萩原(OB)・村上(OB)・古城(OB)・本田(4年)の4名を予定していましたが(注・現役学生の真下(2年)と中西(1年)は、経験・技術不足のため、あらかじめC1までの計画だった)、古城隊員の体調がすぐれず、C1に下山することになってしまい、3名での登頂をめざすことになりました。


ただいま、8日、朝10時のC2での気象状況は快晴。気圧も502hPaまで回復し、5900mを示していた高度計も5833mに落ち着いて安定した状況です。あと2日、この好天がもってくれればと祈るばかりです。

明日から頂上にむけての最終ステージとなるため、ブログの更新はしばらく滞りますが(さすがにパソコンはC2に置いていきます)、次回の更新では明るいニュースをお届けできるようにがんばってきます。

どうぞお楽しみに。


標高6000m付近から見た夕照に輝くジャヌー北壁。このカットが撮りたくて、昨日は17時30分までルート上で粘っていた

 

【速報】萩原編集長登頂成功!

Date 2013年10月11日(金)


先ほど萩原編集長から衛星電話で連絡があり、隊員含めて3名がOutlier7035メートルに無事登頂したとのことです。

天気が不安定なため、登頂まで数日停滞したようですが、登頂した本日は微風程度で、みごとな快晴により、360度のパノラマで素晴らしい光景を目にしているそうです。

詳細は後日掲載いたします。

 

アウトライアー東峰・初登頂に成功!

Date 2013年10月13日(日)


先発隊が東京を出発してから34日目、ついにアウトライアー(Janak Chuli)東峰の初登頂に成功しました。朝6時に標高6400m地点のキャンプ3(氷壁を削って立てた恐怖のテントサイト。トイレも確保が必要で大変でした……)を出発。12時30分に萩原、少し遅れて本田・村上の3名の隊員が頂上に到着しました。

下部雪壁帯を登る村上隊員と本田隊員


上部ミックス壁をトラバースする村上隊員


当初はさほど困難と見ていなかったコルから頂上に向けての稜線が意外に悪く、鋭いナイフリッジとミックス壁がところどころに現われて、10月10日は強風と時間切れで登頂断念。

今日は好天に恵まれ、快晴のなか、チベットからの強風に邪魔されることなく、ピークに立つことができました。献身的なサポートをしてくれたネパール人スタッフ3名には本当に感謝です。

頂上からは、カンチェンジュンガの巨峰はもちろん、遠くにマカルー、エベレストといったネパールのジャイアンツたち、そして北側にはチベット高原が延々と広がっていて、まさにヒマラヤの東の果てからの大展望を楽しむことができました。

アウトライアー東峰山頂での萩原隊長


頂上での撮影タイムもそこそこに、下り始めると天気は一転、視界はなく、小雪の降る状況のなか、C3を飛ばして南西壁をC2に向けて下山。暗闇のなか、20回以上の懸垂下降を経て、19時ごろに安全地帯のC2にたどり着くことができました。

ただ今、現地時間の21:00。初登頂の疲労と興奮のなか、とりあえず無事に登頂できたこととをご報告いたします。そして今回の登山に対してさまざまなご協力をいただいたすべての方々に、そして長期間の遠征にご理解をいただきましたメンバーたちの会社やご家族の方々に対して深く感謝を申し上げます。

なお、登山の詳細につきましては、バックキャラバンのなかで少しづつ紹介していく予定ですので、本ブログにつきましてはもうしばらくお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いします。

⇒次号/登頂後は豪雪に阻まれ、豪雪に閉じ込められる

プロフィール

萩原浩司(はぎわら・ひろし)

1960年栃木県生まれ。青山学院法学部・山岳部 卒。
大学卒業と同時に山と溪谷社に入社。『skier』副編集長などを経て、月刊誌『山と溪谷』、クライミング専門誌『ROCK&SNOW』編集長を務めた。
2013年、自身が隊長を務めた青山学院大学山岳部登山隊で、ネパール・ヒマラヤの未踏峰「アウトライアー(現地名:ジャナク・チュリ/標高7,090m)」東峰に初登頂。2010年より日本山岳会「山の日」制定プロジェクトの一員として「山の日」制定に尽力。
著書に『萩原編集長危機一髪! 今だから話せる遭難未遂と教訓』、『萩原編集長の山塾 写真で読む山の名著』、『萩原編集長の山塾 実践! 登山入門』など。共著に『日本のクラシックルート』『萩原編集長の山塾 秒速!山ごはん』などがある。

アウトライヤー 萩原編集長のヒマラヤ未踏峰挑戦記

NHKの「実践! にっぽん百名山」の解説などでおなじみ、萩原編集長こと萩原浩司氏は、2013年秋、ネパール・ヒマラヤ未踏峰、「アウトライアー(現地名=ジャナク・チュリ)」を目指した。 母校である青山学院大学の山岳部のOB会長も務める萩原氏は、自ら総隊長としてこの遠征隊に参加、その準備から登頂、そして帰国までを萩原氏の目を通しながら伝えていく。

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