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東北のニッコウキスゲは当たり年! 類のない密度と花数で湿原を黄色に埋め尽くした大群落

髙橋 修の「山に生きる花・植物たち」
たしなみ 2020年08月13日

梅雨空が続いた7月は、山から足が遠のいていた人が多かったかもしれない。しかし、雨を押して東北の山々に向かうと、過去に類を見ないほどの花数のニッコウキスゲが咲き誇っていたという。

 

斜面が黄色くなるほど咲き乱れる、秋田駒ヶ岳に咲くニッコウキスゲ


7月の末から8月にかけて、東北の秋田駒ヶ岳と八幡平に登ってきた。今年の東北は雨が多く、出発前には高山植物の花の状態を心配していたが、いざ登ってみるとニッコウキスゲやコマクサの花をはじめ、たくさんの高山植物が開花していた。

今年は花が元気である。湿原の木道をニッコウキスゲの花が黄色に埋め尽くしていた。まだ梅雨明け宣言は出ていなかったが、運よく雨に降られることはほとんどなかった。

八幡平は湿原の全域でニッコウキスゲが咲いていたが、特に多いのが八幡沼の周辺だ。花が一番多い場所は、木道から遠くちょっと残念。池塘の向こうに無数に咲くニッコウキスゲは感動的である。もちろん木道の近くでもたくさんのニッコウキスゲが咲き乱れ、木道にはみ出るように咲いているので、ニッコウキスゲをかき分けながら歩くような贅沢な状況であった。

登山者が少ないためストレスなくニッコウキスゲが咲いていた


秋田駒ヶ岳では阿弥陀池から男岳への登り始めの斜面の群落がすばらしかった。なぜこれほど数多くのニッコウキスゲが密集するのだろうか。この斜面にはニッコウキスゲ以外の植物生えていないので、花の密度がとても濃い。さらに今年はひとつの花茎に付いている蕾の量が多いような気がする。

とにかく、規模はともかく、密度においてはなかなか他には類のないニッコウキスゲの群落である。今年この時期に秋田駒ヶ岳に登ることができたのは本当に幸せであった。

ニッコウキスゲの花は二日間咲く


もちろんニッコウキスゲ以外にも、 他の花もたくさん咲いていた。秋田駒ヶ岳ではコマクサが花の終盤ながら斜面をピンクに染めていたのには感動した。

コマクサは秋田駒ケ岳の大焼砂などの砂礫地に多い


また、美しさを再発見したのがタカネアオヤギソウだ。緑色の花を咲かせる、どちらかと言えば地味な花だが、よく見ると上品な美しい形をしている。開いたばかりの花が多く、緑色の花に雄しべの黄色がアクセントとなっている。地味なだけの花だと思っていたが、よく見直してみると、緑色の花の個体ばかりではなく、花の中央に紫色の星形の模様をもつものなどがあり、バラエティが豊富で美しかった。

タカネアオヤギソウは一見地味な花だがよく見ると美しい


梅雨明け宣言が遅れていたが、あまり雨に降られることもなく、八幡平に3回、秋田駒ヶ岳に2回登った。登った日付は、ほんの数日違うだけだが、花の状態は少しずつ違っていて、毎回新しい発見があり、飽きることはまったくなかった。数日でダイナミックに変化する、自然と高山植物の生命力に感動した5日間であった。

コバノトンボソウは、高山の湿原に咲くちょっと地味なラン

 

高山植物 日本の山
教えてくれた人

髙橋 修

自然・植物写真家。子どものころに『アーサーランサム全集(ツバメ号とアマゾン号など)』(岩波書店)を読んで自然観察に興味を持つ。中学入学のお祝いにニコンの双眼鏡を買ってもらい、野鳥観察にのめりこむ。大学卒業後は山岳専門旅行会社、海専門旅行会社を経て、フリーカメラマンとして活動。山岳写真から、植物写真に目覚め、植物写真家の木原浩氏に師事。植物だけでなく、世界史・文化・お土産・おいしいものまで幅広い知識を持つ。

⇒髙橋修さんのブログ『サラノキの森』

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