美味しいものでお腹がいっぱい、幸せいっぱい。青梅線沿線ハイキング帰りに「奥多摩釜めし」
下山後に味わいたい粋なごはんを紹介するライター西野 淑子さんの「下山メシのよろこび」。今回は、途中下車をして、お野菜たくさん、ボリューム満点の釜飯をいただく。
仕事の下見で奥多摩・高水三山へ。昼過ぎに下山できた。
さてどこで何を食べよう。少し前から気になっていた「からだにいい食事」がキャッチフレーズの釜飯の店に行ってみることにした。JR青梅線の日向和田駅から国道を歩いて数分。あったあった、ひなびた雰囲気の店構え、藍色ののれん。その店の名前は「奥多摩釜めし」…名物料理が店名、あまりにも直球。
藍色ののれんが目印
お店に入ると「下のお席にどうぞ」と案内された。入ってすぐの席は国道に面していて、そこはそこで明るくて居心地がよさそうだが、下の席は多摩川に面していた。のぞきこむと、眼下に渓流、その対岸に低い山々がなだらかに連なっている。晩秋の里山風景、いきなりちょっと得した気分になる。
ここは迷わず、看板メニューの「奥多摩釜めし」をオーダー。釜飯、水炊き、味噌汁、香の物のセットだ。「プラス100円で水炊きに“うどん”を入れることができます」と言われたけど、十分ボリュームがありそうだったので、通常の水炊きにしてもらう。どうやら周りの人も同じセットを食べている。「釜めしミニセット」もあるが、水炊きがないだけで、釜飯の量は同じらしい。
すぐに「サービスです」と温泉たまごときぬかつぎが出てきた。ほんのり塩味のきぬかつぎが美味しい。これから出てくるメインに期待が高まってしまう。
“温泉たまご”と“きぬかつぎ”のサービス盆
広い窓から外の景色を楽しんでいるうち、それほど時間がかからずにお料理が登場。
かぼちゃの煮物や切干し大根、れんこんのきんぴらなど、野菜がたっぷり乗った釜飯だ。ふかふかのご飯はダシの風味がほんのり。野菜も素材の風味を損ねない控えめな味付けで、体にじわっと染み込んでいく感じだ。釜飯の器で供される水炊きも野菜たっぷり。ねぎ、白菜、しめじ、水菜、そして豆腐。アツアツの具材と汁で、冷えた体がよく温まる。
ボリューム満点の「釜めしセット」
香の物は種類が多いし、味噌汁はぷっくりとしたしじみが入っているし、黒豆の煮物もやさしい甘み。メインの料理以外もそれぞれ丁寧に作られているのが分かってなんだか嬉しい。
出てきた料理を見たときは「こんなにたくさん食べられるかな」と一瞬思ったけれど、ちょうどいい感じにお腹が満たされた。毎度思うけど、美味しいものでお腹がいっぱいになるって幸せだ。ごちそうさまでした。
青梅線沿線の山歩きで、昼過ぎに下山できるようなときがあったらまた来よう。途中下車しても全然かまわない。体にも心にもやさしい料理で山を締めくくるのは悪くない。
奥多摩釜めし 愉宇
自家精米の米や旬の野菜などで作る「からだにいい食事」が味わえる食事処。名物の釜飯のほか、うどんやそばなどのメニューもある。
住所:東京都青梅市二俣尾1-52
電話:0428-78-9393
HP:https://okutamakamameshi.com/
※新型コロナウイルス感染予防対策の関係で、休業あるいは営業時間・形態等に変更がある場合があります。ホームページより最新情報をご確認のうえ、お出かけください。
プロフィール
西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)
初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。
下山メシのよろこび
登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。